●この記事では、「便利なスマホ決済の落とし穴」について説明しています。
皆さんは、キャッシュレス決済を利用されているでしょうか?
ポイント還元だけでなく、このコロナ禍では現金に対する不安もあるためかキャッシュレス決済が増えています。
そんなキャッシュレス決済が急激に拡大している昨今ですが、お得になるはずのキャッシュレス決済でなぜか支出が増加している家庭が増加しています。
今回は、「キャッシュレス決済で赤字!?」について紹介します。
そもそもキャッシュレス決済はどれだけ増えたの?
「キャッシュレス決済」と一言でいっても以前のクレジットカード払いだけでなく、pay払いなどスマホ決済も主流になってきました。
確かに、スマホで決済できれば便利ですよね。
NECが発表している「2020年版 一般消費者におけるキャッシュレス利用実態調査レポート」ではこのような結果になっています。
キャッシュレス決済の状況は?
2019年7月と2020年7月の2つの時期で、全国の15~69歳の一般消費者を対象にしたキャッシュレス決済・各決済サービスブランドの「利用状況」や「評価」に関するインターネット調査が実施されました。
つまり、たった1年間の間でどれだけ変化があったのか調査されました。その結果、この1年の間で大きな違いが示されました。
❶スマホ決済(QRコード)の利用者数の増加!
スマホ決済の利用率が19%→43%とたった1年で2倍以上(約2.26倍)も増加しています。
さらに、30代~60代の利用率が大幅に増加しているため若者文化ではなく、多くの年代に当たり前に浸透してきている結果となっています。
(全年代で30%を越えており、特に30代は50%と最も高い)
→スマホ決済利用者の66%が「paypayを利用」と回答。
➋どこでも使える!
そもそも、QRコード決済は基本的にどんな店でも簡単に導入することができます。
例えば、お店側としてはクレジットカードでは加盟料が必要になることが多いですが、QRコードならそんな加盟料も必要ありません。
しかも、クレジットカードとは違い翌日には導入することもできます。
とはいえ、決済手数料がかかる場合があります。
ただし、クレジットカードが売上額の5~7%に対して、QRコードは0~3.45%となっているため、導入しやすい仕様になっているようです。
つまり、普段私達が利用している「スーパーマーケット」や「ドラッグストア」、「薬局」など利用シーンが増加しています。
→1,000円以上の利用が増加している。
その反面、現金利用は15%も減少している実態が明らかになりました。
ちなみに、スマホ決済の利用頻度は新型コロナウイルスの影響で増加していることが示されていました。
とはいえ、現金利用は全年齢で男女ともに90%を越えているため、いきなり現金利用がなくなることはないでしょう。
それでは、普及率がどんどん増加してしている便利なスマホ決済で、なぜ家計が圧迫されているのでしょうか?
クレジットカードと同じような状況に!?
例えば、電子マネーは600円~1,000円の少額決済が主流になっていますが、先程もお伝えしたようにスマホ決済は1,000円以上の利用が増加しています。
ところで、「キャッシュレス決済」といえば中国ですよね。中国では、2017年頃から日常消費のほとんどがスマホ決済になりました。
「デジタル金融オープン研究プロジェクト」を利用して、中国の現金決済の家計支出とキャッシュレス決済の家計支出の比較研究の結果がマイナビエージェントで紹介されています。
中国ではキャッシュレスでなにが変わった?
結論から言えば、スマホ決済を利用する家計支出は16.01%増加していました。
ですが、表面上はエンゲル係数(全消費額に占める食費の割合)が1.65%減少していました。
これだけを見ると、まるで「スマホ決済に切り替えたことで食費を切り詰めるようになった?」というよく分からない結果になったことになりますよね。
ただ、これは表面上の数値的な結果です。
どういうことかといえば、キャッシュレス決済になったことで食費はむしろ増えています。それも、26.8%も増加していました。
ところが、増加したのは食費だけではありませんでした。
エンゲル係数が下がった原因が、勘のいい人ならここまでで分かったのではないでしょうか。
実は、食費以上にその他の支出が増加していました。それも、大幅に増加している食費をエンゲル係数で数値化したときにマイナスになるほどの増加でした。
それでは、中国では食費以上になにに対して支出が増えていたのでしょうか?
