天然毒素とジャガイモ! 下処理と保存方法を間違えると・・・

 

皆さんは、食べ方を間違えるとジャガイモでも食中毒になることはご存じかと思います。

と言うのも、ジャガイモには「天然毒素」が存在しているためです。

今回は、「なめてはいけないジャガイモの食中毒」についてご紹介します。

 

そもそも、なぜジャガイモで食中毒になるの?

冒頭で、「天然毒素」とお伝えしましたが自然界にはさまざまな天然毒素が存在しています。

ちなみに、「農薬や添加物=身体に悪い」というイメージを持つ方がいらっしゃると思います。ですが、こういったものは健康被害が起こらないように決められたルールで使用(厳しく制限)されています。

それでは、「天然・自然=安全」というイメージがありませんか?

 

今回紹介するジャガイモ以外にも、ギョウジャニンニクイヌサフランを間違えて食べてしまい、食中毒症状を訴えて亡くなられたニュースも記憶に新しいかと思います。

つまり、天然毒素は簡単に人の命を脅かします。

そのため、知らなかったり中途半端な知識で対応すると、食中毒に陥り命を落とすことさえあります。

さて、そんな天然毒素はジャガイモも例外ではありません。

ジャガイモには、「ソラニン」「チャコニン」という天然毒素が多く含まれています。

 

どんなジャガイモが危険なの?

昔から、「ジャガイモの芽は取り除く!」ということはほとんどの方が知ってますよね・・・

そもそも、物によってはジャガイモに毒があることは、あらため言わなくても知っている方が多いと思います。特に、学校の家庭科の時間に習うのではないでしょうか。

ところが、ジャガイモによる食中毒はその学校で、相次いで発生しているようです。それは、中途半端な知識で調理をしてしまっているためだと考えられます。

 

ジャガイモを調理するときは・・・

  1. 「ジャガイモの芽を取り除く」だけでは不十分→根元まで完全に取り除く必要があります。
  2. 「ジャガイモの緑色部分は、ある程度取り除く」では不十分→緑色の部分は、全て取り除く。
  3. 未成熟で小さいジャガイモは天然毒素が濃縮されている→市販されている物は小ぶりのジャガイモはあらかじめ除かれている!

つまり、ジャガイモの芽・皮・緑色になった部分は確実に取り除き、市販以外の物はさらに大きさにも注意が必要です。

さて、ここまでは多くの人が知っていることではないでしょうか?

 

市販品であっても取り扱いを間違えると食中毒になる!

天然毒素は・・・

①イモに光(日光・蛍光灯)が当たる。

②イモは、大きく熟してから収穫する。

③イモを傷つける。

といったことをすると、増えていきます。つまり、暗くて涼しい場所(野菜室など)に保管する必要があります。

「苦み」や「えぐみ」を感じれば食べると危険!

 

ジャガイモの食中毒って結局どうなるの?

ちなみに、原因施設はほとんどが学校なんですが毎年のように病院へ運ばれています。

農林水産省によると・・・

1989年~2015年までの間に発生した事例:合計30件

90%(27件)が学校で発生しています。

2013年~2017年までのジャガイモを食べたことで、発生した食中毒件数は図1のようになっています。

 

図1《ジャガイモによる食中毒》

件数を見れば、1年で2件~3件程度ですが患者数が2016年では患者数が100件を越えています。学校で発生しているため、1回でも発生すればとんでもないことになります。

子どもへの影響もそうですが、学校への影響もありますよね・・・

さて、そんなジャガイモで食中毒が発生している原因は、

  1. 不適切な栽培
  2. 保管
  3. 食べ方

これが原因なようです・・・

*図1にある喫食者数とは、食べた人数です。患者数と比較すると、必ずしも発症する分けではないことがよく分かると思います。


しかも、天然毒素であるソラニンやチャコニンは「茹で」「煮る」「揚げ」「焼く」どんな調理方法をしても毒素が残ってしまいます。

もっとも効果のある210℃で5分間揚げる方法でも、ソラニンやチャコニンはそれぞれ6割程残っています。つまり、熱に強い毒素であるため下処理で毒をできる限り取り除く必要があります。

 

目安

  • 体重が50㎏の大人:「ソラニン」や「チャコニン」を50㎎摂取すると、症状がでる可能性がある。
  • 子ども      :15.6~40㎎を摂取すると、症状がでる可能性がある。

多いような、少ないような・・・

 

これだけでは、結局どれくらい食べたら中毒症がでるか分からないですよね・・・

通常のジャガイモの可食部分には、100g当たり平均7.5㎎のソラニンやチャコニンが含まれています。

さらに、

  1. 3~8割は皮の周辺
  2. 緑色になったところは、100g当たり100㎎以上のソラニンやチャコニンが含まれていると言われている。

つまり、緑色のジャガイモの場合は1個食べきる前に食中毒症状が現れることになります。

もしも、子ども達が下処理が不十分小型のジャガイモ友達と競争して食べるようなことがあればゾッとします。

 

なぜゾッとすると思いますか?

 

ジャガイモを不十分な下処理のまま食べると、こんな症状が現れます。

  • 嘔吐
  • 腹痛
  • めまい
  • 動悸
  • 耳鳴り
  • 意識障害
  • けいれん
  • 呼吸困難

などが起こり、ひどい場合は死にいたることもあります。

しかも、こういった症状は早ければ数分で出始めますが、遅いときは数日後に症状がでることもあります。

料理にジャガイモを1個だけ使うことって基本的にないですよね・・・

 

最後に

ジャガイモは、身近にあるものでとても使いやすい食材の1つです。

家庭菜園でもしていなければ、多くの方が基本的に市販の物を購入されていると思います。保存方法をしっかりすれば、常温でも新聞紙でくるんで2ヶ月もつとも言われます。

ですが、基本的にはすぐに食べた方がいいでしょう。

*基本的に、冷蔵庫の「冷蔵」に入れてしまうと痛みやすいため「野菜室」が推奨されます。


「冷蔵」でジャガイモを保存すると・・・

→ジャガイモを冷蔵庫で保存すると糖の濃度が高くなり、「揚げ・炒め・焼く」とアクリルアミドという有害物質が増える可能性がある。
「煮物・蒸し物」など、水を使った料理に使えばアクリルアミドもでにくく甘味もましてむしろ美味しくなる。

特に、子どもは影響を受けやすいのでご注意下さい。ジャガイモの下処理は、めんどくさがらずに確実に行って下さいね!

学校の調理実習の前に、教えた方がいいかもしれません・・・


参考

農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/potato.html

食品安全員会
https://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku.data/jagaimo.pdf

 

 

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