無断欠勤の離職理由はどうなる?自己都合・会社都合・解雇を解説

これまで、無断欠勤について企業側と労働者側の視点で解説してきました。

前回は、無断欠勤したまま再就職した場合の保険について紹介しましたが、やはり結論は、「辞める意思は会社に伝える」ことが何よりも重要だと言えるでしょう。

とはいえ、現実問題として、無断欠勤をしてしまう可能性は誰にでもあります。

今回は、「無断欠勤のまま辞めた場合、その離職理由はどうなるのか?」について解説していきます。

 

そもそも離職理由って誰が決めるの?

まず、大前提として無断欠勤をした=自己都合退職ではありません。

なぜなら、離職理由を最終的に判断するのは、ハローワークだからです。

ただし、これは「ハローワークが最初からすべてを決める」という意味ではありません。

会社が離職理由を記載する

↓
離職者本人も内容を確認する
↓
意見が食い違う場合などは、ハローワークが確認する
↓
ハローワークが離職理由を判断する

 

つまり、「無断欠勤をした=自己都合退職」とは限りません。

このように、会社が全て決められるわけではなく、会社が記載した離職理由が、そのまま最終的な判断になるわけでもありません。

→離職理由については、実際の退職理由と離職票の記載が異なる場合の取り扱いも含め、厚生労働省が説明しています。

とはいえ、無断欠勤をして本人とも連絡が取れず、退職についての話し合いもできない場合、「自己都合退職になるのでは?」と思うことは自然でしょう。

しかし、そうとも言い切れないのは、なぜなのでしょうか?


例えば、会社が無断欠勤を理由として解雇した場合、本人が退職に同意していなくても、会社からの解雇によって離職するケースもあります。

このように、「無断欠勤をした」という事実だけで離職理由が決まるわけではなく、その後、会社と労働者の間で何があったのかによって離職理由が変わってきます。

このように、離職理由は「解雇」や「自己都合退職」などさまざまな呼ばれ方がありますが、それぞれどういった違いがあるのでしょうか?

*「自己都合」「会社都合」「解雇」などと呼ばれていますが、実際の雇用保険上の離職理由には、さらに細かな区分があります。

それでは、無断欠勤の場合はどういった離職理由が考えられるのでしょうか?

 

無断欠勤による離職理由とは?

無断欠勤した場合、その後の雇用関係の終了には、大きく分けて次のようなパターンがあります。

まず、従業員が無断欠勤をすると、会社は本人に連絡を取ろうとします。

その後、雇用関係がどのように終了したのかによって、離職理由が変わってきます。

▶️無断欠勤の退職日はいつ?退職扱い・自然退職・解雇の違いを解説

 

《本人が退職を申し出た場合》

たとえば、

無断欠勤
↓
会社が本人に連絡を取る
↓
本人から「辞めます」と申し出る
↓
退職

この場合は、本人が退職を申し出ているため、基本的には自己都合による離職として扱われます。

 

《会社が解雇した場合》

一方で、

無断欠勤
↓
会社が本人に連絡を取るなどの対応をする
↓
会社が「無断欠勤を理由に解雇する」と決める
↓
解雇

 

という流れであれば、本人が退職を申し出たのではなく、会社が雇用関係を終了させています。

そのため、本人からの自己都合退職ではなく、会社による解雇によって雇用関係が終了したケースになります。

ただし、雇用保険上の具体的な離職理由については、実際の事情をもとにハローワークが判断します。

そして、ここで注意したいのが、「会社が対応した=会社都合になる」という意味ではないことです。

重要なのは、誰が手続きをしたかではなく、なぜ雇用関係が終了したのかという点です。

さらに、解雇の場合でも、無断欠勤などの事情によっては、雇用保険上の離職理由について別途判断されることがあります。

最終的な雇用保険上の離職理由は、離職票などの内容や事実関係をもとに、ハローワークが確認・判断します。

つまり、

無断欠勤=必ず自己都合

でも、

会社が対応=会社都合

でもありません。

「最終的に、どのような理由・経緯で雇用関係が終了したのか?」ここが重要になります。

 

「会社都合」とは?

ここで、「会社都合」という言葉についても触れておきます。

一般的に「会社都合退職」と呼ばれるものには、会社側の事情によって労働者が離職するケースがあります。

例えば、会社から退職を求められた場合や、会社の倒産などによって離職する場合などです。

一方で、解雇については、すべてが同じ雇用保険上の扱いになるわけではありません。

例えば、会社側の事情による解雇と、労働者側の重大な責任による解雇では、雇用保険上の離職理由が異なる場合があります。

そのため、

「会社が雇用関係を終了させた=必ず会社都合」

と考えることもできません。

実際の離職理由については、離職に至った事情をもとにハローワークが確認・判断します。

それでは、派遣社員が無断欠勤した場合はどうなるのでしょうか?

 

派遣社員が無断欠勤した場合の給料や契約更新などについてはこちらの記事で紹介しています。

▶️ 派遣社員が無断欠勤するとどうなる?給料・契約更新を解説

 

派遣社員が無断欠勤した場合はどうなる?

ここまで、一般的な会社員の場合について説明してきました。

では、派遣社員が無断欠勤した場合はどうなるのでしょうか?