- 教育
- 娯楽
- 交通
- 通信
など、生活必需品ではなく非生活必需支出が30%近い延びになっていました。
もちろん、「教育や通信環境などが不必要」という意味ではなく、すでにあった状態からスマホ決済によりさらに約3割増しになったということです。
→ほぼ、全ての項目で支出が増えていることが明らかになった。
ちなみに、収入が低い人ほど支出の伸びは高く、エンゲル係数の下がり幅が大きくなる結果になっていました。
ある意味では、「スマホ決済を使うことでこれまで以上に豊かに暮らせる」ということができるかもしれませんが、本来なら将来のために貯蓄や投資などに回していたお金です。
つまり、現金払いはお金を将来に置いておくことができる方法に対して、キャッシュレス決済は、収入を今の時点で最大限利用する方法ということができるかもしれません。
ただ、高収入でもなければスマホ決済などのキャッシュレス決済は気をつけないと落とし穴にはまることになるでしょう。
キャッシュレス決済の落とし穴?
日本でも拡大しているスマホ決済は、すでに中国では支出が拡大していることが分かりました。
ただ、日本では大学で経済学などを学ぶなどしない限り、基本的にお金の勉強をまともにすることはありません。
下手をすれば、例えばクレジットカード払いの「分割払い」と「リボ払い」の違いすら理解していない人がいるかもしれません。
となれば、あとは自分で勉強するしかないでしょう。
それでは、そもそもなぜスマホ決済で支出が増加するのでしょうか?
→「リボ払い」と「分割払」の違いについては、こちらの記事で紹介しています。
心理的な変化
単純な話しですが、例えば一万円札を出して払う場合は、お札を出して払いますよね。「福沢諭吉」の顔を見て支払いをしているのではないでしょうか?
これは、心理的にも財布的にも大きなダメージがありますよね。
ところが、スマホ決済などのキャッシュレス決済では金額に関係なくQRコードをかざすだけです。つまり、自分でその金額を選んで出す行動をしません。
もっといえば、スマホ決済では「金額に関係なくQRコードにスマホをかざす」という同じ行動を繰り返すだけになります。
つまり、金額を意識しなくても支払うことができてしまいます。
この行動を繰り返すことで・・・
分かりやすい例で言えば、同じ缶コーヒーを安いスーパーで買わずに、コンビニや自動販売機で買うようになります。
→金額に鈍感になっていく。
さらに、スマホ決済でポイント還元があれば落とし穴にはまる人が多くなるかもしれませんね・・・
支出が増加したかどうかは、家計簿を付ければ一目で分かります。スマホ決済が増えた方は、すぐに毎月の支出を確認することをお勧めします。
最後に
現金払いをしている時は、毎月の使うお金だけを財布に入れておけば、目に見えてお金の減りが分かります。
ところが、財布がスマホに変われば生活費を数字でしか見ることができなくなります。その上、銀行と連携してチャージできるようにしてしまうと銀行が財布になってしまいます。
便利になればなるほど、私達はこれまでできていたことができなくなります。
- 携帯電話が登場したことで、電話番号を覚えなくなりました。
- カーナビができたことで地図を調べなくなり、初めての場所でも調べなくてもナビ通りに移動することができるようになりました。
便利になれば、それだけ私達ができていたことは過去のことになります。
さて、キャッシュレス決済は私達の生活に直結します。
キャッシュレス決済により支出が増えてしまうようなら、使いすぎない工夫が必要になります。
自分で考えながら工夫していく必要があります。
ただし、どんな支払い方法にしても、支出が目に見える方法にすれば使いすぎを防ぐことができます。
まずは、1ヶ月の生活費を決めてから「家計簿」や「チャージ金額の制限」といった工夫をしながら、自分が認識できる支出の見える化を頑張ってみて下さい。
お金の管理は自分でやらないと意味がありません。自分が無駄遣いをしてしまうお金の癖を少しずつ直していく必要があるでしょう。
無駄な支出の減少も見える化できれば、やる気に繋がるのではないでしょうか。
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