多くの人が、自転車や車・バイクといった乗り物を運転する機会があるのではないでしょうか?
さて、「車に巻き込まれる事故」と言えば、例えば内輪差による事故がありますよね。車を運転している者として、私も日頃から注意している点でもあります。
それでは、トラックの「リアオーバーハング」による事故が引き起こされていることをご存じでしょうか?
今回は、『トラックの運転者にしかほとんど意識されていない「リアオーバーバング?」の危険性』についてご紹介します。
まずは、「内輪差」のおさらい
車の運転をしたことがない人のために、「内輪差」について簡単に説明します。
教習所などでも、何度も教えられますが・・・
内輪差というのは、「曲がるときに後輪が前輪より内側を通ることでうまれる前後輪の軌跡の差」のことです。
例えば、右左折時に内輪差を考えてハンドルを切らないと、前輪は曲がれても後輪は縁石に乗り上げしまうことになります。
また、交差点で左折しようとする場合、同じように左折しようとしているバイクを巻き込む危険性があります。
→一般的には、ホイールベース(前輪軸と後輪軸の距離)の1/3~1/2程度の内輪差があります。
特に、バイクや自転車を運転する人は車の右左折時に巻き込まれないように、車体の後方を走行しないと危険です。
本当に・・・
さて、このような内輪差の危険性については、多くの人が認識しているのではないでしょうか?
ですが、本題の「リアオーバーハング」については、あまり意識していないのではないでしょうか?
そもそも「リアオーバーハング」ってなに?
物流の要といえば、大小さまざまなトラックですよね。
コロナの影響でネットショッピングなども増加し、トラックの運転手はますます需要が高まっている職業の一つになりました。
ただ、普通車を運転したことがある人でも、トラックを運転したことがある人は少ないのではないでしょうか?
というのも、そもそも「リアオーバーハング」と聞いてトラックのどの部分のことを言っているのか自信をもって答えられるでしょうか?
→A.トラックの荷台後ろの張り出し部分(トラックの後輪からお尻部分)
それでは、どんな危険があるのか実際の事故事例から見ていきましょう。
リアオーバーハングによる事故事例とは?
1.ある交差点で「電柱」を積載したトラックの場合
このトラックが、左折しようとしたときに隣の右車線を走っていたバスに、電柱の先端が衝突してしまった事故がありました。
この事故により、バスの窓が割れてしまい乗客がけがをする事態が発生。
普通、私たちが乗用車を運転する場合、右左折時、特に気を付けることは内輪差です。なぜなら、トラックのように「車体が長い」ということをそもそも意識する必要がないためです。
つまり、内側にばかり気がいってしまうことになります。
ところが、トラックなど大型車は車体が長く、車の後輪よりも後方にある車体の部分が右左折時に外側にはみ出します。
つまり、このリアオーバーハング部分は、乗用車の運転者からすれば「予想外の危険」になります。
そして、大きいトラックであればあるほど、右左折時は内側だけでなく外側から車体が接触することを意識しながら私たちも運転する必要があります。
特に、自転車や原付は車の間をぬって運転する人をよく見かけますが、命を守るためにはトラックの車体に巻き込まれないように、車間距離を十分にとらないと接触事故を引き起こします。
トラックに自転車やバイクが接触すればただではすみません。
とはいえ、この車間距離はあなたが想像するよりも、場合によってはより多めに取らないといけないかもしれません。
トラックとの車間距離はどれくらいとればいいの?
例えば、今回の事例で電柱はトラックの車体後部からはみ出していましたが、電柱には赤い布をつけていて道路交通法上、何の問題もない範囲でのはみ出しでした。
ちなみに、荷台からはみ出して積載できる長さは、車体全長の1/10までになります。つまり、大型トラックの場合は、80~90㎝もはみ出すことがあります。
こういった理由から、リアオーバーハングが1mを超えることもあります。
そのため、もしもこういったトラックが右左折しようといている横をあなたが通過するときは、「トラックの外側を直進だけだから大丈夫!」と安心しないでください。
最悪、トラックやトラックからはみ出している積荷が、道路を直進しているあなたに接触してくるかもしれません。
ただし、必ずしも「トラックの右左折時のみ気を付ければいい!」というものでもありません。
2.リアオーバーハングによる「振り出し」事故の場合
先ほどの事例は、右左折時の場合ですので「トラックが右左折時は近づかない・横を通過するときは横幅の間隔をしっかりとる(2車線以上なら左車線にはいる)」と意識すれば回避できるでしょう。
それでは、トラックが「振り出し」した場合はどうでしょうか?
→「振り出し」というのは、いわゆる「ケツ振り」のことです。それでは、どういった事故が起きたのか見ていきましょう。
トラックは第二車線を走行中、前方で分岐している右折車線に進入しようとしている乗用車Aを発見。
その際、乗用車Aの車体後方が第二車線にはみ出していたため、トラックは少し左にハンドルを切り追い越した。
ところが、第一車線を走行してきた乗用車Bの右側面にトラックの左後方が接触した。
なぜ事故が起こったの?
この事故は、トラックが右側にいた乗用車Aを追い超そうとハンドルを左に切り、その後、乗用車と同じように車体をまっすぐにしようとしたため発生しました。
つまり、車体が長いためリアオーバーハング部分が振られてしまい、第一車線(外側)から走行してきた乗用車に接触した事故です。
本来なら、このトラックは乗用車Aが右折車線に入るのを待つか、後方から車が来ていないことを確認してから乗用車Aを追い超す必要がありました。
このように、私たちはトラックの右左折時のみに注意すればいいわけではなく、トラックの車体が振られたときも注意が必要になります。
こういった理由から、私の場合はできる限りトラックには近づかないようにしています。どうにもならないときは、車間距離をあけて走行するようにしています。
→車間距離を開けると、車が入ってきますがトラックの後ろを走る必要がなくなり、下がることで視覚がすこし開けるため、気持ちに少し余裕ができます。
リアオーバーハングの危険性については、こちらの動画でも紹介されています。
最後に
自転車にも、「あおり運転」が適用されることになりました。
例えば、自転車がトラックの真後ろを走る理由は、空気抵抗を受けないため楽に走ることができるためという理由があります。ですが、これもあおり運転になります。
さて、そんな自転車は基本的に車道を走る必要がありますが、トラックのリアオーバーハング部分が隣車線や歩道にはみ出す危険があるため、左方向を定位置にするサイクリストや歩行者が巻き込まれやすくなります。
ちなみに、日本の道路は雨水やゴミなどを効率よく道路へ排除するために、「右高左低」にできている場所が多くなっています。
つまり、自転車が走ることになっている車道左側にはこんな危険があります。
- 雨水
- 排水溝
- 集まったゴミ
- 車の轍
など、場合によっては自転車がまともに走ることができず、より道路側に避ける必要がある場合もあります。
そんな時、トラックが曲がろうとしたり・ケツ振りが起これば、自転車ごと直接トラックの車体に激突することになるでしょう。
特に、「子どもは前方しか見ない」という特徴があるため、さらに注意が必要です。
トラックのそばを通過するときは、「内」も「外」も十分にご注意ください。このことは、車や自転車といった乗り物に乗っている人だけではなく、歩行者にも同じこと
が言えます。
参考
PRESIDENT Online:「道路上の最恐車両」トラックドライバーが自転車を怖がる3つの理由
→https://president.jp/articles/-/37255
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