「疲れたときの強い味方」といえば、栄養ドリンクではないでしょうか?
かくいう私も、高齢者介護をしていたときは定期的に飲んでいました。特に、夜勤の時はなくてはならない存在でした。
とはいえ、栄養ドリンクについてどこまで知っていますか?
今回は、「知らないと嘘の元気で身を滅ぼすかもしれない栄養ドリンク」についてご紹介します。
そもそも、「栄養ドリンク」ってなに?
薬局やスーパー、コンビニだけでなく自動販売機でも販売され、まさにあらゆるところで手に入る栄養ドリンク。
それでは、これらのドリンク剤の種類をご存じでしょうか?
そもそも、栄養ドリンクの目的は「肉体疲労時の栄養補給などを目的として販売されている飲料」です。
つまり、ドリン剤の中には医薬品も含まれています。
ドリンク剤に含まれる成分によって「一般用医薬品」と「医薬部外品」に区分される!
例えば、吉村知事が「うがい薬の成分の1つして使われるポビドンヨードがコロナウイルに効果がある!」ということで、イソジンうがい薬が薬局の棚から消え大問題になりましたよね。
ただ、イソジンのなかでも医薬品として取り扱われるポビドンヨードが含まされていない「イソジンクリアうがい薬」は、指定医薬部外品になるためコンビニでも購入することができます。
このように、「医薬品」として分類される成分が含まれているかどうかで種類が異なり、販売場所も変わってきます。
それでは、まず実栄養ドリンクの一般用医薬品についてみていきましょう。
一般医薬品
- 第二類医薬品・・・副作用や薬の飲み合わせなど、注意が必要な薬。薬剤師・登録販売者から購入することができ、販売者からの情報提供は努力義務。
- 第三類医薬品・・・薬剤師・登録販売者から購入できる。リスクの程度は比較的低く、購入者から直接希望がない限り、情報提供には法的制限がない。
*栄養ドリンクに、第一類医薬品はありません。
つまり、第二類医薬品は医療的な見地から「効果がある!」と認められています。ただ、その反面、栄養ドリンクの中では最も副作用や相互作用の注意が必要な栄養ドリンクでもあります。
ちなみに、第三類医薬品は第二類医薬品よりもリスクの小さい成分のみで作られている栄養ドリンクです。
どちらにしても、「医薬品」。つまり、薬ですので薬剤師などがいる薬局など、限られた場所でしか購入することができません。
また、「一般用医薬品に分類されている!」と言うことは、効能・効果・副作用といった臨床データに基づいて国が認証している栄養ドリンクと言うことになります。
逆に言えば、コンビニや自動販売機などで売られているドリンク剤は、医薬品では無く「医薬部外品」や「清涼飲料水」ということになります。
それでは、医薬部外品の栄養ドリンクとはどういうことなのでしょうか?
医薬部外品の栄養ドリンク?
医薬部外品に分類されるドリンク剤は、国の規制緩和の一環としてコンビニなどでも販売されています。
というのも、もともと「医薬品」は医薬品の販売規制により、薬局・薬店でのみしか販売することができませんでした。
ですが、こういった医薬品の販売規制に対して、かぜ薬等の自由な販売を求めたチェーンストア業界からの要望に端を発し、1994年に規制緩和の検討が始まりました。
その後、1999年にドリンク剤やトローチといった15製品群が一般小売店でも販売できるようになりました。
ただ、「医薬部外品」とはいえ、医薬品に分類されるドリンク剤と同様に効能・効果を表示することができます。
→医薬部外品は、医薬品のドリンク剤よりも安全性が高いと考えられていますが、過剰摂取には注意必要です。
*ちなみに、医薬部外品の栄養ドリンクには、ローヤルゼリーなど医薬品として扱われていない貴重な成分を多く含んだ物もあり、医薬品よりも高価な栄養ドリンク剤もある。
さて、ここまでは何となく栄養ドリンクの分類として理解できるのではないでしょうか?
問題は、清涼飲料水として販売されている栄養ドリンクです。
清涼飲料水として販売されている栄養ドリンク?
これまで、栄養ドリンクの「医薬品・医薬部外品」としての栄養ドリンクを紹介してきました。
ところで、レッドブルやモンスターエナジーのようなエナジードリンクを、栄養ドリンクとして飲用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それでは、エナジードリンクは医薬品?それとも医薬部外品?
答え.清涼飲料水
「清涼飲料水」ってなに?
そもそも、清涼飲料水というのは「乳酸菌飲料・乳・乳製品を除く、アルコール成分が1%未満の飲料のこと」と定義されています。
逆に言えば、アルコールが1%未満であれば清涼飲料水として販売できてしまいます・・・
そして、医薬品・医薬部外品ではなく、あくまでも「清涼飲料水」であるため、効能を表示することはできません。
ただ、レッドブルと言えば「翼を授ける」とCMなどで報道されており、「栄養ドリンク?」と、勘違いする人もいたのではないでしょうか?
