最近では、「新型コロナウイルスに効果がある」というような謳い文句で、様々な商品が売られていますよね。
健康食品もそうですが、食品だけでなく例えば顔に吹き付けることで除菌できるスプレーなども販売されています。
それでは、こういった商品は本当に効果があると思いますか?
少なくとも、新型コロナウイルスに効果があるかどうかは科学的な確証はないでしょう。なぜなら、新型コロナウイルスは日本で「指定感染症」に分類されているためです。
「指定感染症に分類される」と言うことは、暫定的とはいえもっとも危険なウイルスである一類感染症としても扱うことができる感染症に指定されていることを意味します。
→消費者庁のHPにも掲載されていますが、「民間施設で新型コロナウイルスの試験実施は現状不可能」です。
つまり、新型コロナウイルスは誰もがおいそれと簡単に研究できる対象ではありません。
今回は、そんな違法表示を取り締まる「消費者庁が出している注意喚起(新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請等及び一般消費者等への注意喚起について(第2報))」についてご紹介します。
→指定感染症についてはこちらの記事で紹介しています。
新型コロナウイルスに効果がある商品?
そもそも、いまだによく分かっていないはずの「新型コロナウイルスに効果がある」なんて商品が普通に売られている時点で、本当に効果があるのかを疑う必要があります。
もしもダイエット食品なら、ありえない量を食べ過ぎるなど、誤った使い方をしなければ、基本的に命を落とすことはないとは思います。
ただ、今回はパンデミックを引き起こした命に関わる感染症です。
「効果がなかったごめんね!」と放置するには、あまりにも危険なことが誰の目にも明らかですよね。それでは、消費者庁ではどういった対策を講じているのでしょうか?
消費者庁が実施している注意喚起とは?
2020年3月27日
消費者庁は、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に乗じ、インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする健康食品、アロマオイル、光触媒スプレー等(以下「ウイルス予防商品」という。)に対し、緊急的追加措置として、景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から表示の適正化について改善要請等(別紙1)を行うとともに、マスクのおとり広告に対し、景品表示法(おとり広告告示※)の観点から再発防止の指導を行いました。また、SNSを通じて一般消費者等への注意喚起(別紙2)を行いました。
つまり・・・
❶新型コロナウイルスに対する予防効果を標榜する「ウイルス予防商品」の表示の適正化を改善要請。
➋マスクの在庫が十分ないにも関わら、「マスクが十分にある」とマスクをおとりに集客する行為。
❸SNSを通じて、一般消費者への❶や➋への注意喚起。
こういったことが実施されました。それでは、適正化のためにどんなことが行われるのでしょうか?
「新型コロナウイルス予防商品」を適正化!?
例えば、薬局でも「スプレーを顔に吹きかけることでマイナスイオンの効果でウイルスをある程度防げるスプレー」などが売られています。
ですが、新型コロナウイルに効果があるかどうかは分かりません。もちろん、薬局で売られているスプレーには、そういった標榜もされていません。
なぜなら、効果の分からないこと(「新型コロナウイルスにはコレ!」といった不当表示)を勝手に標榜することは犯罪だからです。
「景品表示法」や「その他の法律」が冗談じゃないぐらい厳しい!
インターネット広告でウイルス予防商品を販売している30事業者46商品の表示について、緊急的に改善要請が実施されました。
ちなみに、今回の改善要請に従わなければ事業者は景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)により・・・
- 2年以下の懲役または300万円以下の罰金。(36条)
- 措置命令に従わない事業者(法人・自然人・法人でない団体)は、違反行為者とともに3億円以下の罰金。(38条)
- 報告義務が課された場合、報告や物件の提出をしない・虚偽の物件を提出するなど報告義務に従わない場合、1年以下の懲役または300万円以下の罰金(37条)
他にも、措置命令違反の計画や違反行為を知って、必要な措置を講じなかった法人の代表者や団体の役員理事・管理人・代理人に対して300万円以下の罰金に課される可能性もあります。
さらに「行政処分」が導入!
