日本最強の猛毒をもつ生物? 実は日本のいたる所に生息している!?

 

皆さんは、「日本の在来種で最も強い毒性をもつ生き物!」と聞いたらどんな生き物を想像しますか?

  • ハブ?
  • スズメバチ?
  • 蚊?

いくつか、思い浮かぶと思います。

ただ、「蚊」については、毒ではなく蚊を媒介にしたデング熱のような感染症ですが・・・

ですが、実はどれも違います。

今回は、「ほとんど知られていない日本最強の毒蜘蛛」についてご紹介します。

 

日本在来種最強の毒性!?

日本在来種最強の毒性(世界猛毒ランキング第6位)を持っていると言われるこの生き物は、ある毒蜘蛛です。

その毒蜘蛛の名前は、「カバキコマチグモ」と呼ばれています。

蜘蛛と言えば、以前紹介した外来種の「セアカコケグモが発見された!」と時々問題になっていますよね。

ですが、このカバキコマチグモは日本の在来種であり、そもそも日本の多くに分布している毒蜘蛛です。

とはいえ、日本最強の毒性を持つなら、そもそもスズメバチのように危険視されていてもおかしくないですが、多くの人が、初めて聞いた名前ではないでしょうか?

実は、毒性が強いにも関わらず、どういうわけかカバキコマチグモに噛まれて亡くなった人は、今のところ日本では存在していません。(海外では、すでに死亡例がある)

→1回に注入できる量が少ないためだとか・・・

それでは、どういった毒なのでしょうか?

 

日本在来種最強と呼ばれる毒蜘蛛の毒の特徴は?

2016年に発表された中毒研究より

そもそも、この毒性は動物実験から「神経毒(麻痺させる)」と考えられています。

 

毒液の成分は?

  • モノアミン類(ノルアドレナリン・アドレナリン・セロトニンなど)
  • ポリアミン類(スペルミン・オクトパミンなど

→また、カバキコマチグモ毒の致死活性は60℃(10分間の加熱で完全に死活する)ことが分かっています。

 

症状と治療は?

  • 激しい疼痛
  • 頭痛
  • 悪心

など、全身症状が現われることもあります。

疼痛管理には、解熱鎮痛薬は効果がないため、ステロイド外用・麻薬・非麻薬性鎮痛薬の使用や局所麻酔薬の投与の有効性が報告されています。

ただ、今回の報告ではさらに「局所温熱療法」に効果があったことが1事例として報告されています。

局所温熱療法については、農作業していた37歳の男性が革手袋の上から左母指(親指)を噛まれた事例から、以下のようにまとめられています。

75 ℃で湯煎されたヒルドパックをビニール袋に入れてからタオルで包んで,受傷部位を中心に左手から前腕遠位を挟む乾式温熱の方法をとった。

局所温熱療法は 15 分間温めて 5 分間中断する,という方法で 2 回施行した。1 回目の施行開始後から除痛効果,腫脹感やしびれ感の改善を得ることができ,2 回目の施行終了後には NRS 2/10 まで改善した。

実は、「毒の完全失活は60℃」とされていますが、より低温のデータがないため今回の事例報告があったようです。

ただし、あくまでも局所温法治療については事例1ですので、今後の事例収集による結果報告が待たれるところです。

さて、毒性の種類や症状、治療について見ていきましたが、それでは「カバキコマチグモ」とは、一体どういった蜘蛛なのでしょうか?

 

「カバキコマチグモ」の正体は?

カバキコマチグモは、体長1~2㎝程度の蜘蛛で5~8月(発生時期としては、6~9月)に咬まれることが多くなります。そして、先程の事例から分かるように、咬まれることで毒の影響を受けることになります。

咬傷被害は、6月~7月に多発!

  • 「カバキ(樺黄)」:茶色がかった黄色(茶黄色)という意味です。
  • 「コマチ」    :小野小町(綺麗・美しい)という意味。

つまり、「茶黄色い美しいクモ」という意味になります。「きれいな花には棘がある」なんて言われますが、カバキコマチグモには棘どころか致死量には満たない猛毒があります・・・

そして、網を張って獲物を待ち構えるのではなく、歩き回って餌を狩る蜘蛛でもあります。

*毒を注入する仕組みは、黒っぽい牙状の上あごが毒腺とつながっていて、咬むと同時に毒を注入して獲物を麻痺させる。

そして、その巣はかなり特徴的ですので一目で分かると思います。

 

特徴的な「巣」は一目で分かる?

