今後も「年金制度」は続く!~全世帯型社会保障制度の中間報告(案)より~

 

「今後の日本社会はどうなるの?」

なんて、不安に思っている方が多いのではないでしょうか?

2019年12月に政府の検討会議が、全世帯型社会保障制度の中間報告をまとめました。

今回は、『「全世帯型社会保障制度」に関する中間報告(案) 「年金」』についてご紹介します。

 

「全世帯型社会保障制度」ってなに?

テレビを付ければ、「桜を見る会」の次は、「IR誘致をめぐっての不正」など自民党の不正が次々と指摘されていますよね。

正直、個人的にはあまり興味がありません。ただ、日本にカジノが誘致された場合の不安はかなりありますが・・・

個人的には、こういった問題以上に気になったのが、今回紹介する「全世帯型社会保障制度」なる中間報告です。

「全世帯型社会保障制度」というのは、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」を体現するための改革です。簡単に言えば、「人生100年時代をみんなで生きぬくための改革案」ということになります。

掲げられている5つの視点は、このようになっています。

 

5つの視点

1⃣生涯現役(エイジフリー)で活躍できる社会

年齢区分により、「高齢者」と一括りにすることは現実い合わなくなっていることから、「高齢者」や「現役世代」についての画一的な捉え方を見直し、生涯現役でで活躍できる社会を創る視点。

 

2⃣個人の自由で多様な選択を支える社会保障

人生100年時代となり、ライフスタイルも多様化。学び・仕事・老後と個人が自由で多様な選択ができるように、特定の「生き方」や「働き方」が不利にならない選択を支える社会保障を構築する視点。

 

3⃣現役世代の負担上昇の抑制

2022年に団塊世代が75歳以上になることから、現役世代の負担が上昇することが予想されている。

働き方の変化を中心に据えて、「年金・医療・介護・社会保障全般」にわたる改革を進めることで、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築する視点。

 

4⃣全ての世帯が公平に支える社会保障

社会保障制度の持続可能性のために、「自助・共助・公助」の適切な役割分担の見直し。年齢ではなく、負担能力に応じた負担という視点。

 

5⃣国民への不安への寄り添い

特に、地域間格差が指摘される地域の「医師不足・独居高齢者・孤独死」、地域の「消滅・崩壊」に関する不安など。

世論調査を通じて、国民が持つ不安の実態把握を進める。

mwewering / Pixabay

このように、1~5の視点が掲げられています。

要約すると、「社会保障制度を継続していくために、どんな仕事を選んでも生涯現役で働ける環境にすることで、若者からの負担だけに偏らないようにします。そして、稼いでいる人からたくさん税金は集めます!不安があったら言ってね!」

という感じでしょうか・・・

現役世代としては、重い年金や税金負担が減れば確かに嬉しいのですが「生涯現役」という部分がひっかかります。

なぜなら、「そもそも仕事の有無を選択(高齢者になったら働かなくても生活)できる社会なのか?」「それとも死ぬまで働くなくては生きられない社会なのか?」で意味合いがまったく違うためです。

ですが、確かにどんな「働き方」や「生き方」を選択したとしても、そのことじたいが不利になることがないのなら素晴らしい社会だと思います。

それでは、年金改革案は具体的にどういった内容なのでしょうか?

 

中間報告書(案)の中身は?

具体的な方向性として、「年金」「労働」「医療」「予防・介護」の4つについて示されています。

それでは、本題の「年金」について見ていきましょう。

*「労働」・「医療」・「予防・介護」については、別の記事で紹介します。

 

年金

(1)受給開始時期の選択肢の拡大

年金受給開始時期を60歳~70歳までから、上限を75歳に引き上げる。ただし、65歳からの年金支給開始年齢の引き上げは行なわれない。

つまり、「60歳~75歳までの範囲で、自分の選択で年金支給開始年齢を決められる」ということです。

 

(2)厚生年金(被用者保険)の適用範囲の拡大

厚生年金へ加入するためには、さまざまな制限がありましたが・・・

  • 2022年10月に100人越規模の企業まで適用。
  • 2024年10月に50人越規模の企業まで適用。

つまり、厚生年金の加入者を大幅に増やすこととしています。

ちなみに、短時間労働者への適用要件のうち、1年以上の勤務期間要件は、実務上の取扱いの現状もふまえて撤廃。変わりに、フルタイムの被保険者と同様の2ヶ月越えの要件を適用する。

→50人規模の企業に就職すれば、2ヶ月後には厚生年金に加入できるようになる。

*他にも、5人以上の個人事業所のうち、弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う仕業についても、適用業種に追加されます。

 

(3)在宅老齢年金制度の見直し等

働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」制度について、就労を促すため年金が減らされる収入の基準額を・・・

  • 60歳~64歳の人は、28万円→47万円に引き上げ。
  • 65歳以上の人は、現行の47万円のまま維持。

 

(4)ねんきん定期便の見直し

ねんきん定期便等の記載を見直し、公的年金制度のポイントを丁寧に伝えることで国民の老後の選択を支援する。

→ねんきん定期便のチェックが欠かせなくなりそうです。

 

(5)私的年金の見直し

公的年金制度の改革に併せて、私的年金の加入可能要件を見直し、加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期を柔軟化するなどの取組みを行う。

3dman_eu / Pixabay

 

年金制度の継続がメイン!

年金制度の改革案について見てきましたが、財源を確保しようとしていることは明らかですよね。

ただ、「中・小企業が従業員の厚生年金をどこまで負担することができるのか?」は疑問が残ります。そして、少子高齢化が進んだことで、年金モデルはすでに崩壊していると思うのですが・・・

ベーシックインカムなど、年金以外の老後資金の仕組みを作った方が早いかもしれませんが、少なくとも今後も年金制度を維持させていくことは間違いないでしょう。

こういったことから、企業と現役世代の負担は、今後も増えていくことが予想できます。

 

最後に

年金制度の維持が「どんな働き方・生き方を選択しても不利にならない社会」にどのようにつながるのかは、まだ不透明です。

なぜなら、厚生年金を負担する現役世代が年金を受け取るのは、現行制度のまま存続していたとしても、受け取れるのは今からさらに30年後・40年後の話しになるからです。

もしも、30年後・40年後も年金が受け取れたとしてしても、さらに30年後・40年後はどうなっているか想像もできません。

さまざまな働き方がある中で、果たして「雇われる」という働き方がいつまで続けられるのか?

テレビとyou tubeの逆転現象が起きているように、「雇われる仕事」と「個人事業主」の割合がこの先逆転するかもしれません。

次回は、残りの「労働」「医療」「予防・介護」について見ていきます。


参考

全世代型社会保障検討会議中間報告(案)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai5/siryou1.pdf

 

 

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