皆さんは、派遣と聞いて「種類がたくさんあって難しそう」と感じたことはありませんか?
ですが、実は派遣は大きく分けて「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」の2つしかありません。
今回は、そんな派遣のなかでも無期雇用派遣について見ていきましょう。
派遣の種類については、こちらの記事で紹介しています。
▶️派遣の種類は2つだけ?無期雇用・有期雇用の違いを完全解説
Contents
そもそも、「無期雇用」ってどういうこと?
分かりやすく、私の事例を一つ挙げたいと思います。
私の場合、以前は全く別の仕事をしていましたが、収入面の不安から転職を考えるようになりました。
平均年収を大きく下回っていたため同職はあきらめて、未経験でしたが工場での割の良い仕事を探すことにしました。
求人を探していると、「正社員募集」という文言が並んでいましたが、実際は無期雇用派遣の募集でした。
何も知らない私は、「当時は未経験の職種への転職活動をしていましたが、正社員募集は意外と多い?」と呑気に考えていました。
ですが、この「正社員募集」という言葉は正社員を目指す人からすれば、かなり気をつけないといけないワードになります。
なぜなら、派遣社員の正社員を意味することが少なくないからです。
派遣社員の正社員?
実は、無期雇用派遣の場合、「派遣会社の正社員」という意味になり、法律上も嘘にはなりません。
例えば、「無期雇用スタッフ」と求人票に書かれていたら、あなたは正社員と誤認するかもしれません。
他にも、常用型派遣と書かれていたらこれも無期雇用派遣のことです。
ちなみに、「正社員登用あり」と書かれてもいても、あくまで可能性です。
結論を言えば、無期雇用派遣は派遣会社と無期契約なので、派遣会社の「正社員」ということで嘘にはなりません。
ただ、人によっては大きな誤解を生むことになります。
求人票を見るときに注意しないと、思い込みで正社員ではなく派遣社員になるかもしれません。
とはいえ、派遣社員といえど正社員ならそれほど悪くないと考えるかもしれませんね。
正社員と無期雇用派遣はそんなに違うの?
そもそも、無期雇用派遣は派遣会社と期間の定めなく(無期で)雇用契約を結んだ派遣社員のことです。
つまり、働く場所はクライアント先(派遣先) ということになります。
一方で、正社員は就業先の企業が雇用主です。
《正社員との決定的な違い》
| 正社員 | 無期雇用派遣 | |
|---|---|---|
| 雇用主 | 就業先企業 | 派遣会社 |
| 就業場所 | 基本固定 | 派遣先が変わることも |
| 昇進・昇給 | 就業先で決まる | 派遣会社の規定次第 |
| 帰属意識 | 就業先に属する | どこにも属しにくい |
無期雇用派遣のデメリット
- 雇用主が派遣会社 :就業先の業績悪化で契約終了になることあり(直ちに失職ではない)、福利厚生の格差、同じ仕事でも待遇差が生まれる。
- 就業場所が変わる :生活設計が不安定、人間関係・スキルがリセット、遠方派遣を断ると次の案件がなくなるリスク。
- 昇進・昇給が不透明 :頑張りが給与に直結しない、昇進ポストがない、派遣会社の業績に左右される。
- 帰属意識が持てない :「外の人」扱い、重要業務から外されやすい、名刺もなく疎外感を感じやすい。
一言でまとめると… 「雇用は安定しても、待遇・キャリア・居場所は不安定」ということになります。
もう少し具体的に正社員との違いを上げると・・・
《主な違い一覧》
| 正社員 | 無期雇用派遣 | |
|---|---|---|
| 雇用の安定 | 解雇は原則難しい | 派遣先がなければ待機になる可能性 |
| 給与 | 会社の規定で昇給あり | 派遣会社の規定次第 |
| ボーナス | あることが多い | ない・少ないことが多い |
| 昇進・キャリア | 就業先で積める | 積みにくい |
| 就業場所 | 基本固定 | 派遣先が変わることも |
| 社内の立場 | 社員として扱われる | 「派遣社員」として扱われることが多い |
| 退職金 | あることが多い | ほぼない |
正社員は、会社に「投資」してもらえる関係で、昇給・昇進・退職金・ボーナスは長く働くほど積み上がる仕組みになっています。
一方で、無期雇用派遣は「切られない派遣」ではあるものの、給与やキャリア形成の面では、正社員と比べて不利になるケースも少なくありません。
それでは、年収はどのように変わるでしょうか?
もしも、20年働いたとして、正社員と無期雇用派遣ではどのような差があるのでしょうか?
20年「正社員」と「無期雇用派遣」で働いた場合はどうなる?
例えば、40歳から中途採用で正社員と無期雇用派遣でそれぞれ務めた場合、どれくらいの差になるのでしょうか?
