垂直避難は最後の手段! でも、準備が必須!?

 

これまで、防災について何度も取り上げてきましたが今年も梅雨の季節になりました。

新しく「大雨警戒レベル」という新しい避難タイミングを知らせるための指標ができましたが、それでも洪水などから逃げ遅れてしまう可能性はありますよね。

今回は、『災害時の選択肢の1つになる「垂直避難」』についてご紹介します。

 

「大雨警戒レベル」については、こちらの記事で紹介しています。

令和から新しく始まるお天気情報「大雨警戒レベル」!  避難のタイミングは?

 

そもそも「垂直避難」ってなに?

大雨警戒レベルとの関係

「避難」というと、普通は外に出て避難所など安全な場所へ移動することを想像する人が多いのではないでしょうか?

このように、水平な場所に避難することを「水平避難」と呼びます。

大雨警戒レベルは、この水平避難ができるタイミングを知ることが指標だと言えるでしょう。

→大雨警戒レベルは、1~5に区分されており・・・

  • 警戒レベル3:高齢者などは避難開始
  • 警戒レベル4:全員の避難が完了している状態。

基本的には、警戒レベル3までなら全員が安全に水平避難ができることになるため、覚えておくといいでしょう。

つまり、大雨警戒レベル4になれば垂直避難を検討しなくてはいけません。

*大雨警戒レベル5になると、すでに水平避難は手遅れのため、「垂直避難一択」となります。

さて、「垂直避難」がどういった行動かもう分かりますよね。

 

「垂直避難」で助かっていたかもしれない命とは?

垂直避難は、「災害が発生して身の危険がある可能性がある状況下で、避難場所に行くことができないときに少しでも高い所へ避難する行動」のことをいいます。

大雨警戒レベルで言えば、警戒レベル4~5が出された時です。

→原則は、避難所など安全な場所への避難(水平避難)が基本です。

さて、そんな垂直避難について倉敷市では平成30年7月に発生した豪雨災害の対応検証報告書を公表しています。

 

倉敷市で発生した大災害

平成30年7月:特に真備地区の高梁川水系小田川及びその支流である県管理河川

  • 8か所で堤防決壊
  • 7か所で一部損壊・損傷
  • 約1,200ヘクタールが3日間にわたり水没
  • 5,700棟超の住家が全壊・大規模半壊・半壊
  • 市全体で59名(うち災害関連死7名)が亡くなる

このような、大規模な洪水被害が発生してしまいました。

犠牲になった45人(88%)は高齢者でした。

そして、亡くなられた59名のうち51名の方は、倉敷市真備地区に住まわれていた住民の方で河川の上流にある地域よりも降雨量が少ない地域でもありました。

ただ、降雨量が少なかったにも関わらず、5割以上の人が自宅以外の場所に避難した「防災意識が高い地域」でもありました。

 

~犠牲者の多くが高齢者~

51名の内、自宅で亡くなられた高齢者が8割を越えていました。

垂直避難の必要性は、以下の調査結果から指摘されています。

  • 住居で亡くなった42人中、2階建ての1階での犠牲者は22人。
  • 浸水深5m未満で亡くなったのは19人

この結果から、「少なくとも19人(約37%)は垂直避難を行えば助かった」と結論づけられています。

*この時は、2階に垂直避難ができたことで約2,350人以上の方が救助されています。

ただし、垂直避難は逃げ場を失う危険が高いため、最終手段となってしまう可能性があります。

 

垂直避難のデメリットとは?

そもそも、避難の目的は数分~数時間後に起こるかもしれない自然災害から命を守るための行動です。

ですが、垂直避難はあくまでも一時的に災難を逃れる場合の対処でしかありません。

先程の倉敷市での事例でもありましたが、垂直避難した人達で救助されたのは2,000人を越えていました。つまり、大きな被害であればあるほど救助には時間がかかることになります。

そもそも、茅ヶ崎市:垂直避難に対する備えを確認すると、「水が引くまでに最大1週間かかる地域もある」とあります。

つまり、長時間孤立する恐れがあります。

さらに・・・

  • 電気
  • ガス
  • 水道
  • トイレ

など、ライフラインが使えなく場合もあります。そのため、普段から2階での避難生活を意識しておく必要があります。

 

備蓄をストックしておく必要がある!?

  • 水や食料を多めにストック
  • カセットコンロなど、調理器具を容易
  • 簡易トイレを多めにストック

このように、垂直避難をした場合、1週間は建物内から出られない想定をしておく必要があります。

足立区内事業所向け水害対策ガイドブックでは、荒川の氾濫時では「水が引くまでに最悪2週間以上かかる」と指摘されています。

このように、準備もなにもなければ垂直避難は一時しのぎにすぎず長期的な避難生活を強いられた場合、取り返しがつかなくなります。

そのため、基本は早め早めの避難が重要となります。

 

最後に

特に一軒家の2階建ての2階への垂直避難は、逃げ場を失うことになりかねません。

高齢者や障害者など身体がうまく動かせない場合は、そもそも2階に避難することは難しいでしょうし、なんとか2階に避難できたとしてもさらに水深があがってくるかもしれません。

若い人なら、屋根に逃げることはできるかもしれませんが、身体が思うように動かなければそうもいきませんよね。

そもそも、家が流されてしまう危険性まであります。

もしも、倉敷市のように堤防が決壊すれば、「○階にいるから大丈夫!」とも言えなくなります。逃げ遅れた場合は、少しでも高い所を目指すことになるでしょう。

 

 

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