無断欠勤の退職日はいつ?退職扱い・自然退職・解雇の違いを解説

 

無断欠勤をした従業員がいる場合、会社はどのように対応すればよいのでしょうか?

また、無断欠勤をした人は、その後どうなるのでしょうか?

これまでのシリーズでは、

  1. 無断欠勤を放置することで会社にどのような問題が生じるのか?
  2. 無断欠勤した状態で再就職した場合、どうなるのか?

など、無断欠勤をめぐる会社側と従業員側、それぞれの問題について解説してきました。

では、実際に無断欠勤が続き、最終的に従業員が会社を辞めることになった場合、退職日はいつになるのでしょうか?

今回は、これまでのシリーズの続きとして、無断欠勤した従業員が退職することになった場合の、退職日の決まり方についてご紹介します。

 

辞めた(来なくなった)その日が退職日ではないの?

そもそも、「会社に来なくなった日=退職日」というわけではありません。

特に無断欠勤の場合、「何日も会社に来ていないのだから、その日から退職扱いになるのでは?」と思うかもしれません。

前回の記事「無断欠勤者を放置するとどうなる?会社の対応・勤務表・社会保険を解説」でも説明したとおり、無断欠勤をしただけで退職になるわけではありません。

では、実際に退職することになった場合、退職日はいつになるのでしょうか?

 

雇用契約の終了は、辞め方で大きく変わる!?

無断欠勤をしている状態と、会社との雇用契約が終了することは別の問題です。

雇用契約が終了する主なケースには、次のようなものがあります。

  • 本人が退職を申し出た場合
  • 本人と会社が退職日について合意した場合
  • 就業規則などに定められた条件に該当し、自然退職となる場合
  • 会社から解雇された場合

それぞれで、雇用契約が終了するまでのルールや、契約終了日の決まり方が異なります。

 

無断欠勤者の意思表示の有無で大きく変わる?

本人から退職の意思表示があった場合

まずは、無断欠勤していた本人から「退職します」と連絡があったケースです。

期間の定めのない労働契約では、原則として退職の申出から2週間で契約が終了します。

厚生労働省も、無期労働契約の場合、退職の申出から14日を経過すると退職となると説明しています。

厚生労働省「労働契約の終了」

 

*ただし、完全月給制など、賃金の支払い方法によっては民法上の別のルールが適用される場合もあります。

 


例えば、8月1日から無断欠勤していた従業員が、8月10日に会社へ、「これ以上出勤するつもりはありません。退職します」

と、明確に退職の意思を伝えたとします。

この場合、8月1日の無断欠勤開始日が退職日になるわけではありません。

8月10日の退職の意思表示を基準として、退職の効力がいつ発生するのかを判断することになります。

また、例えば会社と本人が話し合い、「8月31日付で退職する」

と、合意したのであれば、基本的にはその合意した日が退職日になります。

 

なお、就業規則に「退職する場合は1か月前までに申し出る」といった規定が設けられている会社もあります。

厚生労働省も、退職の際には就業規則などに定められたルールを確認するよう案内しています。

ただし、就業規則の規定があるからといって、会社が無期限に退職を認めないことができるわけではありません。

労働局も、期間の定めのない労働契約では、会社の承諾がなくても原則として退職の申し入れから2週間で退職の効力が生じると説明しています。

つまり、

無断欠勤開始日=退職日

ではなく、

退職の意思表示をした日や、会社と合意した退職日などを基準に、退職日が決まるということです。

それでは、無断欠勤者と何も連絡が取れなかったらどうなるのでしょうか?

 

無断欠勤者から退職に関する意思表示を確認できなかったら?

では、無断欠勤をしている従業員から、退職に関する連絡が取れないなど意思表示が確認できない場合はどうなるのでしょうか?

