大きな地震が発生すると、次に心配になるのは「津波がくるかどうか」ではないでしょうか?
それでは、津波についてどれだけご存じでしょうか?
例えば、津波の前には「引き波」と呼ばれる海の水が引いていく(潮が引く)現象があると言われますが必ず当てはまるのでしょうか?
今回は、「知っているようで知らない津波の心得」ついてご紹介します。
そもそも津波はなぜ発生するの?
地震が起きると、震源付近では地面が持ち上げれたり、押し上げられたりすることは想像できると思います。
この地震が海底で発生すると、特に震源が海底下の浅い所にあれば海底から海面までの海水全体を動かし、海面も上下に変化します。
このときに引き起こされる海水の変化が、周りに波として広がっていく現象のことを「津波」といいます。
津波のなにがそんなに怖いの?
①波長が桁違い!
津波は、海底~海面までの海水全体が短時間に変動し、その変動が波として広がっていく現象です。
つまり、海面付近の海水が押し寄せてくる「波浪」とは違い、「津波」は海底地盤の上下による海水全体の動きとなるため海底~海面までの全ての海水が巨大な水の塊となって沿岸に押し寄せてきます。
→津波の波長は、数キロ~数百キロと非常に長い。
*ちなみに、海域で吹いている風によって生じる「波浪」は、波長が数メートル~数百メートル程度しかありません。
②威力が桁違い!
《押し寄せる津波》
津波の波長が数キロから~数百キロもあるということは、「勢いが衰えず連続して押し寄せる」ということです。
その上、「浅い海外付近に来ると波の高さが急激に高くなる」という特徴があります。(沿岸での津波の高さ以上に駆け上がる)
《引いていく津波》
さらに津波の怖さは、引いていく時も強い力で長時間にわたり引き続けます。
ニュースで、「ゴミが海に大量に流れ込んだ」と報道されますが津波の特徴として知っておく必要があります。
津波のエネルギー!
気象庁では、0.2m以上の津波が予想された場合は、津波注意報が発表されます。
「たったの20㎝!?」と思うかもしれませんが、先程もお伝えたように海水は「巨大な水の塊」です。
津波の高さが0.2m~0.3m程度しかなくても人は簡単に速い流れに巻き込まれる可能性があるため、すぐに海から上がり海岸から離れる必要があります。
《津波の高さによる被害》
気象庁より
津波の高さ(m) | 1 2 4 8 16 32 | |||||
木造家屋 | 部分的破壊 | 全面破壊 | ||||
石造家屋 | 持ちこたえる | 全面破壊 | ||||
鉄筋コンクリートビル | 持ちこたえる | 全面破壊 |
上の表から、木造家屋では浸水1m程度から部分破壊が始まり2mで全面破壊となります。
木造家屋でこれだけの威力があるため、人は津波に遭う前に逃げるしかありません。
もし逃げ遅れた場合は、丈夫な建物に避難しなくてはいけません。
→最近では、逃げ遅れた人の緊急避難場所として「津波避難ビル」が指定されています。
津波避難ビルについては、次回ご紹介します。
《津波の5段階予報》
津波は、気象庁から大津波警報・津波警報・津波注意報が発表されます。
予想される津波の高さ | とるべき行動 | 想定される被害 | ||
数値での発表 | 巨大地震の場合の発表 | |||
大津波警報(特別警報に位置付け) | 10m越え (10m<高さ) |
巨大 | 沿岸部や川沿いにいる人は、高台など安全な場所へ避難。
津波は繰り返し襲ってくるため、津波警報が解除されるまで安全な場所から離れない。 より高い場所へ避難! |
|
10m (5m<高さ≦10m) |
||||
5m (3m<高さ≦5m) |
||||
津波警報 | 3m (1m<高さ≦3m) |
高い |
|
|
津波注意報 | 1m (20㎝<高さ≦1m) |
(表記なし) | 海の中にいる人は、ただちに海から上がり海岸から離れる。
津波注意報が解除されるまで、海に入ったり海岸に近づいたりしない。 |
|
予想される津波の高さについて、被害との関係や予想される高さが大きいほど誤差が大きくなるため5段階(大津波警報が3段階)に集約されています。
それでは、避難するときはなにを心がければいいのでしょうか?
津波避難の基本は?
- 正しい情報を聞く・・・ラジオ・防災行政無線などで、正しい情報を確保する。
- 小さな揺れも注意・・・小さな地震でも津波が発生するかもしれません。→20㎝以上の津波は危険!
- より高い場所へ ・・・海岸から遠くではなく、より高い場所へ避難。
- 海岸・河川に近づかない・・・注意報が解除されるまで海辺や河川に近づかない。
- 車では避難しない・・・車は、30㎝の浸水で走行困難になります。渋滞に巻き込まれれば危険です。
- 安全なルートで避難・・・川縁(かわべり)・地下歩道などは避け、できるだけ安全で広い道を選ぶ。
低い場所はあっという間に冠水します。
しかも、津波は河口から浸入し河川を遡上(逆流)することがあります。
→遡上した津波が、河川堤防を越えて沿川地域に大きな被害をもたらすこともあります。
→冠水についてはこちらの記事で紹介しています。
最後に
震源が陸地に近い場合、避難が間に合わないことがあります。
そのため、基本的には「揺れたら避難」を徹底する必要があります。
地震発生後、予想される津波の高さが20㎝未満で被害の心配がない場合や、津波注意報の解除後も海面変動が継続する場合には、「津波予報」が発表されます。
さらに、2004年に発生したスマトラ沖地震の場合を例に挙げると、直前に潮が引くこともなく大きな津波が押し寄せてきました。
そのため、津波対策には「率先避難者」=率先して避難することで、周囲にも避難を促せるという考え方が主流となっています。
津波は、勢いのある水が押し寄せてくるため、深さが15㎝でも足下をすくわれる可能性があります。
特に、子どもが避難するときは注意が必要です。
津波は海沿いだけではなく、川や運河を40km以上も遡上することがあります。
「津波標識」もあるため、普段から確認して下さいね。
参考
気象庁:津波について
→https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html#tsunami_3
防府市:防災リーフレット
→https://www.city.hofu.yamaguchi.jp/soshiki/2/hazardmap.html
首相官邸:津波では、どのような災害が起こるのか
→https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/tsunami.html
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