「基本給」の正体を暴く。派遣と正社員でこれほど違う「数字の重み」

前回、手当が上がったことで起こる収入の変化について紹介しました。

その中で、「ベースアップと手当てのアップの違いについて」も説明しましたが・・・

それでは、そもそも基本給とはなんだと思いますか?

なぜ、派遣という働き方では基本給がつきにくいと思いますか?

今回は、「基本給って結局なに?」ついてご紹介します。

 

そもそも基本給って何?

正社員の人にとっては基本給は見慣れた数字ではないでしょうか?

そもそも基本給は、年齢・勤続年数・経験・スキル・職務内容などに基づいて決定される「給与の土台(ベース)」です。

言うなれば、「あなたの『労働力そのもの』に対して支払われる、もっとも純粋な対価」と言えばいいでしょうか。

  1. ボーナスの基準: 「基本給 × ◯ヶ月」

  2. 残業代の単価: 「基本給 ÷ 月平均労働時間」が時給換算のベースになる

  3. 退職金の基準: 多くの企業で「退職時の基本給」が計算式に使われる

まさに、あなたに反映される給料のベースになります。

→基本給が増えれば、他のすべて(ボーナス・残業代・退職金)が自動的に底上げされる」という性質がある。

まさにベースアップですね・・・・

ちなみに増えるのは給料だけではなく、税金も社会保険料もセットで増えてしまいます。

社会保険料などは、仮に手当が上がっても同じように増えますが、基本給のように残業代・退職金・場合によってはボーナスにも影響しません。

→手当がボーナスに影響しない事例については、こちらの記事で紹介しています。

つまり、住宅手当が毎月1万円あがれば会社側としてはその1万円を考えればよくなります。

税金や社会保険料が増えることに関しては、長くなるため次の機会でご紹介します。

それでは、派遣時代になぜ難しいはずの基本給という項目があったのでしょうか?

 

正社員と派遣社員の基本給の違いとは?

派遣の場合は、基本給は約束された金額ではなく自分が働いた労働時間ということになります。

つまり、派遣社員で時給制の場合、基本的には「時給 × 労働時間」が基本給になるため正社員が思い描く基本給とは異なります。

どういうことかというと、正社員の基本給は「毎月、最低限これだけは支払いますよ」と契約で決まっている固定給。

つまり約束されたその企業で働く最低賃金です。

ただ、私が派遣時代も明細に基本給という項目はありました。

ですが、意味合いは全く異なります。

残念ながら、派遣時代に明細に書かれていた明細の項目にあった基本給の中身は、「時給 × その月の労働時間」を便宜上「基本給」という項目に当てはめられていただけでした。

つまり、工場カレンダー通りの勤務になるため6連休など休みが重なれば労働時間が減れば当然、労働時間が減るため基本給という名の時給が減っていくことになります。

つまり、派遣社員時代の「基本給」という項目は、時給換算された給料で固定の給料とは違いました。

正社員と派遣社員とで基本給とあった場合以下のような違いがあります。

 

1. 派遣の基本給 = 「時給の言い換え」

派遣の場合、工場カレンダーで稼働日が少ない月(正月、GW、お盆など)に給料がガクンと減るのは、こんな理由です。

  • 時給ベースの計算: 契約上の時給が例えば1,200円だとして、160時間働けば19.2万円、140時間しか働けなければ16.8万円になります。

  • 明細の書き方: 派遣会社によっては、この「働いた分だけの合計額」を「基本給」という欄に記載します。つまり、「中身は時給だけど、名前だけ基本給」という状態です。

つまり私の場合は、基本給と明細にありましたが中身は、働いた分の合計額が記載されていただけです。

 

2. 正社員の基本給 = 「月給固定(欠勤控除なしなら不変)」

一方で、正社員の基本給は、「月の稼働日数に関わらず定額」になります。

  • 工場カレンダーに左右されない: 2月のように日数が少なくても、5月の連休が多くても、「月給 20万円」なら毎月必ず20万円支払われます。

もしも、正社員から派遣になったら、安定感の差に驚くことになるでしょう。

なにしろ、派遣時代の「今月は休みが多いから生活が苦しい……」という不安がなくなるわけですから。

 

比較項目 派遣の「基本給」 正社員の「基本給」
中身の正体 時給の合計 月給(固定額)
計算の単位 1時間いくら(×時間) 1ヶ月いくら
連休の影響 モロに受ける(給料が減る) 受けない(休みでも減らない)
契約の重み 「働いた分払う」という約束 「1ヶ月拘束する分払う」という約束

 

派遣の「基本給」記載は合法!