あくまで一例ですが、工場・軽作業の仕事を想定して試算してみます。
まずは、前提条件としていくつか決めていきます。
工場・軽作業/40歳中途採用の前提条件
前提条件
| 正社員 | 無期雇用派遣 | |
|---|---|---|
| 40歳時の月給 | 23万円 | 21万円 |
| 昇給 | 年3,000円アップ | ほぼなし |
| ボーナス | 年2回(計4ヶ月分) | なし |
| 退職金 | 約500万円(中途20年分) | なし |
| 就業期間 | 40歳〜60歳(20年) | 40歳〜60歳(20年) |
先程から伝えているように、無期雇用派遣の場合は昇給・ボーナス・退職金はない前提で計算していきます。
《20年間の合計》
正社員
- 給与合計:約6,240万円
- ボーナス合計:約2,080万円
- 退職金:約500万円
- 合計:約8,820万円
無期雇用派遣
- 給与合計:約5,280万円
- ボーナス・退職金:0円
- 合計:約5,280万円
A.差額:約3,500万円
正社員と無期雇用派遣、月給の差はたった2万円。
ですが、20年後にはこのシミュレーションでは3,500万円の差になります。
工場・軽作業/40歳中途採用/60歳までの20年間シミュレーション
- 正社員 合計 :約8,820万円
- 無期雇用派遣 合計:約5,280万円
- 差額 :約3,540万円

上のグラフは、40歳で工場・軽作業の仕事に中途採用された場合、60歳までの20年間でどれだけの差が生まれるかをシミュレーションしたものです。
月給ベースで見ると、正社員23万円・無期雇用派遣21万円とわずか2万円の差。
しかし、20年後に積み上がる金額は大きく異なります。
正社員は給与だけでなく、ボーナス(年4ヶ月分)と退職金(約500万円)が上乗せされます。
一方、無期雇用派遣にはボーナスも退職金もほぼありません。
その結果、正社員の生涯年収は約8,820万円、無期雇用派遣は約5,280万円。
差額は、約3,540万円にのぼります。
※シミュレーションを分かりやすくするため、無期雇用派遣はボーナス・退職金なしとして計算していますが、実際は、派遣会社によって異なります。
さて、そんな無期雇用派遣には大きなメリットがあります。
実際、わたしもこの大きなメリットで正社員になることができました。
無期雇用派遣のメリットとは?
私の場合は、未経験でしたが工場ではたらくことができました。
そこで、リフトの資格を取得しその工場で正社員として働くことができました。
正社員になったことで、ボーナスや退職金が支給されることになり年収が大きく変わりました。
また、基本給と昇給・手当が出るようになりました。
正社員を目指す人にとって派遣として頑張ることも、一つの道になるといえるでしょう。
無期雇用派遣のメリットを以下にまとめました。
1. 雇用期間の定めがない
有期雇用派遣と違い、派遣先との契約が終わっても即失職にはなりません。
次の派遣先を派遣会社が用意してくれるため、収入が途切れるリスクが低くなります。
「派遣切り」と呼ばれる突然の契約終了が起きにくいのは、大きな安心感につながります。
2. 未経験でも大手工場・有名企業で働ける
正社員採用では経験やスキルを問われることが多いですが、無期雇用派遣は未経験でも大手メーカーや有名企業の工場で働けるチャンスがあります。
実際、わたし自身も未経験で工場勤務をスタートしました。
働きながらリフトの資格を取得し、その実績を足がかりに正社員への道が開けました。
3. 正社員へのステップアップに使える
無期雇用派遣は「ゴール」ではなく「通過点」として使うことができます。
派遣先で実績を積み、資格を取得することで正社員登用のチャンスが生まれます。
いきなり正社員を目指すよりも、まず現場を知ってから正社員になるルートは、未経験者にとって現実的な選択肢です。
4. 地域によっては正社員より給与が高いこともある
特に地方の工場では、正社員の基本給より無期雇用派遣の時給換算の方が高いケースがあります。
ボーナスや退職金がない分、月々の手取りで補っている構造です。
「今すぐ収入を上げたい」という状況では、短期的にはメリットになることもあります。
5. 勤務地・職場を変えやすい
正社員は簡単に職場を変えられませんが、派遣は派遣先が変わることで環境をリセットできます。
「今の職場が合わない」と感じたときに、比較的スムーズに次の環境へ移れる柔軟さがあります。
〜無期雇用派遣はこんな人におすすめ〜
- 未経験から工場で働きたい人
- 大手企業の現場経験を積みたい人
- 将来的に正社員を目指したい人
- まずは安定収入を確保したい人
〜無期雇用派遣をおすすめしない人〜
- 同じ会社で長期キャリアを築きたい人
- 昇進や役職を目指したい人
- 退職金や企業年金を重視する人
- 転勤や職場変更を避けたい人
私が無期雇用派遣を経験して感じたこと
私自身は無期雇用派遣そのものを否定するつもりはありません。
実際に無期雇用派遣をきっかけに製造業の経験を積み、その後正社員として働くことができました。
ただ、求人票の「正社員募集」という言葉だけで判断してしまうと、後から「思っていた働き方と違った」と感じる可能性があります。
だからこそ、応募前に無期雇用派遣なのか、就業先の正社員なのかを確認することが大切だと思います。
まとめ
今もらえる月給だけで比較すると、この差は見えてきません。
老後の生活を左右するのは、毎月の給与ではなく、20年間で積み上がる総額です。
工場・軽作業で長く働くなら、雇用形態の選択が将来を大きく変えます。
無期雇用派遣は「派遣なのに正社員」という少し分かりにくい働き方です。
派遣会社と無期契約を結ぶため雇用は比較的安定していますが、就業先の正社員と比べると昇給・ボーナス・退職金・キャリア形成で差が生まれることも少なくありません。
私自身も求人を探していた当時は「正社員募集」という言葉を見て、一般的な正社員だと思っていました。
これから仕事探しをする方は、求人票の「無期雇用」「常用型派遣」という表記を確認し、自分が目指す働き方と合っているかを判断することが大切です。






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