派遣社員の場合、まず覚えておきたいのが、

派遣先=実際に働く会社
派遣元=雇用契約を結んでいる会社

という違いです。

 

例えば、

派遣社員が無断欠勤
↓
派遣先に出勤しない
↓
派遣先が派遣元に連絡
↓
派遣元が本人に連絡する
↓
その後の対応を決める

という流れになることがあります。


ここで注意したいのは、派遣先に行かなくなったからといって、すぐに派遣元との雇用契約まで終了するわけではないということです。

派遣先と派遣元は別の会社なので、

「派遣先に行っていない」
=「派遣元を退職した」

とは限りません。

そのため、派遣社員の場合も、

無断欠勤=自己都合退職

と単純に考えることはできません。

 

離職理由は、派遣も基本は同じ

例えば、本人が派遣元に「辞めます」と伝えて退職したのであれば、自己都合による離職となることが考えられます。

一方で、派遣元が無断欠勤を理由として解雇したのであれば、本人が自分から退職したわけではありません。

この場合も、本人からの自己都合退職ではなく、会社による解雇によって雇用関係が終了したケースになります。

また、派遣先から「もう来なくていい」と言われたとしても、それだけで派遣元との雇用契約が終了するとは限りません。

派遣先との契約と、派遣元との雇用契約は別のものだからです。

 

そのため、派遣社員が無断欠勤してしまった場合も、

派遣先に行かなくなる
↓
派遣元との雇用関係がどうなったのか
↓
最終的にどのような理由で離職したのか

という順番で考える必要があります。

 

派遣社員の場合は、一般の会社員よりも「誰が雇用主なのか」を意識することが重要です。

それでは、そもそも離職理由がそこまで大事になるのでしょうか?

 

離職理由の重要性とは?

ここまで読んで、

「そもそも、なぜ離職理由を確認する必要があるの?」

と思った方もいるかもしれません。

結論から言えば、離職理由は、雇用保険の失業給付などに関係するためです。

 

例えば、

会社を辞める
↓
次の仕事が見つからない
↓
ハローワークで失業給付の手続きをする
↓
「なぜ会社を辞めたのか?」を確認する
↓
離職理由によって雇用保険上の扱いが変わってきます

という流れになります。

 

つまり、単に「会社を辞めた」という事実だけではなく、

「なぜ辞めることになったのか?」

が重要になってきます。

 

「自己都合」と「解雇」では扱いが違う

例えば、

本人が「辞めます」と申し出た場合

本人が退職を決めた
↓
自己都合による退職

となります。

 

一方で、

会社から解雇された場合

本人が退職を申し出たわけではない
↓
会社が雇用関係を終了させた
↓
解雇による離職

となります。


このように、同じ「会社を辞めた」という結果でも、そこに至った理由は違います。

さらに、解雇の場合でも、会社側の事情によるものなのか、労働者側の重大な責任によるものなのかによって、雇用保険上の扱いが変わることがあります。

そのため、離職理由は、実際にどのような理由や経緯で雇用関係が終了したのかを確認するために重要になります。

その後、

  • 本人が退職したのか?
  • 会社が解雇したのか?
  • まだ雇用関係が続いているのか?

実際の状況によって、離職理由の扱いも変わってきます。

だからこそ、「無断欠勤したら離職理由はどうなるのか?」を考えるときは、無断欠勤そのものだけを見るのではなく、その後の経緯を見る必要があります。

→離職理由や雇用保険について詳しく知りたい方は、ハローワークの公式サイトも確認してみてください。

 

まとめ

離職理由は、どうしても「この場合はこうなる!」とはっきりと伝えることが難しい部分です。

そもそも、離職理由にはさまざまな項目があり、例えば・・・

  • 自己都合による退職
  • 会社からの働きかけによる退職(退職勧奨など)
  • 解雇
  • 事業所の倒産
  • 雇止め
  • 正当な理由のある自己都合退職
  • 労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇
  • その他

これも一部ですが、かなり細かくなります。

しかも、最終的な雇用保険上の離職理由は、ハローワークが事実関係を確認したうえで判断することになります。


今回の記事で覚えておきたいのは、

無断欠勤=必ず自己都合

でも、

無断欠勤=必ず会社都合

でもないということです。

本人が退職を申し出たのか、会社が解雇したのか、また、その後どのような経緯で雇用関係が終了したのかによって、扱いは変わってきます。

そして、無断欠勤をしたからといって、会社が必ずすぐに解雇するとも限りません。

会社が本人と連絡を取れないまま、しばらく対応を続けたり、就業規則に定められた手続きを進めたりすることもあります。

だからこそ、「無断欠勤した=自己都合退職」と単純に考えることはできません。

ただし、無断欠勤を原因として会社から解雇されることは、本人にとって望ましい辞め方とは言いにくいでしょう。

離職理由は、雇用保険の失業給付にも関係してきます。

次回は、無断欠勤による離職が失業給付にどのような影響を与えるのかについて解説します。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

元派遣社員としての経験や実際の給与・労働環境をもとに、派遣・正社員・労働制度についてわかりやすく解説しています。制度の仕組みだけでなく、実際に働く人の目線で役立つ情報発信を心がけています。