1. なぜ「基本給あり」と書けるのか?(派遣会社視点)

派遣会社が基本給という言葉を使えるのは・・・

  • 「時給 × 時間 = 基本給」という計算式: 多くの派遣会社では、便宜上、残業代や深夜手当を計算するための「土台となる金額」を基本給と呼びます。

  • 労使協定方式の影響: 2020年の法改正以降、派遣会社は「基本給・賞与・退職金」を分けて計算する義務(内部的な計算)ができました。そのため、明細上も「基本給」という項目を作って数字を割り振っているケースが急増しました。

つまり、会社側にとっては「計算上の呼び名」ですが、働く側にとっては「毎月決まった額がもらえる保証」という意味に取られることがあります。

特に、正社員から派遣社員になった人からすれば、この時点で「基本給=固定給」と思い込むことは無理もないことだと言えるかもしれません。

ちなみに、正社員でも、欠勤すればその分給料が引かれる「日給月給制」を採用している会社は多いのではないでしょうか?

派遣会社はこれを利用して、「うちは月給制(基本給あり)ですが、工場カレンダーで休みだった分は『欠勤』扱いとして差し引いています」という立て付けにしていることが多いです。

ただし、「だから派遣会社は・・・」という単純な話ではありません。

派遣会社が「基本給」という項目を作るのは、国が決めた『同職種の正社員と同等以上の賃金を払う』というルールを守っている証拠でもあります。

ただ、その計算の基礎が『時給×時間』である以上、連休で減ってしまうという事実は変わらないのです。

また、派遣会社からすれば、まさに板挟みの状態になっているため、この点については次回で解説していきますね。

それでは、派遣社員には絶対に正社員のような基本給を支給している会社はないのでしょうか?

 

派遣でも正社員と同じ意味での基本給を支給している会社は存在するが・・・

結論から言うと、正社員と全く同じ意味(=「働いた時間に関わらず毎月固定」)で基本給を支給している派遣会社は非常に少ないですが、存在はします。

→「無期雇用派遣(常用型派遣)」を専門に行っている大手企業や、技術系・事務系の特化型派遣会社。

ただ、なぜ多くの派遣会社がそれを「やりたがらない(できない)」のかについては、派遣というビジネスモデル特有の「高い壁」があるためです。

「正社員と同じ基本給」にできない3つの壁

派遣会社が「完全固定の月給制」を導入できない(しにくい)最大の理由は、「売上と給料のズレ」にあると言えるでしょう。

①「売上」が時給制だから、 派遣会社の収入は、派遣先企業からもらう「時給 × 派遣社員の労働時間」です。

派遣で働いたことがある人は想像に難しくないと思いますが、休みが増えるため労働時間が減り、当然、給料も減りますよね。

そして、GWや正月で工場が休みになると、派遣労働者だけでなく、派遣会社の売上も大きく減ることになります。

→売り上げが減るのに、社員に払う「基本給」を固定にしてしまうと、連休の多い月は派遣会社が赤字になる。

 

②「待機期間」のリスク: 派遣契約が終了し、次の職場が決まるまでの間も「固定の基本給」を払い続けるのは、資本力のない派遣会社にとっては倒産リスクになります。

 

③工場のカレンダーに依存している: 特に製造業中心のエリアでは、工場の稼働日にすべてが左右されます。

自社(派遣会社)でカレンダーをコントロールできないため、固定給を約束しにくくなります。

→工場カレンダーについては、こちらの記事で紹介しています。

 

まとめ

派遣の「有り」は、正社員の「有り」とは別物と考えた方がいいでしょう。

例えば、派遣会社にとっての「退職金あり」は、「法をクリアするためのポーズ」であることが多いです。

2020年の法改正以降、多くの派遣会社が採用したのが「退職金前払い(時給上乗せ)方式」です。

→ 時給の中に、「退職金相当額(一般的に6%程度)」があらかじめ含まれているという理屈です。

一方で、正社員の退職金は、長く勤めるほど基本給に比例して膨らんでいく「本当の資産」です。

  • 派遣: 規定はあっても、手元には残らない(実質なし)。

→法律上は、「毎月の給料に上乗せして払っている(前払い)」という形なので、厳密には「もらっていない」のではなく「生活費に消えてしまっている」

  • 正社員: 基本給が上がれば、未来の退職金も増える(実在する資産)。

このように、派遣社員と正社員では大きな差があります。

ですが、派遣で働かなければ正社員として再び働くチャンスを見出すことはできませんでした。

さまざな働き方があり、それぞれがそれぞれの事情で今の働き方を選択しています。

その選択が、次に生きるためには追い込まれた時ではなく事前に知っておくことが必要です。

その一助になれれば幸いです。

 

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