もしも津波から逃げ遅れたら・・・ 津波避難ビルをご存じですか?

 

皆さんは、地震が発生し津波から逃げるときにどこへいきますか?

普通なら、小高い丘など少しでも高い所へ避難しますよね。

ところが、津波は突然やってくることもあり気付けば「逃げ遅れた!」なんてこともあるかもしれません。

そんな時、助けになる建物が津波避難ビルです。

今回は、「もしもの時の緊急避難場所となる津波避難ビル」についてご紹介します。

 

→津波の危険性については、こちらの記事で紹介しています。

津波の心得! 20㎝の津波が危ない?

 

津波避難ビルってなに?

津波避難ビルは、津波が発生したときや発生する恐れがあるときに、逃げ遅れた人やどうしても遠くまで避難することができない人に、少しでも安全な場所を確保するために建物の一部を一時的に避難場所として使用することを、市+所有者+管理者とが協定を結んだ建物のことです。

もちろん、基本的には津波浸水想定エリアの外へ避難することが原則です。

間違ってはいけないことは、家屋を失った被災者が一時的に生活する避難場所ではありません。

*あくまでも、注意報などが解除されるまでの一時的な待避場所。

 

「津波避難ビル等ガイドライン」は廃止されている!?

実は、2017年までは2005年に公表された「津波避難ビル等ガイドライン」をもとに、津波避難ビル等の要件や留意点などをもとに整備されていきました。

ところが、2011年に発生した東日本大震災を契機に「津波防災地域作りに関する法律(津波防災地域づくり法)」により、総合的な地域づくりの中での津波防災対策が制度化されました。

これにより、最大クラスの津波がきても安全な避難場所として提供できるように津波避難ビル等ガイドラインは廃止されました。

津波避難等ガイドラインの替わりに、2019年現在では・・・

  1. 津波避難ビル等を活用した津波避難対防災対策の推進について(技術的助言)
  2. 津波に対する安全性(構造・避難場所の高さ)について
  3. 避難経路等の設定について
  4. 指定緊急避難場所の指定に関する手引き
  5. 津波避難ビル等に関する事例集

これらが現在の参照先となっています。

津波避難ビルは、平成30年8月時点で対象地域に14,903棟あります。

 

津波避難ビル等の構造安全性の確認はどうやっているの?

2019/6/10名古屋市防災会議地震災害対策部会より

 

構造安全性確認の流れ

構造安全性の確認は、建築物や津波に関する基本情報による一次判定・個々の詳細情報による二次判定の順で実施されます。

《一次判定(基本情報)》

  • 【建築物】用途・構造種別・階数・奥行き
  • 【津波】所在地における浸水深

→構造の安全性確認終了。

一次判定がダメだった場合は、二次判定がおこなわれます。

 

《二次判定》

  • 【建築物】実重量、開口部などの詳細構造
  • 【津波】所在地における浸水深・流早等

*把握可能情報による再判定

→二次判定がダメだった場合、構造安全性が未確認となります。

 

建築物に作用する力の設定

津波波力・建築物重量・浸水による浮力を考慮し、倒壊・転倒・滑動に対する安全性を判定します。

《一次判定》

  • 津波波力→浸水深から設定
  • 建築物重量→建築物の基本情報(構造・用途・階数・奥行き等)から設定。
  • 浮力→浸水深から設定

 

《二次判定》

  • 津波波力→浸水深・流速から設定
  • 建築物重量→建築物の実重量から設定
  • 浮力→浸水深、建築物内部への水の流入を考慮して設定

このように、津波避難ビルは構造安全性の確認などが実施されています。

ただし、あくまでも想定内の災害だった場合です。

もちろん、自治体によっても津波避難ビルなどの避難場所の数は違います。

そもそも、昔から水害が発生しやすい場所は全国各地にあり、市の名前などにも表わされていました。ただ、市の合併などにより名前が変わったところも少なくありません。

一つ言えることは、本来は人が住むにはあまりにも困難な場所があるということです。

さて、そんな避難場所ですが、最近では地域の様々な場所が避難場所として指定されるようになっています。

 

様々な避難場所

避難場所といえば、公共施設を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

ですが、先程もお伝えしたように地域の民間施設が避難場所になっていることもあります。

そもそも、避難場所が足りないということもあります。

 

様々な地域の避難場所!

そこで、津波による避難場所として様々な場所が利用されています。

  • ホテル
  • マンション
  • オフィスビルの廊下・踊り場
  • 商業施設等の自走式立体駐車場
  • 高速道路の敷地(サービスエリアの従業員用駐車場など)

このような場所も利用されています。

 

避難場所には適さない場所

ただし、利用するには適さない場所も当然あります。

  • 金融機関の執務室内(多額の金銭・個人情報を扱っているため)
  • 工場の屋内(衛生面・工場内の機械に対する安全面)
  • ホテル・アパートの室内(個人のプライバシー)

このように、避難場所として利用させてもらった先の立入り禁止箇所には入ってはいけません。

せっかく避難したのに、ケガをする恐れもありますし、あらぬ誤解を受けることになるかもしれません。

災害時は、みんなが被災者です。

最低限のルールは守っていきたいですね。

 

最後に

災害対策は、どんどん新しい基準に変わっていきます。

問題は、既存の施設が新しい基準に必ずしも対応していないことです。

そして、想定外が繰り返されることで新しい基準は古い基準になります。

今後も、南海トラフ地震のような巨大地震の危険性が示されています。

避難場所は前もって確認しておいて下さいね。

*津波避難ビルなど、避難場所は案内看板により示されています。


参考

西条市:災害時、どこへ避難すればいいの?
https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/kikikanri/shiteikinkyuhinanbasyo-shiteihinanjo.html

内閣府:防災情報のページ
http://www.bousai.go.jp/jishin/tsunami/hinan/tsunami_top.html

名古屋市防災会議地震災害対策部会
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/53-2-2-0-0-0-0-0-0-0.html

 

 

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