●この記事では、「アルコール消毒液が眼に入った時の対処方と化学眼外傷」について説明しています。
外出先で、消毒してからお店に入ることが当たり前になりましたよね。
ところで、その消毒液が設置されている高さが多くの場合、子どもの背の高さと同じぐらいになっていませんか?
特に、2歳の娘からすると「目の高さ」や「頭の高さ」ぐらいに設置されていることが多くなっています。
何が言いたいかといえば、「明らかに目に消毒液が入るよね・・・」という点です。
ジェル状の消毒を使っている店舗は入れますが、液体消毒液を使っている店舗はそれだけで入店を避けることに繋がります。
今回は、親として心配している「消毒液は目に入っても大丈夫?」について紹介します。
消毒液で失明の可能性は?
皆さんは、「化学眼外傷」をご存じでしょうか?
化学眼外傷というのは、例えば「洗剤」や「パーマ液」、「髪染め」などの液が誤って眼に入り、傷害を起こす場合をいいます。
その結果・・・
- 眼球表面(角膜・結膜など)に炎症
- 角膜全体が濁る
- 角膜が剥がれる
当然、眼に入る化学物質によって受診後の経過は変わりますが失明するケースもあります。
*重症になれば、「角膜混濁」・「緑内障」・「白内障」・「ぶどう膜炎」などの合併症により視力が低下し、最悪、失明する。
とはいえ、目に入ったときの対処法は多くの人がすでに知っているやり方です。
商品の注意事項に、眼に入った時の対処方が書かれているのはないでしょうか?
→なるべく早く、眼を開けたまま水道水などの流水で10分以上洗顔後、医療機関へ受診。
病院での治療方法は、眼に入った薬剤とその薬剤にどれくらいの時間接触していたかで変わってきます。
*治療は、生理食塩水等を用いた洗顔(軽度なら通院治療で後遺症もなく回復できる・重症なら、入院し手術。)
さて、それでは消毒液が眼に入っても問題ないのでしょうか?
消毒液が眼に入ったら?
そもそも、化学眼外傷は「眼に入った化学物質が原因で引き起こされる」ことは、先程説明した通りです。
そして、その化学物質がアルカリ性だった場合は・・・
- 眼球表面の傷害
- 眼の内部にまで障害(化学物質が角膜を透過するため)
*酸性の場合は、化学物質がアルカリ性よりも組織透過性が低いため、傷害が引き起こされたとしても組織表面にとどまることが多いと言われている。
→眼に入った化学物質が、「アルカリ性」か「酸性」かによってその危険度が大きく変わる。
それでは、どういった消毒液が手指の消毒には使われているのでしょうか?
基本的にはアルコール消毒液
そもそもの話しになりますが、厚生労働省では手洗いが最も重要視されています。
あくまでも、手洗いができない場合の対策としてアルコール消毒が推奨されています。これが、そもそものアルコール消毒の大前提です。
それでは、どういった消毒液が手指消毒に使われているのでしょうか?
厚生労働省では、手指用の消毒・除菌として推奨されている方法は2つだけです。
- 水及び石鹸による洗浄
- アルコール(濃度70%以上~95%以下のエタノール)
これだけです。
つまり、基本的に「手指消毒用の消毒液」と言えば、アルコール消毒液となります。
他にも、消毒液と言えば「塩素系漂白剤である次亜塩素酸ナトリウム水溶液」や「次亜塩素酸水」、「洗剤などの手指用以外の界面活性剤」などはありますが、どれも「物」に対して使うことが大前提です。
*例外として、薬機法上の承認を有する商品が一部あるため、そのような製品は手指消毒が可能。
つまり、商業施設などで設置されている消毒液は、「手指消毒=アルコール消毒液」と基本的に考えていいでしょう。
あとは、その消毒のタイプが「アルコールジェル」か「アルコール消毒液」かの違いです。
それでは、アルコール消毒液は眼に入っても大丈夫なのでしょうか?
そもそも眼に入れるものではない!
当然ですが、アルコール消毒液は眼に入っていいものではありません。
実際、アルコール消毒液を購入した場合、注意事項にこのように記載されているのではないでしょうか?
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「手指用エタノール」より
「目に入らないように注意すること。万一目に入った場合には,すぐに水又はぬるま湯で洗うこと。なお,症状が重い場合には,直ちに眼科医の診療を受けること。」
このように、眼に入ればその眼を洗うこと。
そして、あくまでもひどい場合は眼科医の受診が勧められているます。つまり、基本的には悪化することは少ないのかもしれません。
ただ、国立医薬品食品衛生研究所ではWHOの見解が示されていました。
殺菌消毒剤の噴霧は、眼、呼吸器又は皮膚刺激及びその結果の健康影響のリスクとなり得る。
人間に塩素及びその他の有毒化学物質を噴霧することは、眼及び皮膚の刺激や吸入による気管支痙攣、吐き気や嘔吐等の消化器影響を及ぼし得る
どちらにしても、眼は傷付きやすく、特にアルカリ性の化学物質は内部にまで影響を及ぼします。
消毒液の使い方には、十分注意しないといけないことに変わりはありません。
最後に
今では、消毒用アルコールが当たり前になっています。
ただ、アルコールに過敏な場合は使うことができませんし、引火の危険性もあります。そのため、アルコール消毒は誰もができる感染症対策ではありません。
そして、そもそもアルコール消毒は手洗いができない場合に利用される物でもあります。
手指用アルコールは、眼にとって異物です。使用するときは、子どもの目に入らないように注意して利用するようにして下さいね。
2020年11月13日のyahooニュース:『「新しい生活様式」 ~消毒液に潜む危険性について考える~』では、このように記載されています。
❶エターノールの眼の刺激性は弱いが、眼に入った場合は流水で15分以上洗浄することが推奨。
➋この記事が書かれた時点で、日本国内では消毒液が子どもの目に入ったことによる重大な傷害は報告されていないと思われる。
と、あります。
現実問題として、小さい子どもに15分以上の流水は難しいと思いますが、目を擦らせないようにすぐに流水で洗うことだけは覚えておいた方がいいでしょう。
参考
医療法人社団優美会 川口あおぞら眼科:化学眼外傷とは
→https://www.aozoraganka.co.jp/illness-of-eyes/disease1
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