電気が当たり前に使えるのはなぜ? 電力の供給=⚪⚪

 

前回、「電気がどうやって私達の所までやってくるのか?」についてご紹介しました。

ただ、日本の環境(四季による雷・雪・台風・地震などさまざまな自然環境や烏などの野生動物)を考えると、季節によってはもっと頻繁に停電してもおかしくないないような気がしませんか?

実際は、そんな状態だと困りますが・・・

それでは、なぜ震災や台風でもない限りそうそう停電になることはないのではないでしょうか?

今回は、「なぜ頻回に停電にならないの?」についてご紹介します。

 

停電と電気の供給についてはこちらの記事で紹介しています。

電気がこない!? 電気が送られてくる仕組みと停電の理由 

 

日本で初めてのブラックアウト

確かに、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震ではブラックアウト(大規模停電)が発生。

2019年にも台風15号により千葉県が大規模停電に陥り、1週間以上経過しても完全に復旧できず「かくれ停電」なんて言葉が生まれるほど大変な事態に陥っています。

ただ、これまで台風は毎年のように何度も来ていますよね。

そもそも雪も降れば、ゲリラ豪雨や雷にさらされています。

ですが、基本的にこれほどまでの大停電に見舞われることはなかったのではないでしょうか?

だからこそ、「今回の大停電は大きく取り上げられている」ということができます。

ちなみに、北海道胆振東部地震で発生したブラックアウトは「日本で初めて」と言われています。

 

→北海道胆振東部地震についてはこちらの記事で紹介しています。

ブラックアウトの影響 ~「電気のない世界」からのサバイバー?~

それでは、「自然災害大国」と言われる日本でなぜ大規模な停電が少ないのでしょうか?

 

日本は停電に強い?

停電回数の国際比較

《図1 日本・アメリカ・欧州との国際比較》

東京電力ホールディングスが示している図1の国際比較を確認すると、各国で比べるとアメリカニューヨーク州よりは多くなっていますが、それ以外の国と比較すると圧倒的に少ないことが分かります。

 

1軒あたりの年間停電時間の国際比較

関西電力のHPを確認すると各国の停電時間は以下、図2のようになっています。

《図2 各国の停電時間比較》

  • 関西電力・・・2016年実績
  • 日本・・・2015年実績
  • アメリカ・・・2015年実績
  • ドイツ・イギリス・フランス・イタリア・・・2013年実績
  • 韓国・オーストラリア・・・2014年度実績

となっています。

関西電力だけをみると、まさに世界一短い停電時間と言えるでしょう。


このように、停電回数・時間はともに世界と比較しても安定して供給できていることが分かります。

とはいえ、そもそも山奥~市内地までありとあらゆる場所に電線が張り巡らされていますが、電線に一本でも影響があれば停電する恐れがあります。

つまり、いつ・どこで・どんな原因で電気が遮断されるか分かりませんよね・・・

それこそ、なにかの原因で電線に木が接触しただけでも停電は発生してしまいます。

そう考えると、毎月停電していてもおかしくないような・・・

それでは、なぜ各国と比較しても安定供給が実現できているのでしょうか?

 

安定供給の秘密とは?

例えば、東京電力パワーグリッド(東京電力のグループ会社)では、このような取組みがおこなわれています。

①送電線ルートを網の目状に設置し、1つのルートが使用できなくとも他のルートで送電可能。

②停電発生時の自動停電復旧システム。

③24時間常駐の運転員による系統切替操作。

④常駐保守員が被災現場に出向し、現地で応急復旧をおこなう。

さらに、地震など災害に備えたさまざまな停電対策がおこなわれています。

 

停電対策

地震対策として、電気技術指針・電気設備の技術基準等にもとづいて設置されているため、そもそも電気設備は耐震性をもった構造になっています。

さらに、液状化対策や鉄塔基礎の補強などが施されています。

また、台風の水害対策として・・・

  • 電力設備を有する建物自体の防潮扉や防水扉といった水密化(水圧に対して水が漏れ出ない状態のこと)
  • 充電部のかさ上げ。
  • 機器の防水・耐水構造化

といった、対策もおこなわれています。

pixel2013 / Pixabay

さらに、碍子(がいし)と呼ばれる送電線や変電機器の絶縁を担うものがあります。

ただ、碍子は台風による潮風等で塩分が付着すると、絶縁が悪くなり停電が発生する恐れがあります。

そのため、塩害の恐れが高い地域は台風前後の活線碍子洗浄塩分の付着しにくい碍子の利用がなされています。

→他にも、積雪で断線しないように難着雪リング(着雪を成長させない)電線間に絶縁物のスペーサを設けるといった対策もおこなわれています。

このように、「電力の供給=停電対策」となるため、まさに科学の粋が結集しています。

ですが、現実問題としてどんなに対策をしても、想定外が繰り返されるのが自然災害です。

そして、これからも新しい対策が施されまた想定外が発生という「トライアンドエラー」が繰り返されていきます。

 

最後に

今回は電力を供給するための(停電対策)取組みについてほんの一部を紹介しました。

ただ、どんなに自動復旧ができる設備を導入したとしても、最後は人の手で復旧する必要があります。

忘れてはいけないことは、24時間私達の電力需要を守ってくれている現場の人達がいてくれているということです。

逆に言えば、これだけしなければいつ停電になってもおかしくはありません。

さらに、これだけさまざまな対策を実施しても想定外が繰り返され、今回の千葉県で発生したような台風による大停電が発生してしまいます。

少なくとも、電力供給のためにさまざまな工夫がなされ、24時間電力供給のために頑張ってくれている人達の存在をないがしろにしてはいけないでしょう。

特に、子ども達にはどんな状況下でも頑張ってくれている人達がいることを伝えてあげられるといいですね。

 

停電からの復旧についてはこちらの記事で紹介しています。

停電復旧はあたり前? 配電自動化システムとは?

 


参考

東京電力ホールディングス
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/electricity-supply/1253674_6280.html

関西電力
https://www.kepco.co.jp/corporate/profile/data/teiden_hikaku.html

 

 

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