無断欠勤をした日が、そのまま退職日になるわけではないことはすでに説明した通りです。


例えば、8月1日から従業員が突然出勤しなくなり、会社から電話やメールで連絡しても返事がないとします。

この場合、会社が「もう来ないだろう」と判断して、就業規則などに根拠がないまま、8月1日付で退職扱いにすることはできません。

まず会社は、本人に連絡を取り、出勤する意思があるのか、無断欠勤になった理由は何なのかなどを確認することが重要です。

それでも本人と連絡が取れない場合は、会社の就業規則を確認します。

例えば、

「正当な理由なく一定期間無断欠勤し、会社からの連絡にも応じない場合は退職とする」

という規定があれば、その条件に該当するかを確認します。

その規定に基づいて、自然退職となる場合があります。

一方で、そのような規定がない場合は、無断欠勤が続いているというだけで会社が一方的に退職扱いにすることはできません。

場合によっては、会社が本人に出勤を求めたうえで、無断欠勤を理由とした懲戒処分や解雇など、別の対応を検討することになります。


つまり、

本人への連絡・事情の確認

就業規則の確認

自然退職の規定があれば条件を確認

条件を満たせば自然退職

規定がなければ、別の対応を検討

という流れになります。

 

なお、病気や事故など、本人が連絡できなかった事情が隠れている可能性もあります。

そのため、会社側としては「本人は退職するつもりだろう」と決めつけず、できる限り本人の意思や事情を確認することになります。

それでは、なぜ無断欠勤にもかかわらず、企業側としてはこんなにも退職させるまでに時間がかかってしまうのでしょうか?

 

無断欠勤者をすぐに退職させられない理由とは?

会社が無断欠勤した従業員を、確認もせずに退職扱いにしてしまった場合、会社にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

大きなリスクは、「退職」ではなく「会社による解雇」と判断される可能性があることです。

その場合、解雇に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でないと判断されれば、解雇が無効になる可能性があります。

解雇が無効となれば、雇用契約が続いていることになるため、

  • 解雇後の賃金(バックペイ)を請求される
  • 職場復帰を求められる
  • 解雇をめぐる労働審判や裁判に発展する

といった問題につながる可能性があります。

また、会社が実質的に解雇を行ったと判断されれば、原則として30日前の解雇予告、または30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当が必要になります。

そのため、本人の意思表示や就業規則による自然退職など、退職となる根拠を確認する必要があり、会社がすぐに「無断欠勤=退職」と判断できるわけではありません。

なお、無断欠勤が長期間続き、出勤の督促にも応じない場合などには、一定の条件のもとで解雇予告の例外が認められる場合もあります。

ただし、解雇そのものが有効かどうかは別の問題です。

 

まとめ

無断欠勤をしたからといって、無断欠勤をした日がそのまま退職日になるわけではありません。

本人から退職の意思表示があった場合は、その意思表示や会社との合意などによって退職日が決まります。

一方、本人から連絡がなく、会社からの連絡にも応じない場合は、就業規則を確認し、自然退職の規定があれば、その条件に該当するかを確認する必要があります。

そのような規定がなければ、無断欠勤が一定期間続いたからといって、自動的に退職になるわけではありません。

会社が確認をせずに一方的に退職扱いにしてしまうと、実質的に解雇と判断される可能性があり、解雇の有効性や解雇予告などをめぐるトラブルに発展することがあります。

そのため、無断欠勤者の退職には、会社側も慎重な対応が必要です。

では、無断欠勤者の退職日が決まった後、社会保険や雇用保険はいつまで加入することになるのでしょうか?

また、無断欠勤を理由に退職した場合、離職票に記載される「離職理由」はどうなるのでしょうか?

次回は、「無断欠勤者の社会保険・雇用保険・離職理由はどうなる?」について詳しく解説します。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

元派遣社員としての経験や実際の給与・労働環境をもとに、派遣・正社員・労働制度についてわかりやすく解説しています。制度の仕組みだけでなく、実際に働く人の目線で役立つ情報発信を心がけています。