端午の節句に「ちまき」を食べたことがあると思いますが、カバキコマチグモの巣は、イネ科の葉をこの「ちまき状に巻いて巣を作る」ことで、メスはそこに産卵します。

子どもの頃に昆虫採集をしたことがある人なら、巻かれた葉を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

かくいう私も、そんな葉を見つけて開いたら蜘蛛の巣が・・・なんてことを何度か体験していますが運良く咬まれることはありませんでした。危険ですので止めて下さいね・・・

カバキコマチグモ(1)                                                             出典:世田谷区

上記のように、ちまき状に丸まっていて、開いたらカバキコマチグモがいる可能性が高いです。

産卵後、外敵から子どもを守るために母グモは攻撃になっているため特に注意!

それでは、特にどういったことに気をつければいいのでしょうか?

 

注意点は?

主に、ススキの生息する草原に生息していて、例えば草刈りや農作業の際に咬まれることがあります。ただし、家の中に入ってくることがあります。

それも、夜間就寝中に・・・

カバキコマチグモは、平地・山地を問わず、草原・河原・水田・林緑など、日本中の至る所に生息している。

 

家屋に侵入する理由は?

先程もお伝えしたように、カバキコマチグモは網を張らずに歩き回ることで昆虫などを捕食していきます。

ただ、歩き回る理由はもう一つあります。

それが、「交尾行動」です。

つまり、雌グモを求めて歩き回っている雄グモが家屋内に侵入し就寝中に無意識に手で払ったり、靴の中にいたことに気付かずに誤って触れてしまい被害にあいます。

そのため、山間部や造成地などでは住宅がススキなどイネ科の植物と接しないように住宅周辺の整備が必要になります。

また、網戸を設置してクモの侵入を防ぐ必要があります。

ただし、こんな事例が報告されています。

 

購入した市販の「ユリ」が原因で被害に!?

2007年:63歳の女性(高知県)

自身が開設している美容院にユリを飾ろうと、美容室農産物販売所で購入したユリの葉がよく見るとくるまっており、中にクモの巣を発見。

その部分の枝を切り取り、手に持っていたところ左手の平に激痛があり病院を受診し入院した事例です。

このように、花を買ったときに自分で巣を持ち帰ってしまう可能性が示唆された事例でもあります。ただ、これはもう一つの危険性も示しています。

 

「巣」が危険な理由は?

もちろん、産卵後巣を守る母グモに咬まれる可能性がありますがそれだけではありません。

そもそも、カバキコマチグモの巣は2室(「卵塊」と「母グモが卵をかえるのを待つ部屋」)に別れているのですが、この卵は約10日で孵化します。

そして、子グモは卵のう(卵が入っている袋)から出て近くに密集。

  • 数日後、1回目の脱皮後に子グモは母グモを捕食。
  • その後、子グモは分散し単独生活。

美容室なので、同じ花を1週間以上も飾ることはないとは思いますが、もしも今回のコロナのように一定期間、店を閉めるような状態が突然発生した場合、放置する可能性は0ではありません。

→卵は100前後を産むため、孵化すればかなりの数になります。

と言うことで、もしも自宅内で見つけたらすぐに処分しないと大変なことになるでしょう・・・

 

最後に

カバキコマチグモは、岩手県によれば沖縄件を除いて日本に当たり前に存在している在来種ですが、その毒性は世界トップレベルです。

とはいえ、これまで日本で死者は1人も出ていません。

ただ、基本的には軽症ですみますが3日~10日程痛みが続くこともあります。(「熱熱」や「悪心」といった全身症状はまれ)

もしも、咬まれたら医用機関に受診するようにして下さいね。

ちなみに、カバキコマチグモを素手で触らないように、草刈りなどは軍手をすることが推奨されていますが、先程の事例にあったように、革手袋の上からでも咬まれることがあります。

まずは、カバキコマチグモの巣は見つけても直接触れないようにすることが1つの対策になるでしょう。子どもと、公園などに行くときは子どもが触らないようにご注意下さい。


参考

山梨県:カバキコマチグモ
https://www.pref.yamanashi.jp.c.aao.hpcn.transer-cn.com/eikanken/documents/kabakikomachigumo.pdf

国土交通省 中国地方整備局:カバキコマチグモ
http://www.cgr.mlit.go.jp/ootagawa/Bio/terrest/index138.htm

 

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