皆さんは、「電気は使えて当たり前!」と思えているでしょうか?

スマホ・パソコン・テレビなど、私達の周りには電気がなくては止まってしまう物にあふれています。

ですが、現実問題として停電は多くの人が経験していることではないでしょうか?

私が子どもだった20年程前は、雷などで何度か短時間の停電を経験しています。

ですがそれでも、「スイッチを押せば電気はつくし、コンセントに差せば電気が通ると当たり前!」と、誰もが信じているのではないでしょうか?

つまり、すくなくとも、日本の電気供給は安定しているということになります。

今回は、そんな電気が「停電により使えなくなったとき、どうやって復旧しているのか?」についてご紹介します。

*関西電力を例にご紹介します。

 

→停電の原因については、こちらの記事で紹介しています。

電気が当たり前に使えるのはなぜ? 電力の供給=⚪⚪

 

停電から復旧?

そもそも、日本は電線が網の目のように張り巡らされていますよね。

もとをたどっていけば、山奥に建設されている発電所からだったりします。

ですが、そんな数百kmもある範囲のどこの電線が異常をきたしているかなんて、普通に考えたらそもそも発見することすら不可能だと思いませんか?

ですが、事象として実際に停電は起きているとなると、復旧するためには場所を特定する必要があります。

 

配電自動化システム

配電自動化システムは、停電の原因となっている区間を自動的に検出し故障区間外へ自動的に電気を送る仕組みのことです。

つまり、配電線は他の配電と連携できる仕組みになっているため、まさに「網の目」のように張り巡らされています。

*各区間の電柱は、「開閉器」と呼ばれるスイッチがあるため遠隔操作で電気のON・OFFが可能。

それでは、実際に停電が起こると配電自動化システムはどのように働くのでしょうか?

 

配電自動化システムだけで復旧できる場合

図1《配電自動化システム活用》

例えば、図1のような①~⑤の電柱に囲まれた区画があったとします。

②と③をつなぐ電線に木の枝が突風にあおられ一時的に接触した場合、変電所のスイッチが自動的に切れ①~⑤の電柱の送電も全て切られます。

この場合、停電になった木の枝は突風がやめば停電原因が取り除かれることになります。

一方発電所は、停電発生から1分後にスイッチが入るため送電が開始されます。

→①~⑤の全区間を自動で復旧することができます。

このように、配電設備は網の目のように区間が設定されており、異常があれば定められている区間全てが停電することになりますが、問題がなければ配電自動化システムにより、短時間で自動的に送電が開始されます。

それでは、断線などにより配電自動化システムでは修復できない場合はどうしているのでしょうか?

 

配電自動化システムだけでは復旧できない場合

図2《区画の一部が断線》

例えば、台風により②と③の区画が電線が木が倒れた時に断線したとします。

図1と同じで、変電所Aの配電が自動的にOFFとなり①~⑤の区間は停電。その後、変電所Aから1秒後に送電開始。

ここまでは同じです。

ところが、⑤→④→③まで送電できても②への送電は切断されている状態ですよね。

そのため、再び変電所Aのスイッチが切れ全区間停電します。

同時に、異常が特定された②と③の電柱の送電をロックし切り離します。

つまり、送電できなかった配電線=停電原因のある配線だと分かります。

→この時点で、修復場所の特定が完了。

ただ、このままでは配電線に問題ない場所まで停電が続くことになります。

そこで、網の目のように張り巡らされている配電線が活用されます。

 

《変電所Bの存在》

図2にある変電所Bが、変電所Aの区間にある配電線の電気を供給していきます。

つまり・・・

  • 変電所A・・・断線していない③~⑤までの送電。
  • 変電所B・・・断線していない①~②までの送電。

このように、断線している②~③以外の送電が開始されます。

maxmann / Pixabay

 

《ポイント!》

  1. 停電してもすぐに解消されれば、あなたの区画の送電線は問題がない。(配電自動化システムのみで問題解消)
  2. 2度停電したがその後すぐに復旧した場合は、あなたが住む区画のどこかに異常があるが、あなたとは別の同じ区画の送電線に異常がある。
  3. 電気が消えて一度も復旧しない場合は、あなたの区画のあなたが使用している電線に異常がある。

 

特定された②~③の区間は、作業員が出向き事故原因の調査・復旧がおこなわれるという仕組みになっています。

 

そもそも点検が日々、繰り返されている!

  • 巡視点検作業
  • 配電設備の更新(メンテナンス)

 

《巡視点検の例》

例えば、1番険しい山では約90本の電柱を巡視するために早朝に出発し丸1日かかることもあるようです。

当然、山登りになるため「クマよけの鈴」や、蜂に刺されたときの毒を吸い出す「吸引器」「ロープ」など、まさに登山の装備が必要になります。

つまり、電気があたり前のように使えている環境(高品質な電気の安定供給)は、逆の意味で異常な状態ということができるかもしれません。

また、送電線の異常といっても、原因はさまざまですよね。

  • 電柱折損
  • 高圧配電線断線
  • 変圧器故障
  • 引込線断線

などなど・・・

 

復旧までの経路

被害状況調査・確認

⇊ ⇊

保安措置

⇊ ⇊

それぞれの事故原因からの復旧。

停電の復旧は、停電エリアを狭めながら順次進められています。

 

最後に

停電箇所の特定や復旧は、迅速にできる態勢になっていることが理解できたのではないでしょうか?

ただ、台風や地震などにより電線だけでなく電柱や鉄塔といったそもそもの支柱が倒れてしまえば、復旧までに時間がかかることはいうまでもありません。

老朽化・基準値以上の強い風や地震など、私達の想定を越えてくるのが昨今の自然災害です。

そして、電気がないことで命に関わる場合もあります。

モバイルバッテリーがどんどん小型化しているように、冷蔵庫が何日も使えるほどの大容量の自家発電機が一家に一台装備できるようになればいいのですが、まだまだ難しいのが現状です。

想定外が当たり前になり、一般レベルでの電源の確保など今後の新しい取組みが期待されます。


参考

関西電力
https://www.kepco.co.jp/souhaiden/supply/teiden.html

 

 

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