ここしばらく、消費税増税かと思えば還元税率、入管法改正により外国人労働者が今後大量にやってくるであろう現状で将来の日本は今とはまったく違う「別のなにか」になっているという不安を強く感じています。

その影響をダイレクトに受けるのがこれからの子ども達です。

そんな中、今度は水道法の改正がテレビを賑わせています。

私たちの今後の水事情はどうなっていくのか想像も付きませんが、今回は知っているようで知らない「現行の水道法」について紹介します。

厚生労働省:水道法より引用

 

現行の「水道法」

水道法は昭和32(1957)年6月15に制定されました。(60年以上前にできた法律です)

水道事業は、厚生労働省が管轄しています。

そもそも、「水道事業」ってなに?

「水道事業」とは、一般の需要に応じて、水道により水を供給する事業をいう。ただし、給水人口が100人以下である水道によるものを除く。

「簡易水道事業」とは、給水人口が5千人以下である水道により、水を供給する水道事業をいう。水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。

このように、水道事業とひと言でいっても給水人口や施設の規模などで細かく決まっています。

例えば、「限界集落」という言葉を聞いたことがありますか?

限界集落とは、その集落において高齢化率が50%以上(2人に1人以上が高齢者)の場合にそう呼ばれます。つまり、極度の過疎化地域です。

高齢化率が高いということは、不便な場所。もっといえばそのまま放置すれば若者がこないので近い将来「廃村になる集落」ということになります。

そして、水道法の改正有無に関わらずこれまでも人口100人以下の住民しかいない場所は、そもそも水道事業の対象ではありませんでした。

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命の源でもある「水」 安全基準は?

第四条 水道により供給される水は、次の各号に掲げる要件を備えるものでなければならない。
一 病原生物に汚染され、又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を含むものでないこと。
二 シアン、水銀その他の有毒物質を含まないこと。
三 銅、鉄、弗素、フェノールその他の物質をその許容量をこえて含まないこと。
四 異常な酸性又はアルカリ性を呈しないこと。
五 異常な臭味がないこと。ただし、消毒による臭味を除く。
六 外観は、ほとんど無色透明であること。
→基本的に日本の水道水が飲み水として使える根拠にもなっています。
消毒による匂いや味は水質要件から除かれています。
*水道水は、塩素消毒されています。例えば岐阜市の塩素残留は、平均0.315mg/lです。人は、0.4mg/l前後から感知できるので高い濃度ではなくそのままでも飲めます。

現行法でも、厚生労働省が認めれば市町村以外でも水道事業はおこなえる

(事業の認可及び経営主体)
第六条 水道事業を経営しようとする者は、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
2 水道事業は、原則として市町村が経営するものとし、市町村以外の者は、給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得た場合に限り、水道事業を経営することができるものとする。
第一一条 水道事業者は、給水を開始した後においては、厚生労働大臣の許可を受けなければ、その水道事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。ただし、その水道事業の全部を他の水道事業を行う水道事業者に譲り渡すことにより、その水道事業の全部を廃止することとなるときは、この限りでない。
(水質検査)
第二〇条 水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。
2 水道事業者は、前項の規定による水質検査を行つたときは、これに関する記録を作成し、水質検査を行つた日から起算して5年間、これを保有しなければならない。
3 水道事業者は、第一項の規定による水質検査を行うため、必要な検査施設を設けなければならない。ただし、当該水質検査を、厚生労働省令の定めるところにより、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者に委託して行うときは、この限りでない。
→つまり、水道事業者の原則は、市町村。ですが市町村の同意をえれば市町村以外の者が水道事業を運営できます。また、事業を辞める場合は厚生労働大臣が認めなおかつ全ての事業を引き渡す相手が見つかれば撤退してもいいことになっています。

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水道料金の根拠は?

(供給規程)
第一四条 水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない。
2 前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。
二 料金が、定率又は定額をもつて明確に定められていること。
三 水道事業者及び水道の需要者の責任に関する事項並びに給水装置工事の費用の負担区分及びその額の算出方法が、適正かつ明確に定められていること。
四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
→地域により料金体系が違うのはこのためです。つまり、水道管の増設・修理など給水装置工事の費用などが水道代金として算出されます。そのため、密集地域と過疎地域、近畿圏の琵琶湖のように水源が近くにあるかないかなど様々な影響で水道料金は変わっていきます。
当然、簡単に水を供給できる場所の方が安くなります。
(給水義務)
第一五条
3 水道事業者は、当該水道により給水を受ける者が料金を支払わないとき、正当な理由なしに給水装置の検査を拒んだとき、その他正当な理由があるときは、前項本文の規定にかかわらず、その理由が継続する間、供給規程の定めるところにより、その者に対する給水を停止することができる。
水道事業者は、正当な理由があれば給水を停止させることができます。

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現行法の問題点

1.水道管など設備の老朽化が限界にまで達しています。かといって整備・補修するためには莫大な費用がかかります。つまり、現行制度のまま維持した場合、水道料金は大きく上がることが予想されます。

2.老朽化が進めば、錆などの異物混入もあり水質に影響を与えかねません。
→2018年は、「災」が平成最後の漢字となったように震災の年でした。水道管の破裂も問題になりました。水道管の修繕だけでなく、耐震補強などの措置もこうじる必要に迫られています。

3.地方で過疎化が進み人口が100人を切れば、水道が止まる地域がどんどん増えていきます。

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まとめ

60年以上前にできた現行の水道法は、戦後の日本の状況もあり急速な水の整備・水質管理に徹底して作られた法律であったといえます。

しかし、これからは維持していくことが求められていきます。

ただ、その維持する方法を「企業に任せていいのか?」という疑問は最後まで残ります。

現行法で水道事業を企業が参入する場合・・・

企業は、慈善団体でもなければ公共団体でもありません。あくまで資本主義です。

利益が出なければそもそも水道事業に着手しようとは考えません。また、勝手に辞めることもできません。

政府は赤字になることが分かっているのに企業に任せるというのは大きな矛盾を感じるのですが・・・

すでに参入している企業は全てを他社に譲渡しなければ辞められないでしょう。しかし、これから参入しようとする企業は赤字覚悟になるとおもうのですが?

なぜなら失敗すれば、企業にとっても死活問題になるからです。

それでも着手しようとする企業があるならどんな企業がどんな手法で担っていくのか注視していく必要があります。

以上が、現行法でこのまま水道事業を行った場合の考察です。

改正水道法についてはこちらの記事で紹介しています。

水道法改正で企業の参入が当たり前に?~赤字の水道事業~


参考
岐阜市

 

 

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