前回、「食品表示法」についてお伝えしました。
今回も、食品表示法になにがかわったのか「その2」をお伝えします。
「その1」については、こちらの記事で紹介しています。
食品表示法とは?
これまで、「食品表示」は食品衛生法・JAS法・健康増進法といった目的が異なる法律でルールが定められていました。結果的に分かりにくい表示になってしまい誰にとってもわかりにくい表示となってしまっていました。
そこで、これら3つの法律を統合して整理した「食品表示法」という新しい法律が平成27年4月1日に施工されました。
さて、それでは「食品表示法」よりなにが変わったのか「その1」の続きを見ていきましょう。
加工食品への栄養成分表示の義務化
義務化された5つの成分表示
原則として全ての*¹一般用加工食品及び*²一般用添加物に、
- 「熱量」
- 「たんぱく質」
- 「脂質」
- 「炭水化物」
- 「ナトリウム(ナトリウムの表の仕方は、食塩相当量で表示)」
これら、5つの表示が義務づけられました。
*¹一般加工食品:業務用加工食品を除く加工食品。(→業務用加工食品とは、消費者に販売される形態となっているもの以外の物)
*²一般用添加物:容器包装された、一般消費者向けに販売される添加物
例えば、図1のような表示になります。
図1は、私が食べているウインナーの成分表示です。
図1 栄養成分表示
栄養成分表示(100g当たり)
エネルギー | 285kcal |
たんぱく質 | 14.3g |
脂質 | 22.5g |
炭水化物 | 6.4g |
食塩相当量 | 2.6g |
上記のように、前述した加工食品の成分表示5つの表示が義務づけられています。
→「食塩相当量」は、ナトリウムのことです。
任意の表示事項をプラスして表示
ですが、他にも糖質オフ商品などその商品の特徴として表示する必要がある商品もありますよね。
このように、義務表示に加えて任意の表示事項を記載する場合は図2のようになります。
図2 任意の表示事項を記載する場合
栄養成分表示 食品単位当たり
熱量 | ●kcal |
たんぱく質 | ●g |
脂質 | ●g |
ー飽和脂肪酸 | ●g |
ーn-3系脂肪酸 | ●g |
ーn-6系脂肪酸 | ●g |
コレステロール | ●mg |
炭水化物 | ●g |
ー糖質 | ●g |
ー糖類 | ●g |
ー食物繊維 | ●g |
食塩相当量 | ●g |
上記以外の栄養成分 | ●mg |
食品表示法の限界
ここで注目して欲しいことは、義務表示の5種類はあくまでも大枠としての表示でしかありません。例えば、図2からみても分かるように「脂質」のなかには飽和脂肪酸やコレストロールなど、もっと細かく分類することができます。
ですが、「飽和脂肪酸」とか「n-3系脂肪酸」「n-6系脂肪酸」といわれても、「そういう添加物が入っているんだろう・・・」
ぐらいにしか考えませんよね。これが、食品表示の限界かもしれません。
ポイント!
①図1の成分表示の5つの表示の義務は大枠でしかない。(「脂質」と一言でいっても、どんな種類の脂質に関係する添加物が入っているか分からない)
②図2のように、添加物の表記があってもそもそもどういった添加物か消費者は知らないので、ダイオキシンと同じで「危険!」といわれればすぐに信じてしまう。
基本的には、5つの成分表示以外は省略していいので購入時は分かりません。
そもそも栄養成分表示が省略できる食品
❶容器包装表示可能面積がおおむね30㎠以下の物。
→ただし、30㎠以下の物であっても「保存方法」と「期限表示」は表示が義務付けられました。
➋酒類
❸栄養の供給源としての寄与の程度が小さい物。
→熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物及びナトリウムの全てにおいて、「0」と表示することができる基準を満たしている場合。
→「その食品」から、1日に摂取する栄養成分の量や熱量が社会通念上、微量である場合。
例)コーヒー豆やその抽出物・スパイスなど。
❹極めて短い期間で原材料が変更される物。
→日替わり弁当(サイクルメニューを除く)やレシピが3日以内に変更される物。
❺消費税法第9条第1項に規定する小規模事業者が販売する物。
→複数の部位を混合しているためつど原材料が変わる物。
例)合挽肉・焼き肉セット・切り落とし肉等の切り身を使用した食肉加工品・白もつ等のうち複数の種類・部位を混合しているためつど原材料が変わる物。
*例えば日替わり弁当に「成分表示」がないからといって、さすがに成分が「0」とは誰も思わないですよね。このように、成分表示は絶対的なものではありません。
最後に
「その1」では、食品表示法の有効性について紹介していますがそれとは対照的に今回の「その2」では食品表示法の注意点についてご紹介しました。
どんな法律も完璧なものはなく解釈の仕方によっても真逆のことがいえたりします。消費者にできることは、法律を知ることだと思います。知らなければ損をするのは結局、私達消費者になってしまいます。
また、テレビで「●●は危険だ!」「●●は身体にいい!」なんてよく放送されますが、誰にとって安全なのか・危険なのかいまいち分からないことが多くないですか?
与えられた情報はあまり鵜呑みにせず、自分で調べてみてはいかがでしょうか?
参考
新しい食品表示制度
→http://www.pref.toyama.jp/sections/1613/anzen/2_info/pdf/280401syokuhinhyouzipannfuretto.pdf
徳島県防災・危機管理情報
→https://anshin.pref.tokushima.jp/docs/2015081100752/
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