これだけでなく、景品表示法に違反すると平成28年からは「行政処分」が導入されています。これにより、売上額の3%の課税金が最長で3年間算定されることになります。
例えば、3年間で「新型コロナウイルスに効果がある」と偽って除菌スプレーを販売し6,000万円の売上があった場合、改正景品表示法により最大で180万円の課税金を支払うことになります。
他にも、「健康増進法」や「不正競争防止法違反」の可能性があるなど、余罪がいくつも付く可能性があるため「不当表示」を甘く考えて販売してしまうと人生が終了します。
つまり、こういった対象になる違法な商品の緊急監視措置を消費者庁が実施したということです。さらに言えば、現時点(2020年4月9日)で新型コロナウイルに確実に効果のある商品は市販されていません。
そして、改善要請等を行った当該事業者がオンライン・ショッピングモールに出店している場合は、当該ショッピングモール運営事業者に対しても、表示の適正化について要請されました。
さて、今回の緊急措置はあくまでも追加の措置です。つまり、すでに1回目の緊急措置が実施されています。
それが、2020年3月10日に消費者庁が発表した「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について 」です。
初めての緊急措置とは?
消費者庁は、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に乗じ、インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌商品等(以下「ウイルス予防商品」という。)に対し、緊急的に景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から改善要請等(別紙1)を行うとともに、SNSを通じて一般消費者への注意喚起(別紙2)を行いました。
この時は、30事業者46商品の表示について緊急的に改善要請が実施され、すでに全ての表示が改善されています。
つまり、「1回目では対処しきれず2回目も実施する必要があった」と言うことです。今後も、何度か緊急措置が必要になるかもしれませんね・・・
それでは、どんな商品が違法な表示だっだと思いますか?
違法は表示が付けられていた商品とは?
多くの人は、「健康食品」や「除菌スプレー」、「身につけるだけで空間のウイルスが除去できる空間除菌剤」などを想像するかもしれません。
確かに、多くのこういった商品も違法表示の対象になっていましたが、実はイオン空気清浄機にも違法な表示がされていました。
空気清浄機と言えば、私も「ハウスダストに効果が高い!」とされる空気清浄機の記事は書いたことがあります。ただ、新型コロナウイルスへの効果については分からないため触れることができませんでした。
確かに、ウイルスの大きさを考えれば理論的には空気清浄機の性能によっては、新型コロナウイルスは除去できそうです。
ですが、それはあくまでもただのイメージてあって、科学的に証明されていません。
つまり、「新型コロナウイルスに抜群の効果!」といった標榜を空気清浄機に標榜すれば、違法な表示となります。
このように、私達のイメージを巧みについてくるため、誰もが科学的根拠もない違法な表示に騙される可能性があります。
→空気清浄機のポイントについてはこちらの記事で紹介しています。
最後に
緊急事態宣言が東京を含めて一部の地域で発令されました。すでに発令された地域では店を閉めるかどうかという問題をはじめ、様々な混乱が出ています。
そんな、冷静な判断が付かない状況下ですので、新型コロナウイルス関連の商品はこれからも出てくるでしょう。
正直、法律的には違法な表示だったとしても、本当に効果のある物なら私も欲しいとは思います。おそらく、既存の製品で効果がある商品もあるでしょう。
少なくとも、ウイルスに効果のある商品は新型コロナウイルスにも一定の効果がありそうですよね。ですが、残念ながらそれはあくまでもイメージの域を超えることはありません。
もしも、このイメージ先行で販売を許してしまうと、以前のような玉石混合の時代に戻ってしまうでしょう。今も、そういった部分があることは否定しませんが・・・
ただ、いつの時代も標榜表示はイタチゴッコになるため、粘り強く続けていくしかありません。
そして、私達消費者が「新型コロナウイルスに効果が・・・」なんて標榜している商品を買わないようにすることができれば、そういった商品は自然と淘汰されていくことになります。
騙されないようにご注意下さい!
参考
消費者庁:新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請等及び一般消費者等への注意喚起について(第2報)
→https://www.caa.go.jp/notice/entry/019433/
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