毎月勤労統計調査の調査方法が間違っていたとして、大きな問題として取り上げられました。

「そもそも毎月勤労統計調査ってなに?」についてはこちらの記事で紹介しています。

毎月勤労統計調査は基幹統計調査 ~国家主導で罰則もある重要調査~

転職が当たり前となり、私自身も転職経験があり2017年に失業給付を利用したことがあります。

今回は、「この調査結果が違うことで私たちにどんな影響があるのか?」について紹介していきます。

 

毎月勤労統計調査

毎月勤労統計調査は、統計法という法律に定められています。そして、日本に56種類ある基幹統計調査の1つになります。

調査回答のために抽出された事業所には、報告義務があり虚偽や報告拒否ついては「50万以下の罰金に処される」という本当に重要な統計調査の1つとして位置付けられています。

そして、基幹統計調査は国際的にも報告が求められている本当に重要な統計調査の1つとなっています。

3dman_eu / Pixabay

 

毎月勤労統計調査のなにが問題になったの?

事件の概要

厚生労働省が確認された事実として公表された公式発表を参考にしています。

今回の記事は、この統計調査の不正により私たちにどういったことが起こるのかを伝えるための記事ですので、事件についてはさわりだけの紹介になります。

毎月勤労統計調査は、基本的には抽出調査がおこなわれます。ですが、常用労働者が500人以上の事業所に対しては、全数調査をおこなうこととなっていました。

*もし、全数調査をしないのであれば毎月勤労統計調査をおこなっている厚生労働省は総務省に対して納得のいく理由を説明する責任がありました。

この全数調査が「2004年(平成16年)から正確におこなわれていなかった」と、厚生労働省が公式に発表しています。

どんな不正調査をしていたの?

東京都への毎月勤労統計調査の調査方法において、間違った調査方法が見つかりました。

①500人以上の事業所で、東京都に対して抽出調査をしていました。

→例えば、平成30年で東京都で500人以上の事業所から抽出されたのは491事業所。本来なら、1,464事業所を調査しないといけなかったのですが、約1/3しか調査をしていませんでした。

→平成31年の調査からは、神奈川県・愛知県・大阪府に対しても抽出調査をおこなう予定であることを連絡していました。(既に撤回されています)

②東京都以外は全数調査をおこなっていたため、東京都と他の道府県とではそもそも抽出率が違います。しかし、「復元」もおこなわれていませんでした。

→東京都における「499人以下規模の事業所」にも、異なる抽出率で復元がおこなわれていない集計が見つかっています。

③調査対象事業所数が公表資料よりも約1割程度少ない状態でした。

 

なにが起こっているの?

ここからが本題です。

毎月勤労統計調査は、雇用保険の失業給付や労災による休業給付、また育児休業給付など労働者のまさに「給付額(お金)」を決める根幹となる調査です。

そして、「復元作業がおこなわれていない」という記述があります。

つまり・・・

全数調査の場合は、全ての事業所を調査しているので「誤差」がなくそのまま使えるのですが、東京都に関しては約1/3しか調査していません。(一部を調査する方法は、「標本調査」といって誤差が反映されないため正確ではありませんが、とりあえずの全体像を把握するために使われる統計調査方法です)

その東京都でおこなわれた標本調査(本来は全数調査)の数値を復元していません。

ということは、東京都での500人以上の事業者は1/3しか調査していないため、全数調査として復元するためには、統計結果の数値(合計支払い額)に✕3をして調査結果を復元(全数調査に合わせ)ないといけませんが、それをせずに統計結果として公表したと解釈することができます。

つまり、東京都で調査した1/3の数値結果をそのままその他の道府県の全数調査に足しているので、当然数値は低くなります。

ただ、「復元」という抽象的な言葉が書かれているだけでその意味が提示されていないので予想することしかできません。

 

厚生労働省の対応は?

この調査結果の影響で、労働者が受けられる「給付」が低く計算されていました。

①2004年8月以降に「雇用保険関係の給付を受給された人」が対象

  1. 基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、傷病手当
  2. 個別延長給付、訓練延長給付、広域延長給付、地域延長給付
  3. 就業手当、再就職手当、常用就職支度手当、就業促進定着手当
  4. 高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
  5. 教育訓練支援給付金
  6. 就職促進手当(労働施策総合推進法)、失業者の退職手当(国家公務員退職手当法)等

が給付の対象となります。

住所データが残っている場合は、手紙にて送付されますがデータが残っていない方や転居などで住所不明の場合は自己申告しない限り給付されることはありません。

②2004年7月以降に労災保険の給付を受給された人が対象

  1. 傷病(補償)年金、傷病特別年金
  2. 障害(補償)年金、障害特別年金
  3. 遺族(補償)年金、障害特別年金、遺族特別一時金
  4. 休業(補償)給付、休業特別支給金

など。

③2004年8月以降に船員保険の給付を受給された人

  1. 船員保険制度の職務上災害に係る障害年金や遺族年金等
  2. 職務上傷病手当金、障害手当金、遺族一時金等の給付も対象となる可能性もあります。

→支給決定通知書・振込通知、年金証書、改訂通知書が必要になる可能性があります。

 

これからどうなっていく?

まだまだ全体像は分かっていませんし、影響もはかり知れません。

①そもそも、労災や失業・遺族に対する給付は今後の生活の命綱ともいえる給付です。
→不正調査の年月が長すぎるため、すでに亡くなっている方もいらっしゃるでしょう。遺族への補償など課題は山積しています。(「自己申告がないから終わり」では、あまりにも不誠実で国民からの支持はありえません)

*ネット配信がおこなわれるようになり、隠し続けることも少しずつ難しくなっています。

②また、確実に政府を装った特殊詐欺が発生するため2重3重苦になる人も現れるでしょう。

③そして、報告義務があり拒否や虚偽をすれば罰則があるほどの重要な統計調査です。それほど重要な、強制力のある調査を長年にわたって不当に調査・運用していたとなれば普通に考えれば、明らかな犯罪行為になりますよね・・・
→他府県にも抽出調査を通知していたことから、ミスではなく「故意」ということが分ります。

④これまでおこなってきた基幹調査の信憑性も疑われるため、これまでの国の政策が根本から崩れる可能性があります。つまり、厚生労働省が発表している全ての数値に対して大きく誤りがある可能性が国民に示されました。

⑤2019年4月から始まる入管法の改正で外国人労働者が一気に増えますが、その根拠となる指標が崩れてしまいました。ひょっとしたら、見直しが検討されるかもしれませんね。


「これに対して影響が出る!」ということではなく、少なくとも日本がこれまで十数年間にわたっておこなってきた多くの政策にすでに影響が出ていたことになります。そして、完璧に修正できなければ今後の政策も間違った統計をもとに進んでいきます。

 

最後に

私としては、国際問題にならないかがもっとも不安に思うところです。間違った統計により外国人の受け入れをこれまでしていたとなれば、非難はまぬがれないでしょう。

しかも、その統計が間違っていることが分っているにも関わらず、その統計を理由にさらに労働力として外国人の受け入れを拡大するとしたらそこに大義名分はありません。

これから社会にでる子どもたちにも直結する問題です。私たちの代で終わらせたい問題です。


参考

厚生労働省:「毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03207.html

追加給付問合せ専用ダイヤル
https://www.lcgjapan.com/pdf/nlb0538.pdf

 

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