地震が発生したときに、震度だけではなく「マグニチュード」という言葉をよく地震速報でも聞くことがあると思います。
今回は、マグニチュードを理解すれば発生した地震の大きさが分かる「今だからこそ知っておくべきマグニチュードの意味」について紹介します。
マグニチュードってなに?
マグニチュードとは、「地震の規模の大小を定量的に表わしたもの」です。
ちなみに、地震は「揺れの大きさ」を示しています。
これだけの説明では、マグニチュードも地震と同じような意味にとらえてしまうかもしれません。
ですが、それならそもそも分けてニュース速報で伝える必要はありません。
例えば、震度は地域によって揺れが違うのでそれぞれの地域で「震度⚪」という表示が日本地図を使って表示されますよね。
震度は7までしかないので、どれだけ被害があっても同じ震度7です。
ですが、マグニチュードというのはその地震そもそもの大きさを示しています。
■地震を車のヘッドライトで例えると・・・
- マグニチュード:車のヘッドライトの光。
- 地震:ヘッドライトが当たる場所。
マグニチュードが高ければたかいほどヘッドライトは強力に光り、ライト当たる部分(震源地付近)はより明るく照らされます。
このことから、震源地から近いと影響が大きいですが、離れれば地震の被害は少なくてすむと考えられていました。
ですが、地震の場合は車のヘッドライトとは違う現象が起こります。
確かに、震源地が遠いほど被害はすくなくてすむのですが想定外のことが起こります・・・
これまでは、震源から離れれば被害が少なくてすむという考えかたが主流でした。
しかし、「長周期地震動」という数百㎞離れた高層ビルなどが大きく揺れることから、上空からさまざまな物が上から降ってくるという状況も想定しなくてはいけないことが分かってきました。(想定外が1つなくなったので、防災の観点から考えると大きな進歩です)
建物には、それぞれ揺れやすい地震の周期というものが存在しています。
そして、高層ビルなどの高い建物は大きな地震であるほど揺れが激しくなり震度3など本来なら大丈夫だと思われていた遠くはなれた場所の高い建物まで大きく揺らしてしまいます。
これを長周期地震動といいます。→マグニチュードが大きいほど揺れは遠くに伝わります。
長周期地震動についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
マグニチュードで表わされる数値はなにを意味するの?
例えば、2016年4月14日に発生した熊本地震の時は震度7(最高レベル)・マグニチュード(M)は6.5でした。その2日後、4月16日にはマグニチュード7.3の地震が発生しました。
地震は、本震のあとはそれよりも弱くなるのが当たり前です。
ですが、熊本地震で発生した震度7・マグニチュード6.5は本震ではなくその2日後のマグニチュー度7.3の地震が本震でした。
これにより、防災対策の認識も大きく変わり本震の判断は安易にはできないことがわかり震災後は避難所で過ごす対策がなされるようになりました。
マグニチュードの考え方
マグニチュードは、10.0が地球上で起こりえる最大の地震です。
ちなみに、マグニチュード12.0は地球が真っ二つになる規模の大きさとさていますが現実的に観測することは不可能です。
これまでで観測された最大規模の地震は1960年に発生したマグニチュード9.5のチリ地震(震度7)でした。
この時の被害は、震源地のチリだけでなくハワイ島や日本・オーストラリアなど太平洋全域を襲った超巨大地震でした。
これが、マグニチュード9.5のエネルギーです。
同じ震度7で甚大な被害をもたらした熊本地震で発生したマグニチュード6.5とはまったく違う規模だということが分かります。
なぜ、ここまで被害が違うのでしょうか?
マグニチュード別の被害状況
マグニチュードは1増えると地震のエネルギーは約32倍。
2増えると地震のエネルギーは約1,000倍(32✕32)という巨大な地震になります。
3増えると地震のエネルギーは約32,000倍(32✕32✕32)という途方もない地震になります。
つまり、熊本地震が発生したマグニチュード6.5の32,000倍の地震がマグニチュード9.5のチリ地震だったということです。
また、一般的にはマグニチュード6を超える直下型地震が地下20メートル前後の深さで起こると、ほぼ確実に死傷者をだす災害が起こるとされています。
このことをふまえて、マグニチュード6以上から地震の種類を説明します。
マグニチュード6.0以上の地震
中地震(マグニチュード5.0~6.5)
- これより大きな地震で津波の危険があります。
- 熊本地震の前震。
大地震(マグニチュード7.0~7.5)
- 熊本地震の本震。1995年の阪神・淡路大震災(マグニチュード7.3)など。
- 地下核実験により人工的に起こされた最大の人工地震。
- 内陸では大災害、海底であれば津波。
巨大地震(マグニチュード8.0~8.5)
- 2015年の小笠原諸島西方沖地震(マグニチュード8.1)
- 史上最大の核兵器が放出したエネルギー
- 内陸では広域大災害、海底であれば大津波。
超巨大地震(マグニチュード9.0~9.5)
- 2004年に発生したスマトラ島沖地震(マグニチュード9.1~9.3)
- 2011年に発生した東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)
- 1960年に発生したチリ地震(マグニチュード9.5)→これ以上の地震は、地質調査でも発見されていません。
- 数100~1,000㎞の範囲で大きな地殻変動が発生。広域で大災害・大津波。
日本の地震リスクは?
衝撃的な事実としては、人工的にマグニチュード7.0の地震(大地震)なら起こせてしまうことです。そして、核がもつエネルギーはマグニチュード8.0以上の地震(巨大地震)に匹敵します。
陰謀論のように「人工的に巨大地震が引き起こされている!」なんて、そんな話をネット上でまことしやかに書かれているブログもありましたが審議は不明なのでそれはそれとして・・・
地震大国といわれるように日本には、活断層(地面がずれ動くとされる断層)が推定で2,000ヶ所はあるとされ日本で起こる震度6以上の地震は世界の20%もしめています。
それだけ、日本に地震が集中していることがわかります。
ただ、20%といわれても少なく感じるかもしれないので世界の面積でもう少し具体的に説明します。
日本と世界の面積
世界の面積は、約1億3612万7,000㎢です。日本の面積は約37万8,000㎢です。つまり、世界で比べると日本の面積は約0.28%です。
この、0.3%にもみたない範囲でマグニチュード6以上の地震のうち、世界で発生する20%の地震が集中(10回中2回発生)しています。
日本が「地震大国」といわれるのも納得できるのではないでしょうか?
マグニチュードが6以上あれば死傷者がでている可能性が高いです。
そして、「7以上なら大地震」・「8以上なら巨大地震」・「9以上なら超巨大地震」です。
マグニチュードの数値を確認しながら、地震の規模を予想しながら避難行動がとれるようにしていきたいですね。
例えば、マグニチュードが8以上なら広範囲にわたって甚大な被害がでているため救助が大幅に遅れることが予想できます。
そのため、長期間個人で生き抜く必要があります。
地震情報を正確に理解して、避難活動に生かせるように少しずつ理解を深めていけるといいですね。
まとめ
- マグニチュードは、1増えると地震のエネルギーは約32倍・2増えると約1,000倍と数値で危険性がまったく違う。
- 日本の面積は世界の0.3%もないにもかかわらず、世界のマグニチュード6以上の地震20%が集中している。
- 同じ震度7でも地震の規模はまったく違う。
- マグニチュードを知ることで、震度7だけでは分からないその地震のエネルギー(被害など)を知ることができる。
参考
気象庁
→https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq27.html
国土技術研究センター
→http://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary12
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