国勢調査に答えないと罰則が!? ~統計法で管理~

 

2020年は、5年に1度の国勢調査が実施される年です。

とはいえ、新型コロナウイルスにより新しい生活様式がはじまり、オンライン会議が実施されるなど元の生活にはほど遠い状態ではないでしょうか?

ですが、国勢調査は例外なく今回も実施されます。

今回は、そんな「国勢調査と罰則」についてご紹介します。

 

「国勢調査」ってそもそもなに?

さて、冒頭で少し煽り気味に書いてしまいましたが、これは「こんな状況でも国勢調査をするの?」と少なからず憤っている人がいることを想定しました。

ただ、むしろ今の状況だからこそ実施しないと、今後の日本の基本的な指標が揺らぐことになりかねません。

それでは、そもそも国勢調査とはどういうものなのでしょうか?

 

国勢調査の基礎知識

勘違いされやすいですが、そもそも国勢調査の対象者は、「日本国内の日本人」ではありません。

「外国人を含む日本に住んでいる全ての人」、及び「世帯」を対象とする国の最も重要な統計調査の1つです。

例えば、私は4人家族ですので妻・息子・娘の分も世帯主として、自分の分も含めて4人分を回答することになります。

そして、そもそも国勢調査は法律に基づいて実施されています。

「法律に基づいて実施されている」わけですから、罰則の有無を確認する必要があります。

 

国勢調査と法律

例えば、「国勢調査は断っている!」という人がいたとします。

→10月7日までに回答がなければ訪問員が訪問する。

ですが、国勢調査は国の統計に関する基本的な法律「統計法」により定められています。

ちなみに、国勢調査は総務大臣が実施する義務を負っています。

つまり、国勢調査に私達が回答しないことは、「国からの指示(義務)に違反する」ということになります。昔の言い方をすれば「お上にたてつく」という感じでしょうか・・・

とはいえ、例えば私の場合はパソコンで回答したのですが、10分もかからないうちに終了してしまいました。

オンライン調査については、次回紹介します。

それでは、罰則について見ていきましょう。

 

国勢調査と罰則

実は、国勢調査の罰則が適用されるのは「調査する側」「調査される側」だけではありません。「国勢調査と偽った者」はもちろん、「報告を妨げた者」にも重たい罰則が規定されています。

 

統計法による罰則

~調査する側~

  • その業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らした者

二年以下の懲役又は百万円以下の罰金(第57条 2項)

 

  • 基幹統計の業務に従事する者又は従事していた者が、当該基幹統計を第八条第二項の規定により定められた公表期日以前に、他に漏らし、又は盗用

一年以下の懲役又は百万円以下の罰金(第58条)

 

  • 第四十一条各号に掲げる者が、その取り扱う同条各号に規定する情報を自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用。

一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金(第59条)

 

  • 基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者

六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金(第60条 2項)

 

  • 匿名データの提供を受けた者又は当該匿名データの取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務に従事する者若しくは従事していた者で、当該匿名データを自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用した者

五十万円以下の罰金(第61条 3項)


つまり、調査する側は当然、調査情報を外部に漏らしてはいけませんが、調査公表日までに漏らしたり盗用することも罰せられることになります。

なにより、正確にその情報を取り扱うことが求められています。

以前、毎月勤労統計調査で不正調査が浮き彫りになりましたが、毎月勤労統計調査も統計法が適用されます。

つまり、数値の改ざん(真実に反するものたらしめる行為)などは、「明らかな犯罪行為」になります。

 

「毎月勤労統計調査」ついては、こちらの記事で紹介しています。

毎月勤労統計調査は基幹統計調査 ~国家主導で罰則もある重要調査~

 

~調査される側(私達~)

  • 基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした個人又は法人その他の団体(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)

五十万円以下の罰金(第61条 1項)

 

  • 資料の提出をせず、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

五十万円以下の罰金(第61条 2項)


つまり、私達は国勢調査を拒んだり、嘘の報告などをすれば50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

 

~国勢調査と偽った者~

第十七条 何人も、国勢調査その他の基幹統計調査の報告の求めであると人を誤認させるような表示又は説明をすることにより、当該求めに対する報告として、個人又は法人その他の団体の情報を取得してはならない。

もしも、国勢調査と偽って個人や法人などの情報を取得した場合は・・・

二年以下の懲役または100万円以下の罰金(統計法第57条 1項)

 

~罰則を妨害した者~

第13条には報告義務が明記されています。

行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。

つまり、この調査を妨げる者がいれば当然、罰せられることになります。

 

  • 第十三条に規定する基幹統計調査の報告を求められた個人又は法人その他の団体の報告を妨げた者

六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金(第60条 1項)

このように、国勢調査は法律により管理されています。

それでは、どうしていまだに国勢調査が必要なのでしょうか?

