同一労働同一賃金とは?合理的な差と不合理な差の違いをわかりやすく解説

 

皆さんは、「同一労働同一賃金」と聞いて、何を思い浮かべますか?

給料が正社員と同じ?

仕事内容が正社員と同じ?

そう思っている方も多いかもしれません。

ですが、実際の制度は少し違います。

答えは、合理的に説明できない差をなくすことです。

今回は、「これって合理的?不合理な差ってなに?」についてご紹介します。

 

そもそも同一労働同一賃金ってなに?

「雇用形態が違うだけで待遇に大きな差があるのはおかしい」というのが、基本的な考え方です。

  • 不合理な待遇差をなくす
  • 非正規雇用で働く人が安心して働けるようにする
  • 人材の確保や多様な働き方の実現につなげる

といった目的があります。

ただし、給料が同じになるという意味ではありません。

 

例えば・・・

Aさん(正社員)

  • 転勤あり
  • 昇進あり
  • 責任が重い

 

Bさん(契約社員)

  • 転勤なし
  • 限定業務のみ

この場合、仕事内容や責任が違えば給与が違っても問題ありません。

つまり、仕事内容や責任、配置転換などに違いがあれば、待遇差が認められる場合があります。

それでは、派遣社員の同一労働同一賃金はどうなると思いますか?

 

派遣社員の同一労働同一賃金?

2つの同一労働同一賃金

 

①派遣先均等・均衡方式

派遣先企業の社員との待遇を比較します。

仕事内容や責任などが同程度であれば・・・

  • 基本給
  • 手当
  • 福利厚生

などをできるだけ合わせます。

 

②労使協定方式

現在は、多くの派遣会社がこちらを採用しています。

派遣会社が、国が公表する賃金データなどを参考に給与を決めます。

そのため、派遣先の社員と同じ給与になるとは限りません。

さらに言えば、給与だけが対象になるわけではありません。

 

同一労働同一賃金の対象は多岐にわたる

例えば・・・

  • 基本給
  • 賞与
  • 通勤手当
  • 食堂
  • 更衣室
  • 休憩室
  • 福利厚生
  • 慶弔休暇
  • 教育訓練

なども対象です。

これらは、あくまで一例です。

実際には、それぞれの待遇について「仕事内容や責任などに照らして、合理的に説明できる差かどうか」が判断されます。

つまり、労働者が「なぜ待遇が違うのですか?」と質問した場合、会社には待遇差の内容や理由について説明する義務があります。

もし合理的な説明ができない場合は、改善を求められる可能性があります。

それでは、合理的ではない説明とは何なのでしょうか?

 

合理的ではないってどういうこと?

結論から言えば、「合理的ではない」とは、待遇に差があることを、仕事内容や責任などから説明できない状態です。

例えば、次のような要素を比較して判断されます。

  • 仕事内容
  • 責任の重さ
  • 配置転換(転勤・異動)の有無
  • 業務内容や役割の違い
  • その他の事情

これらに大きな違いがないにもかかわらず、雇用形態だけを理由に待遇へ差を設けている場合は、「不合理な待遇差」と判断される可能性があります。

 

実際の体験談

具体的に、私が派遣社員として働いていたときの事例をご紹介します。

当時は、正社員とほぼ同じ仕事内容を担当していました。

一方で、基本給や賞与については正社員とは待遇が異なっていました。

しかし、休憩室や食堂は正社員と同じように利用でき、不便を感じることはありませんでした。

また、派遣社員だったため、転勤や配置転換はなく、雇用契約も派遣会社との契約でした。

このように、仕事内容が似ていても、すべての待遇を同じにしなければならないわけではありません。

例えば、転勤や配置転換の有無、将来的な役割や責任などに違いがあれば、その違いに応じて待遇に差が設けられることもあります。

一方で、食堂や休憩室のように仕事内容との関係が薄い待遇については、私の職場では正社員と同じように利用できていました。

 

まとめると・・・

合理的な差の例

  • 正社員は転勤や管理職への昇進があるため、基本給や賞与が高い。
  • 危険な作業に従事する社員だけに危険手当が支給される。

→ 仕事内容や責任に違いがあるため、合理的な理由があると考えられます。

不合理な差の例

  • 正社員も契約社員も同じ業務をしているのに、契約社員という理由だけで食堂や休憩室の利用を認めない。
  • 同じ内容の研修が必要な仕事なのに、非正規社員だけ教育訓練を受けられない。

→ 雇用形態だけを理由に差を設けているため、不合理と判断される可能性があります。

派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、派遣先企業の正社員と給与体系が異なること自体は珍しくありません。

しかし、雇用主が違うという理由だけですべての待遇差が認められるわけではなく、その待遇差に合理的な理由があるかどうかが重要になります。

 

不合理だと感じたら?

基本的には待遇差について問題があると考えた本人(労働者)が声を上げることから始まります。

一般的な流れは次のようになります。

1.会社に説明を求める

    • 「なぜ正社員と待遇が違うのですか?」
    • 労働者は会社に待遇差について説明を求めることができ、会社はその内容や理由を説明する義務があります。

 

2.会社と話し合う

    • 説明を受けた上で、待遇の見直しを求めることがあります。

 

3.解決しない場合

    • 労働局の相談窓口や紛争解決援助制度を利用したり、最終的には裁判を起こしたりすることもできます。

つまり、国が自動的に「この会社は違法です」と判断して是正する制度ではなく、基本的には本人が「この待遇差はおかしいのでは?」と問題提起することから始まる制度です。

とはいえ、そもそも同一労働同一賃金の意味を履き違えていては双方で噛み合うことはないでしょう。

そのため、労働者側も最低限の知識が必要になります。

 

まとめ

同一労働同一賃金と聞くと、「給料も同じだ」とどうしても勘違いしてしまう人もいるでしょう。

ただ、実際は会社が「なぜ待遇に差があるのか」を客観的に説明できるかどうかで決まります。

逆に言えば、雇用形態だけを理由に差を設けているような場合は「不合理」と判断されてもおかしくありません。

また、会社側も制度を守る義務があるため、本人から指摘される前に待遇を見直している企業も少なくありません。

同一労働同一賃金は、国が自動的に待遇差をチェックしてくれる制度ではありません。

待遇に疑問を感じた労働者が会社に説明を求め、必要に応じて相談や法的手続きを行うことで、不合理な待遇差の解消を目指す仕組みです。

私のように、仕事内容はほぼ同じでも、正社員とは賞与や給与体系が異なるケースは派遣社員では珍しくありません。

私自身も派遣社員として働いていた頃は、「同じ仕事をしているのに待遇が違うのはなぜだろう」と疑問に思ったことがありました。

ですが、少なくとも「仕事内容がほぼ同じで賞与がない」という事実だけでは、直ちに同一労働同一賃金の違反とは言えません。

制度について調べてみると、「同じ待遇にすること」が目的ではなく、「合理的に説明できない待遇差をなくすこと」が目的だと知りました。

「派遣だから仕方ない」「正社員だから当然」と決めつけるのではなく、制度の目的を正しく理解することが、自分の働き方や待遇を考える第一歩になるのではないでしょうか。

まずは、この記事を通してその制度について少しでも理解が進めば幸いです。

 

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