空気電池は、「水」の準備が必要とは限らない?

 

最近は、特に環境問題に対する話題がなにかと取り上げられるようになりました。

それでは、皆さんは「電池」と言えばどんな物を思い浮かべますか?

やはり、2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野 彰氏が開発したリチウムイオン電池でしょうか。

リチウムイオン電池が開発されたことで、様々な製品の小型が進みスマホなど私達の生活には欠かせない物となっていますよね。

ただ、リチウムイオン電池は劣化したり温度変化に弱いといったデメリットがあります。また、環境面で考えても資源有効利用促進法で回収・リサイクルが義務づけられている電池でもあります。

今回は、そんな電池の中でも「震災に強くエコな電池:水空気マグネシウム電池」を中心にご紹介します。

 

「水空気マグネシウム電池」ってなにがすごいの?

水空気マグシウム電池は、「燃料電池の一種」です。

→燃料電池・・・水素と酸素を化学反応させて直接電気を発電する装置。

そんな、水空気マグネシウム電池の最大の特徴は3つあります。

 

3つの特徴

  1. 廃棄可能な安全な材料
  2. 資源制約が少ない
  3. 高エネルギー密度

それでは、震災時になぜ強いのか見ていきましょう。

 

1.廃棄可能な安全な材料→家庭排水に流せる!

  • 正極・・・マグネシウム
  • 負極・・・空気
  • 電解液・・・塩水

これだけで電気が発生します。

なにより、リチウム電池のように発火する危険は非常に少なくなっています。そして、マグネシウムはリサイクルが可能な材料で、マグネシウムの再生に要するエネルギーは新塊製造時の4%と小さいことが特徴です。

ちなみに、マグネシウム合金に塩水を加えると、塩水中の酸素と反応し白濁した水酸化マグシウムが生成されますが、水酸化マグネシウムは食品添加物としても利用されており家庭で排水処理ができてしまいます。

 

2.資源制約が少ない→ライフラインに左右されない!

例えば、東日本大震災時はライフラインが止まり、せっかくのスマホも充電することができず携帯ショップなどが無料で充電サービスを開始するなど、緊急対応が取られました。

電化製品は電気で動きますが、そもそもライフラインが止まっている状態なら、その電気は例えばモバイルバッテリーなどの充電装置に接続しないと使えなくなりますよね。

つまり、停電になれば電気の供給がとまり電化製品が使い物にならなくなります。

どころが、水空気マグネシウム電池はその貴重な電気を「塩水を入れるだけ」で作り出すことができます。

 

3.高エネルギー密度→ハイパワー!

例えば、販売されている非常用空気電池「WaatSatt」を見てみると、充電容量はこのようになっています。

→スマートフォン30台フル充電可能。

ソフトバンクニュース:最新のスマホのバッテリー容量はどれくらい?を確認すると、2019年12月時点で4,000mAh以上の容量のスマホも珍しくないようですが、平均的には3,000~3,500mAhがスマホの平均的な容量のようです。

つまり、3,000mAh✕30台=90,000mAhは少なくともあることになります。私が使っているモバイルバッテリーが大容量の20,000mAhですが、さらにその4.5倍以上はあることになります。

これだけの大容量にも関わらず、他の蓄電池などのように発電時に音もしないため避難場所でも使えます。

そして、他にもさまざまなメリットがあります。

 

その他の大きなメリットとは!?

例えば、乾電池などは使っていなくても自然放電により、保管時にどんどんエネルギーがなくなっていきます。これは、リチウム電池でも例外ではありません。

ですが、水空気マグネシウム電池の場合はそもそも電解液(塩水)を入れなければ電気が作られることはないため、20年・50年など半永久に保管することができます。

つまり、震災時にいざ使おうとしたときに「すぐに充電できなくなったり・そもそも使えない!?」という緊急事態を回避することができます。

 

デメリットは?

水空気マグネシウム電池は、あくまでも使い切りタイプの電池になるため注意が必要です。

つまり、充電することで繰り返し使える二次電池ではなく、使い切りタイプの一次電池です。

また、塩は付属している製品が多いようですが、別途「水」が必要になるため断水の場合は、もらってくる必要があります。

→「WaatSatt」の場合は、2Lの水が必要になるため断水のときは即戦力とはならないかもしれません。

 

最後に

空気電池について調べていくと、塩水を入れる作業が必要ない「エイターナス」と呼ばれる災害・非常用電池があることが分かりました。

「エイターナス」は、マグネシウムではなく亜鉛が使用されており、保存袋から取り出すことで空気と反応し電力を発生する仕組みのようです。

  • スマホ:フル充電54回
  • ノートパソコン:15時間
  • 痰吸引:36時間

このように、先程紹介した「WaatSatt」よりも簡単に使えてスマホの充電回数は約2倍です。環境面で見ても有害物資は発生させないため、使った後は燃えないゴミとして捨てることができます。

ただ、どちらにしても金額的には決して安くありません。エイターナスについては、詳しくはこちらで確認してみて下さい。

「電池」1つとっても日々進歩し、より便利に使いやすくなっています。

そのため、防災準備は毎年見直していく必要があるでしょう。特に、震災時はいつでも充電できる環境にあるかどうかで、死活問題に直結する可能性が高くなります。

自分が使いやすい、「新しい物」と「古くても使いやすい物」を日々の生活で使いこなせるようになれば、いざという時に困らないかもしれませんね。


参考

株式会社バルカー:水空気マグネシウム電池
http://www.valqua.co.jp/wp-content/uploads/pdf/technical/27/vtn027-06.pdf

Mg循環社会推進協議会
http://www.soleil-energy.jp/pdf/material_08.pdf

 

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