子どもの心配事として、以前虫歯について紹介しました。その中で、新しい治療法についてもご紹介しました。ですが、そもそも虫歯にならないように気をつければいいですよね・・・
とはいえ、虫歯のなりやすさには個人差があるのも事実。そこで、今回は歯の防衛機能である「再石灰化」についてご紹介します。再石灰化の仕組みを理解することで子どもだけでなく、私達の虫歯予防にも役立ちます。
虫歯についてはこちらの記事で紹介しています。
歯の「再石灰化」ってけっきょくなにを守っているの?
歯の再石灰化を説明する前に、「脱灰(だっかい)」について簡単に説明します。脱灰は、虫歯菌が歯を酸で溶かしてしまう現象です。
ですが、再石灰化によって溶け出した歯を修復することができます。この修復機能がなければ歯はあっという間に虫歯だらけになりなくなってしまうでしょう。
ということで、再石灰化により歯を(「修復する」ことで)虫歯菌から守っています。
「脱灰」と「再石灰化」の発動条件!
脱灰
虫歯が酸を出すためには「エネルギー」が必要です。そのエネルギーの元になるのが食べカスです。その食べカスを餌として虫歯菌が活発に働きその老廃物として酸を多量に排出します。
多量の酸により、口中が酸性(pH5.5以下)になると、歯の表面を構成するエナメル質からリン酸やカルシウムが溶け始める「脱灰」が引き起こされます。
再石灰化
食後、しばらくすると口中は唾液により中性にもどります。そして、pH5.5以上になると歯の脱灰はなくなります。さらに中性が進むと、唾液に含まれる「リン酸」と「カルシウム」によってエナメル質が修復されます。つまり、「再石灰化」が始まります。
*pHが、中性領域(6.0以上)にある場合は虫歯は進行しません。
さて、ここまでで「再石灰化」に重要なキーワードを挙げておきます。
キーワード
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唾液
-
中性領域(pH6.0以上)
再石灰化は唾液の働き!
唾液には、様々な働きがありますがその1つに再石灰化作用があります。唾液の作用は、部屋の掃除を想像すると分かりやすくなります。
①掃除機や拭き掃除をする。→唾液で食べかすを洗い流す(洗浄作用)
②カビなどを除菌。→歯垢(プラーク)を中性に戻す。(緩衝作用)
③除湿剤をおくなどしてカビの発生を防ぐ→細菌が入ってくることを防ぐ(殺菌・抗菌作用)
④壊れた物を補修・修理する。→(再石灰化作用)
といった掃除(唾液作用)が毎食後、口腔内ではおこなわれています。つまり、再石灰化とは唾液がおこなう掃除の1つの枠組み(作用)ということになります。
中性領域(pH6.0以上)に保つ
いきなり「pHが・・・」といわれても分かりにくいですよね。
学校で、理科の時間に水溶液の性質実験をしたことはありませんか?私が子どもの頃は「リトマス紙」をつかって水溶液の酸性・中性・アルカリ性の実験をしていました。今もやっているのかな?
基本的に酸っぱいと酸性。苦いとアルカリ性。どちらでもないのが中性です。リトマス紙でいえば、酸性は「青い紙→赤色」・アルカリ性は「赤い紙→青色」・中性は「青い紙も赤い紙も反応なし」となります。
ちなみに、pHは私達の時は「ペーハ」と習った記憶があるのですが、今は「ピーエッチ」とそのまま呼ぶそうです。
すみません、脱線しました・・・
pHってなに?
pHの分類はこのようになっています。
pH | 液性 |
3.0未満 | 酸性 |
3.0以上~6.0未満 | 弱酸性 |
6.0以上~8.0未満 | 中性 |
8.0越え~11.0以下 | 弱アルカリ性 |
11.0を越える | アルカリ性 |
先程の「脱灰」は口腔内のpH5.5以下(弱酸性)でも引き起こされます。そして、pH6.0以上(中性)になると虫歯は進行しなくなります。さらに、再石灰化も進みます。
ということは、口腔内は唾液で調整されていることになります。
理屈が理解できれば、自信をもって子どもにも説明できるようになりますよ。
それでは、再石灰化を進めていくためにはどうすればいいのでしょうか?
虫歯と再石灰化の進行 まとめ
虫歯の進行
食事をとれば、当然食べかすが口に残ります。
↓
口腔内に食べかすがあればいつまでも虫歯菌は酸を出し続けます。
↓
酸性が強くなれば、歯の再石灰化機能も働きません。
↓
歯が修復されず、虫歯がどんどん増えていきます。
再石灰化で修復
食べカスが取り除かれ、虫歯菌の酸を作る力が弱まる。
↓
唾液により口腔内が中和される。
↓
口腔内が中性になり歯の再石灰化が始まる。
再石灰化で歯の修復を進めよう!
それでは本題です。どうすれば再石灰化(歯の修復・修繕)を進めることができるのでしょうか。
唾液を分泌させる
口腔内を清潔な状態に保つには、唾液が必須。
- ガムや歯ごたえのある食べ物などを噛むことで、噛む回数を増やす。
食べかすを口に残さない
食べカスを栄養にして虫歯菌は酸を出します。
- ダラダラ食べをしない。
- 歯ブラシや糸ようじなどを使って食べカスを除去する。
食べカスができる限り、口にない状態を保つ。
フッ素を利用する
なにかと話題のフッ素。ほとんどの歯ブラシ粉やキシリトールガムなどにも配合されています。
*フッ素は、歯質の強化や酸の酸性や歯垢の形成を抑制する働きがあるとされています。
フッ素といえば、「猛毒」というはなしもありますが歯科医のHPをみると推進するものばかりです。もちろん、適量を守ればのはなしですが・・・
ちなみに、私達が呼吸で取り入れている酸素も濃度が高ければ猛毒です。これと同じことではないかと個人的には考えています。
このように、再石灰化とは唾液の働きの1つということがよく分かります。
今回のポイントは・・・
- 唾液を出すこと。
- 口腔内の食べカスを減らすことで、虫歯による酸の排出が少なくなり再石灰化が進む
ということでした。
子どもの虫歯はすべての親の課題ですよね。これからも子ども達の虫歯予防は続きます。
参考
西川歯科医院
→http://www.64800.com/41_mushiba/index.html
大阪がん循環器病予防センター
→http://www.osaka-ganjun.jp/health/lifestyle/tooth/more.html
石鹸百貨
→https://www.live-science.com/honkan/basic/chishiki02.html
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