 

マイナンバーカード・住民基本台帳といった情報ではだめなの?

国勢調査は全数調査です。

そして、日本国内にいる全ての人が答えなくてはいけない調査です。

国勢調査は、1920年(大正9年)から始まり2020年の今回の調査で100年目(21回目)の調査となりました。

そして、国勢調査の目的は統計法によりこのようになっています。

第1条 この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

さて、100年の歴史の中で情報技術が発達し、いまではオンラインで多くのことができるようになりましたよね。

そのため、「マイナンバーカードなどの情報を紐付ければ、簡単に現状把握ができる?」と思うかもしれませんが、実は様々な問題があります。

 

マイナンバーの問題

そもそもマイナンバーは、法律で定められた範囲以外での利用・提供が禁止されているため、国勢調査にはそもそも利用することができないことになっています。

社会保障・税・災害対策の行政手続きに限り利用が認められている。

さらに言えば、そもそもマイナンバーは住民基本台帳(住民票)のデータに振り付けられるため、限られた人口の属性しか確認することができません。

例えば国勢調査は、「地域の振興計画」や「街づくり」、「福祉対策」などの各種の行政施策の基礎資料として扱われます。

ですが、男女・年齢別などの基本事項と組み合わせた就業の状況や従業地・通学地の状況が必要になりますが、マイナンバーではそこまで細かく把握することができません。

つまり、仮にマイナンバーの情報が紐付けることができるようになったとしても、「それだけでは不十分」ということになります。

 

住民基本台帳の問題

住民基本台帳は、「氏名、生年月日、性別、住所などが記載された住民票を編成したもの」で、住民の事務処理の基礎となるものです。

つまり、住民票がもとになっています。

そのため、「産業別・職業別の就業者数」、「昼間の人口と夜間の人口の違い」など、 国勢調査で把握される人口の様々な実態に関する統計情報を、住民基本台帳からは知ることができません。

→マイナンバーと同じで、国勢調査ほどの情報を集めることができません。

さらに、実は例えば大都市で若い年齢の人口が住民基本台帳と国勢調査とでは大きな違いとなって現われるなど、人口差が大きくなっています。

  • 住所変更せずに転居する人がいる。
  • 両調査における人口の把握時点(1月と10月)や把握方法(届出地と居住地)が異なる。
  • 長期の海外渡航者でも住民票を残している。

など、「調査時点」や「調査のやり方」など前提が違います。

*「住民登録を残したまま一人住まいで大学に通っている」・「単身赴任をしている」など、届出の状況が人によってさまざま。


例えば、いくつかの情報を組み合わせてしまった場合、それぞれの前提条件が違ってくるため同じ時点での情報が必要になります。

そのため、ふだんから住んでいる場所で調査する国勢調査が行われています。

このような事情があり、国勢調査は今後も続けられることになるでしょう。

さて、そんな国勢調査ですがいつのまにかインターネットでも回答できるようになっています。

次回は、「インターネット回答であっという間に終わったインターネット回答」についてご紹介します。

 

最後に

これまで、「愛知・東浦町の人口水増し:統計法違反容疑、前副町長を逮捕 10年国勢調査で」といった人口水増しによる逮捕事案はありました。

つまり、調査する側の違反事例はありました。

ただ、「調査を拒否した人が50万円の罰金を支払った」という事例を見つけることができませんでした。

とはいえ、法律で規定されているわけですから私達には回答する義務があります。

ただ、インターネットで回答すればオンライン上で書類が提出することもできますし、自分の回答を印刷することもできます。

もちろん、鉛筆を準備する必要もありません。

なにより、24時間いつでもどこでも回答できるため、これからは国勢調査はインターネット回答が主流になっていくでしょう。


参考

国勢調査2020:国勢調査の概要
https://www.kokusei2020.go.jp/about/outline.html

 

5 件のコメント

  • このような貴重なサイトを立ち上げて頂き、ありがとうございます。私はマイナンバー制度に反対する者です。国勢調査の返信用封筒に「マイナンバー制度が完全に撤廃されたら、協力してあげます」とのメモを入れて返送しようと思っています。しかし、御紹介して頂いたように「50万円以下の罰金」があるのですね。しかし、50万円くらいならば安いものかもしれません。その他にも「前科がつく」というデメリットもあるでしょうが、総務省や政府に「マイナンバー制度反対」という意思表示を行うには、絶好のチャンスかもしれません。「マイナンバー制度」は、もともとは旧民主党政権時代に「社会保障・税・災害対策」に用途が限定されて、国会で承認された法律です。ところが、現在の自民・公明政権になってから、国会で審議・承認されることもなく「施行令」や「施行規則」によって、「社会保障・税・災害対策」に限らず。健康保険証や銀行口座や生命保険や運転免許証などにまで利用範囲が次々と拡大され、あらゆる個人情報と紐づけされようとしています。これでは「国民総背番号」制度です。明らかに憲法(13条:プライバシー権)に違反する犯罪行為です。この計画は実行する価値があると思いますが、如何お考えでしょうか?

