1日止まれば数億円の損失。なぜ工場には「工場(独自)のカレンダー」が不可欠なのか?

 

前回、工場で働く労働者にとって、「工場カレンダーは確認必須!」であることを紹介しました。

それでは、そもそも工場カレンダーはなんのためにあるのでしょうか?

今回は、「工場カレンダーって結局なに?」

についてご紹介します。

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工場カレンダーってなんであるの?

例えば、私のように「工場で求人を探そう!」と考えて就職活動を始めると、求人票を確認することになります。

その求人票にはたいてい、休みの欄に「土日+工場カレンダーによる」という文言が出てきます。

さて、土日休みは分かるけど、「工場カレンダーって何?普通のカレンダーとは違うの?」となりますよね。

*求人票によっては、工場カレンダーの文言を削除して「土日」としか記入がないこともあるため注意が必要。


そもそもの話ですが、工場である以上、何かを作るわけですから基本的には製造過程が発生しますよね。

当然、そこには利益の最大化を生み出す仕組みがあります。

それが、工場カレンダーの役割です。

 

1. 「稼働」と「メンテナンス」のメリハリをつける

工場の機械(特に自動車の溶接ロボットやプレス機など)は、24時間動かし続けるとガタがくるため・・・

  • 平日はフル稼働: 祝日も関係なく動かして、生産量を最大化。

  • 大型連休で一斉修理: GWやお盆に工場を完全に止め、普段できない大規模な機械の点検やラインの改造。

*私が働いている工場では、連休中に新しい機械の搬入なんてこともある。

ということで、他の仕事のように「祝日ごとに休み=機械を止める」より、連休で一気に機械を止めてメンテナンスした方が効率が良いことは想像に難くないのではないでしょうか?

 

2. 物流・部品メーカーと歩調を合わせる

例えば、自動車は数万点の部品からできていますよね。

現実問題として、もし・・・

  • 部品を作る工場が「今日は祝日だから休み」
  • 組み立てる工場が「今日は祝日だけど営業」

なんてことになれば、部品が届かずにラインが止まってしまいますよね。

そのため、業界全体(トヨタ・ホンダなどの親会社を筆頭に)で同じカレンダーを使って、部品の流れが止まらないようにしています。

まさに一つの生命体のように工場は動いているわけですね。

 

3. 電気代の節約(ピークシフト)

勤めていると特に感じることですが、工場では膨大な電気を消費します。

そもそも、機械を動かすわけですから当然、電気が必須です。

ただ、多くの方がご存知かと思いますが電気代は時間帯や季節・契約している電気料金プランによって大きく変化します。


具体的には・・・

工場(特に自動車部品・組立工場)は、「動力高圧」契約が主流で、基本料金(契約電力kWあたり1,000-1,200円)+電力量料金(夏季25-27円/kWh、その他季23-25円/kWh)が基本構造となっています。

《変動要因》

  1. 時間帯: ピーク時(昼間)は高単価、夜間・深夜は20%安くなるプラン多数。

  2. 季節: 夏季単価1-2円/kWh割高(冷房負荷増)。

  3. 契約電力: 150kW規模工場で基本料金月17万円超、使用量次第で総額数百万円変動。

祝日に営業する代わりに、電力需要が高まる特定の時期や、電気代が変動する時期に合わせて「一斉に休む日」を設定することで、会社全体のコストを抑える狙いがあることも納得ですね。

工場カレンダーがなかったら?

このように、工場カレンダーがなければ生産が滅茶苦茶になり・・・

  • 生産ライン停止: 部品供給工場が祝日休みで止まると、組立工場に部品が届かずジャストインタイム生産(「必要なものを、必要な時に、必要なだけ作る」手法)が崩壊。

→大手組み立て工場なら、1日停止で数億円の損失もあり得る。

*海外の製造業専門メディア「Automation.com」では、製造業のダウンタイムコストは業種によって異なりますが、高価値生産ラインでは1時間あたり数百万ドル規模の損失になることが報告されています。

(出典:World’s Largest Manufacturers Lose $1 Trillion/Year to Machine Failure – ISA Interchange

 

  • 在庫過多・不足: 原材料手配や出荷スケジュールが狂い、無駄在庫増大か欠品発生。

→サプライチェーン全体(トヨタグループ含む)が連鎖的に麻痺。

  • 設備・人件費損失: 機械の頻繁な起動停止でメンテナンス負担増、電力効率低下。

→シフト労働者の予定も不安定化し離職率上昇。

このように、工場カレンダーがなければ、「工場」と「労働者」にとって大損害を引き起こすことになります。

というわけで、工場カレンダーの必要性について紹介しましたが、当然例外もあります。

 

工場なのに工場カレンダーがない?

先ほども紹介したように、工場カレンダーがなければ大混乱が生じます。

とはいえ、どんなことにも例外はあります。

  • 超小規模町工場: 個人経営・数人規模で受注生産型。カレンダー形式ではなく「注文来たら動く」臨時稼働のため計画表なし。

  • 24時間連続稼働工場: 化学・製鉄・食品工場で機械停止不可の場合、個人シフト表のみ運用。固定カレンダー概念が薄い。

  • 海外生産拠点: トヨタ海外工場の一部で現地祝日採用、現地カレンダー独自運用(国内標準とは異なる)。

ということで、こんな場合は例外的に工場カレンダーがなかったりするようです。

もしも、「工場で働こう!」と考えたら工場カレンダーの有無は必ず確認してくださいね!

 

 

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