インフルエンザに感染した時は、これまでタミフルが一般的でした。
ただ、タミフルが効果のない耐性インフルエンザの出現により治療が難しくなっていました。
そんな中、2018年3月14日から「ゾフルーザ」と呼ばれるインフルエンザの新薬が発売されました。
今日の記事では「新薬:ゾフルーザ」について紹介します。
そもそも抗インフルエンザ薬はどんな種類があるの?
実は、インフルエンザに効果のあるとされる薬はたくさんの種類があります。
~代表的な抗インフルエンザ薬~
内服薬
タミフル
インフルエンザウイルスの増殖を抑え、インフルエンザ感染症の治療や予防に用いられます。
市販薬:タミフルカプセル75の場合・・・
- 治療目的:成人及び体重37.5kg以上の小児に1回75mgを1日2回、5日間経口投与。
- 予防目的:成人→1回75mgを1日1回、7~10日間経口投与。
- 〃 :体重37.5kg以上の小児→1回75mgを1日1回、10日間経口投与。
長期間の服薬が必要。
*異常行動がニュースでも取り上げられましたが、インフルエンザによる症状(異常行動・けいれん・意識障害)と近いためタミフルとの因果関係は、実はまだはっきりしていません。
吸入薬
リレンザ
インフルエンザウイルスの増殖を抑え、インフルエンザ感染症の治療や予防に用いられます。
- 治療目的:1日2回、5日間、専用の吸入器を用いて吸入
- 予防目的:1日1回、10日間、専用の吸入器を用いて吸入
イナビル
インフルエンザウイルスの増殖を抑え、インフルエンザ感染症の治療や予防に用いられます。
- 治療目的:成人→40mgを単回吸入投与。
- 〃 :小児→10歳未満の場合、20mgを単回吸入投与。
- 〃 :10歳以上の場合→40mgを単回吸入投与。
- 予防目的:成人→40mgを単回吸入投与。(20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる)
- 〃 :小児→10歳未満の場合、20mgを単回吸入投与。
- 〃 :10歳以上の場合→40mgを単回吸入投与。(20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる)
→単回接種ですが、吸入しなくてはならないため、子どもや高齢者には使いにくい。
点滴薬
ラピアクタ
インフルエンザウイルスの増殖を抑え、インフルエンザ感染症の治療や予防に用いられます。
①成人:→300mgを15分以上かけて単回点滴静注。
・合併症等により重症化する恐れのある患者には、1日1回600mgを15分以上かけて単回点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与(年齢、症状に応じて適宜減量)
②小児→1日1回10mg/kgを15分以上かけて単回点滴静注(症状に応じて連日反復投与)
③投与量の上限は、1回量として600mgまで
これまでの抗インフルンザ薬の特徴
①内服薬・吸入薬・点滴薬と種類はあるが、どれもインフルエンザウイルの増殖を抑える効果しかない。
②1日に何回も服薬しないといけないなど手間がかかる。
新薬
ゾフルーザ
感染した宿主細胞内で新たなインフルエンザウイルスを作るために必要な酵素を阻害することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬。
①成人及び12歳以上の小児には、40mgを単回経口投与(体重80kg以上の患者には80mgを単回経口投与)
②12歳未満の小児には、次の用量を単回経口投与
- 体重40kg以上→40mg
- 体重20kg以上40kg未満→20mg
- 体重10kg以上20kg未満→10mg
1回だけの服用で効果があるため、そもそも「予防目的」という使い方がありません。
つまり、1回の内服で治療が終わってしまいます。
また、これまではインフルエンザの増殖を遅らせることしかできなかったのに対して、ゾフルーザはそもそもインフルエンザウイルスが新たに増殖しないできるため、これまでとは全く違う作用です。
→インフルエンザウイルスの進行を遅らせるのではなく、ストップさせます。
万能薬?
これまでの抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスが体内の細胞内にはいり、細胞の中で増殖した後に、細胞外にでたときにブロックしていました。つまり、一度感染した細胞は汚染されるのを止めることができませんした。
ですが、ゾフルーザは感染した細胞の増殖をブロックすることができます。
そのため、ゾフルーザを1回服用すれば約24時間で体内からウイルスが消えてくれます。ちなみに、タミフルは約72時間です。
これだけすごいと「万能薬」と言いたくなりますが、実は・・・
とてもつらい身体の諸症状が消えるのは、タミフルと同じぐらいの時間がかかります。
ただ、服薬するのもかなり辛いのでそれが一度だけでいいなら大きな成果かもしれませんね。
注意点は?
- 妊婦・産婦さんや、体重が10㎏以上ない子どもは服薬できません。
- 副作用に、下痢や頭痛などがありますが「新薬」のためまだ分かっていない副作用もありえます。タミフルのように、異常行動が騒がれるかもしれません。
- タミフルと同じようにゾフルーザにも耐性ウイルスがすでに確認されています。つまり、ゾフルーザが効かないインフルエンザウイルスがすでにでてきています。
- 1回で内服が終了するということは、効き目が長時間続くということです。服薬回数の多いタミフルなら、副作用が出れば内服を中止すれば早い段階で効き目がなくなりますが、ゾフルーザの場合は長時間副作用が続きます。
まとめ
- ゾフルーザは、汚染された細胞にも効果がある。
- 1回服用すれば治療終了。
- 副作用がまだすべて分かっていない。
- 耐性ウイルスがすでに確認されている。
参考
日経メディカル
→https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/62/6250405A1032.html
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