    • 貴重なご意見ありがとうございます。長文失礼します。
      私も、近藤様と同じような考えを持っていた時期があります。
      ただ、すでに健康保険で番号が振られていますし、そもそも住民票が番号制でなければ混乱が生じることになるでしょう。そう言う意味では、番号制にすることじたいは「悪」ではないでしょう。
      問題は、「マイナンバーを使って紐付けを拡大していっていいのか?」という点ですよね。
      確かに、個人情報をどんどん紐付けていくことは危機感を煽られます。実際、報道機関でも1つの問題として取り沙汰されることでもあります。
      それでは、知られるとまずい個人情報はあなたの名前でしょうか?住所でしょうか?
      もしも、なにか人に恨まれるようなことをしていれば、名前や住所を知られることは危険かもしれませんが、大部分の人にそれほどの脅威にはなりません。
      そもそも、これだけSNSが発達している世の中ですので、すくなくともSNSをやっていれば調べられればあなたがどこの誰かを特定することは簡単にできてしまいます。
      問題は、例えば指摘されているように「口座番号」などが知られることですよね。
      ですが、マイナンバーが紐付けられていない口座番号が、すでにドコモ口座など電子決済などで不正流出していた事件が発生しています。
      確か、マイナンバーカードで紐付けられる予定の口座は1口座だけだっだと思いますが、今回の不正流出は多くの地方銀行が狙われました。
      なにが言いたいかといえば、「そもそも私やあなたの個人情報が誰にも知られていない!」と考えることは、あまりにも現状から外れていると考えるようになりました。
      それは、ドコモ口座の事件やマイナンバーなど、様々な事柄を気になって自分で調べた結果の結論です。
      そして、国民総背番号が違憲になるかどうかは裁判所が決めることになるため、あくまでもどんな主張も個人の意見になります。
      *ちなみに、現在おこなわれている国勢調査はプライバシー保護の対象外になっています。

      さて、これは政治を変えたいという意味になると思うのですが、そのためには「N国党」や「令和新撰組」のように政党として民意を集めて国会議員を輩出する必要があるでしょう。
      ですが、それまでに情報を集めて(「本当に違憲になるのか?」といった判例など)、自身のブログやyou tubeなどで根拠に基づいた正確な情報を発信していて行く必要があるでしょう。
      最初の内は、自分の思いや気持ちは、最後にしないと独りよがりに感じてしまう人が多いかもしれません。
      そうやって、あなたの支持をしてくれる人を集めることも1つの手段だと思います。
      私は個人事業主ということもあり、マイナンバーの紐付けをある程度進めていく必要があると考えています。まずは、イメージではなく紐付けられたときのメリットとデメリットを書き出していってみてはいかがでしょうか?
      また、マイナンバーばかりに目をとられていると足下をすくわれかねません。他の視点も大事にして頂ければ幸いです。

      • kinkishiga様
        誠実なる御回答ありがとうございます。
        御見解については、よく考えてみたいと思います。
        ところで、私は「共通番号いらないネット」というマイナンバー制度廃止を目指す市民運動団体と接触がありますが、kinkishiga様の御見解を、そのサイトに紹介しても宜しいでしょうか?

        • 個人的に気になることについて調べて、少しでも視点を広げられる情報をお伝えできるように情報発信をしています。
          情報を自分の中にインプットして、その情報を外に出すアウトプットと言えばいいでしょうか・・・
          さて、ご指摘の「共通番号いらないネット」は2015年から活動されている団体のようですね。
          少し確認しましたが、マイナンバーの危険性について呼びかける活動を熱心にされていることがわかりました。
          ただ、日本共産党さんと関わりがあるようです。
          どの政党に関わらず、私としてはこのブログにあまり政治の色は付けたくないと考えています。(できる限り、客観的に記事を書いていくために)
          申し訳ありませんが、紹介はしないで頂けますでしょうか。
          1人の読者として、興味のある記事を読んで頂ければ幸いです。
          それでは、失礼します。

          • kinkishiga様の御見解を「共通番号いらないネット」に紹介しない旨、承知致しました。
            但し、「私の人生体験」として「kinkishiga様のようにお考えになる方もいらっしゃるんだな」ということは、「共通番号いらないネット」に限らず、「マイナンバー制度反対活動」の中で、述べるかもしれません。しかし、その際には具体的なブログ名やお名前は開示しませんので、ご安心ください。

            近藤

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