かくいう私も最初は、エナジードリンクについて知らなかったため、まさか清涼飲料水とは思っていませんでした。
*清涼飲料水は、CMなどで元気になるイメージを持つような「演出」はできるが、「栄養補給」といった表現(効能)は使えないという制限がある。
→清涼飲料水は、あくまでも嗜好品
それでは、栄養ドリンクには本当に効果があるのでしょうか?
栄養ドリンクの効果とは?
「医薬品」・「医薬部外品」・「清涼飲料水」など、ドリンク剤全般に共通している成分
- 糖類・・・発動エネルギーとして即効性がある。
- 数種のビタミン剤・・・特に「B₁」は、糖類をエネルギーに変える働きを助ける。
- カフェイン・・・中枢神経を興奮させ、一時的に眠気を覚まし疲労を感じにくくさせる。
→表示がないだけで、ごく微量のアルコールが含まれている場合もある。
*微量のアルコールは、元気な気分にさせる効果がある。
「医薬品」や「医薬部外品」の場合は、上記の他に・・・
- 生薬・・・天然由来の医薬品の総称。
- タウリン・・・肝臓の働きを活発にする機能など。
こういったものが含まれています。
つまり、「エネルギーの注入」と「疲れを麻痺させる」効果が、栄養ドリンクにはあることになります。
主に関係してくる法律も違う!?
- 医薬品・医薬部外品:薬事法
- 清涼飲料水:食品衛生法
*ちなみに、薬事法ドットコムを確認すると、清涼飲料水で「栄養ドリンク」という広告表現については、「栄養ドリンク」と称するのに特に基準があるわけでは無いため問題ない
ようです。
それでは、栄養ドリンクの注意事項について見ていきましょう。
栄養ドリンクは「疲れのごまかし」!?
皆さんが、栄養ドリンクを飲むときはどういうときでしょうか?
私の場合なら、なん連勤も続いて「そろそろ限界・・・」という時に飲用することや、夜勤で仮眠などはないため寝てしまわないように休憩時間中に飲用していました。
つまり、私にとっての栄養ドリンクは「体が悲鳴をあげているけど休めない・・・」。そんな時に飲用していました。
仕事をしている人からすれば、こんなことは日常茶飯時ではないでしょうか?
つまり、「栄養ドリンクは体力の前借り」
でしかありません。
そもそも、「疲れ」というのは人間の防御機能の1つです。ですが、本来なら休憩を入れないといけない状態を無視して、働く時間を延長している状態です。
つまり、栄養ドリンクで体力が回復することはありませんし、あくまでも「疲れを麻痺させている」に過ぎません。
栄養ドリンクの注意事項は?
❶常用は、病気や依存症の原因に!
先程説明したように、ドリンク剤には糖類が含まれています。
そのため、常用すれば糖尿病の危険があります。また、カフェインによるカフェイン中毒が引き起こされることになりかねません。
例えば、少し極端な例ですが、清涼飲料水として販売されているエナジードリンクにより、カフェイン中毒による死者も報告されています。
→常用したとしても、1日1本に留めておいた方がいいでしょう。
➋飲み合わせに注意!
- かぜ薬
- 気管支喘息治療薬
- 睡眠薬
- 抗うつ薬
- 糖尿病治療薬
など、こういった薬を服薬している場合はドリンク剤は避けた方がいいでしょう。
特に、カフェインやアルコールはさまざまな相互作用を引き起こしやすくなるため、かなり注意が必要です。そのため、薬局などで薬剤師に相談しながら購入した方が安心です。
❸病気に気付きにくい
ドリンク剤により、疲れている自分をごまかしているため本来の自分の体調が分からない状態になっています。
最悪、ドリンク剤ではごまかしきれなくなった(病気が悪化した)状態で手遅れになる可能性があります。
このように、ドリンク剤は一時しのぎでしかないため、常用することはせずに休憩をしっかりとれる環境と時間の確保を優先した方が健康的です。
*お風呂や趣味も有効な手段ですし、深呼吸も効果がある。
最後に
栄養ドリンクに慣れてくると、あって当たり前になっていきます。
ですが、あくまでも「体力の前借り」と考えておかないと、無理をしすぎることになるでしょう。
ある意味、ドーピングですので例えばテストの一夜漬けなどで「火事場の馬鹿力」としては使えますが、いつも以上に体力を使ってしまうため、翌日には疲れが出てしまいます。
できる限り、栄養ドリンクを飲んだ次の日は休む
ように心がけて下さいね。そして、ドリンク剤の「医薬部外品」と「清涼飲料水」は別物です。混同しないようにご注意下さい。
参考
東京都病院経営本部:松沢病院通信 VOL.44
→https://www.byouin.metro.tokyo.lg.jp/matsuzawa/wp-content/uploads/2016/02/matsuzawa_44_0313.pdf
栄養ドリンクの薬機法分類
→https://food-drink.pintoru.com/energy-drink/pharmaceutical-affairs-law-classification/
医薬品の販売規制緩和に関する意見書
→http://www.yakugai.gr.jp/topics/file/hanbaikisei_op_19990804.pdf
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