皆さんは、子どもの頃に小さな生き物を捕まえたことがあるでしょうか?
セミやバッタ、コオロギなど特に気にせず触ることができた年代。親からは、「生き物を触ったらキレイに手を洗って!」なんて怒られた経験がある方もいるのではないでしょうか。
それでは、カエルを捕まえたことはありますか?
今回は、最近話題の「アマガエルの毒性」についてご紹介します。
毒をもつ生き物!?
「毒をもつ生き物」といえば、スズメバチやムカデ・蛾など、私達の周りには毒をもつ身近な生き物がたくさん身近にいます。
それは、「アマガエル」も例外ではありません。
アマガエルと言えば両生類ですが、なぜ粘液に覆われているかご存じでしょうか?
◎両生類の基礎知識◎
両生類というのは、「水中と陸の両方で生きることができる」ため両生類と呼ばれます。
つまり、子(幼生)の時は水中生活(カエルの場合はオタマジャクシ)で、親(成体)になると多くは陸に上がっていきます。
とはいえ、乾燥に強くないので水辺や湿った所で生活します。
《皮膚呼吸がなくてはならない!》
両生類は成体になっても肺の機能は不十分なため、皮膚呼吸で補っています。
→皮膚呼吸の割合は3~7割
そして、酸素が溶け込みやすいようにそもそも皮膚が湿っている必要があります。ちなみに、「乾燥に弱い」とはいえ干からびたカエルに水をかけると復活することもあるようです・・・
さて、ここからが本題ですが、カエルは湿気の多い場所に生息していることが多いですよね。つまり、カビなどの細菌が繁殖しやすい環境ということができます。そのため、抗菌のために皮膚の表面から毒を分泌しています。
ただ、毒性はそれほど強いわけではありません。それでは、アマガエルが分泌している毒には、どういった毒性があるのでしょうか?
抗菌成分
アマガエルが抗菌のために分泌している毒素には、「抗菌ペプチド」と呼ばれるアミノ酸があります。この抗菌ペプチドは、「病原性細菌や真菌類に対して広い抗菌作用がある」と言われています。
つまり、ハチのように毒を対象者に攻撃のために使うのではなく、自身の殺菌のために分泌するためのものです。ちなみに、ヒキガエルの毒素は、犬や人間にまで命に関わる毒素を分泌するため注意が必要です。
→抗菌ペプチドは、人間の皮膚や口腔・消化器・泌尿器など、ありとあらゆる部位で産生されています。
そもそも、この抗菌ペプチドは病原性微生物の感染から、宿主を守るための先天的な生体防御機構の1つです。植物・昆虫・脊椎動物など、あらゆる生物に存在しています。
アマガエルの毒性は?
アマガエルの毒(粘液)が手に付着するため、アマガエルを触ったあとに・・・
- 目をこすると刺激痛や炎症を起こすことがある。
- 傷口がある手で触れると傷が治りにくい。
といったことが起こります。
最後に
今回は、アマガエルの毒性についてご紹介しました。
今回の記事で言いたいことは、「アマガエルには触らない!」ではありません。そんなことを言えば、そもそもどこにも触れることができなくなります。
単純な話し、アマガエルを触ったあとは「口や目を触る前に手を洗う」ということだけです。仮に子どもに「触るな!」と言っても触るでしょうし、そもそも貴重な経験になります。
というわけで、「手を洗う理由」をしっかり子どもに説明できるツールになればいいのかもしれませんね。(理由がしっかりしていれば、子どもは納得しやすい傾向があります)
ただ単に、子どもに「手を洗って!」「汚い!」だけでは伝わらないことが多いですよね・・・
親が気をつけることは、最低限の本当に危険な生き物(スズメバチやムカデなど)は、最初に親が教えないといけないということでしょう。
参考
一般社団法人セルズ環境教育デザイン研究所
→https://cells.jp.net/biology/1102
バイオミディア:カエルに学ぶ抗菌力
→https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9212/9212_biomedia_5.pdf
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