令和から新しく始まるお天気情報「大雨警戒レベル」!  避難のタイミングは?

 

防災対策は日々進歩し、私達を助けてくれるツールはどんどん増えています。

ですが、避難となると「なかなか実行に移せない」「実行に移したが遅すぎて河川の氾濫や土砂災害に巻き込まれる」といったことが、残念ながら現実的に発生しています。

そんな現状をふまえて、避難を開始するための新しい指標ができました。

今回は、国の中央防災会議を基に作られた新しい警戒レベル「大雨警戒レベル」についてご紹介します。

 

「大雨警戒レベル」ってそもそもなに?

内閣府が実施している中央防災会議 防災対策実行会議「平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループ」がおこなわれた結果から、「避難勧告等に関するガイドライン」が改訂されました。

つまり、西日本豪雨では避難勧告などの情報が理解されず、住民が逃げ遅れた反省を生かす形で、避難タイミングをはっきりと示すために作られました。

「避難タイミング特化型」の情報ということになります。

*テレビなどで、大雨や洪水時に出る気象庁の防災気象情報や市町村の避難情報に加えて、令和元年5月29日から順次、「大雨警戒レベル」が発表されることになります。

 

危険度分布が気象庁の1つの重大な指標になっている!

大雨警戒レベルを知ることで、避難するタイミングが分かります。また、場所によっては大雨土砂災害はセットで考える必要があります。

特に、危険度分布は総合的な判断ができるツールとして気象庁も中心に活用しています。

危険度分布を活用することで、自分がいる場所の危険度を確認することが必須になります。

危険度分布をみることで・・・

  • 土砂
  • 浸水
  • 洪水

といった、それぞれの降った雨が「どう流れ」・「どう溜まって」「どう染み込んで」その結果・・・

どういった災害になるのか?」を、雨・地面・地表面・川の様子などの地形的な要因も含めて総合的に判断することができます。つまり、自分や家族がいる場所の危険度を知ることができるツールです。

危険度分布についてはこちらの気象庁のHPで確認することができます。

気象庁:洪水警報の危険度分布


ただし、そもそも「危険度分布」がまだ私達に浸透していないことや、これだけでは避難につながらないことなどが問題点としてありました。

そのため、避難のタイミングが一目で分かる方法として今回紹介する、「大雨警戒レベル」が新たに加わりました。

それでは、大雨警戒レベルから私達はどうやって避難のタイミングをはかるのでしょうか?

 

大雨警戒レベルってなに?

大雨警戒レベルは、1~5まで区分されています。レベル別の「私達がおこなわないといけない避難行動」「避難情報」は下表でまとめられています。

 

警戒レベルの一覧

《避難情報等》

警戒レベル 避難行動等 避難情報等
警戒レベル5 既に災害が発生している状況。(命を守るための最善の行動をとる。) 災害発生情報(災害が実際に発生していることを把握した場合、可能な範囲で発令)
警戒レベル4 速やかに避難先へ避難
(公的な避難場所までの移動が危険と思われる場合は、近くの安全な場所や、自宅内のより安全な場所に避難。)
避難勧告
避難指示(緊急)
(地域の状況に応じて、緊急的又は重ねて避難を促す場合等に発令)
警戒レベル3 避難に時間を要する人(ご高齢の方・障害のある方・乳幼児等)とその支援者は避難開始。
その他の人は、避難準備。
避難準備・高齢者等避難開始
警戒レベル2 避難に備え、ハザードマップ等により、自らの避難行動を確認。 洪水注意報
大雨注意報等
警戒レベル1 災害への心構え。 早期注意情報

今後、気象庁で発表される大雨警戒レベルには、それぞれこういった意味があります。

それでは、私達が行動する際の判断に参考になる情報はどんなものになるのでしょうか?

 

警戒レベル1~5

◎警戒レベル1◎

行動を促す情報→「警報級の可能性」がある場合、「中」or「高」の2段階で発表されます。

 

◎警戒レベル2◎

《洪水に関する情報》

  • 水位情報がある場合・・・氾濫注意情報
  • 水位情報がない場合・・・洪水警報の危険度分布(注意)

 

《土砂災害に関する情報》

  • 土砂災害警戒判定メッシュ情報〔大雨警報(土砂災害)の危険度分布〕(注意)

 

◎警戒レベル3◎

《洪水に関する情報》

  • 水位情報がある場合・・・氾濫警戒情報
  • 水位情報がない場合・・・洪水警報・洪水警報の危険度分布(警戒)

 

《土砂災害に関する情報》

  • 大雨警報(土砂災害)
  • 土砂災害警戒判定メッシュ情報〔大雨警報(土砂災害)の危険度分布〕(警戒)

 

◎警戒レベル4◎

【避難勧告の場合】

→住民がとるべき行動は、速やかに立ち退き避難等。

《洪水に関する情報》

  • 水位情報がある場合・・・氾濫危険情報
  • 水位情報がない場合・・・洪水警報の危険度分布(非常に危険)

 

《土砂災害に関する情報》

  • 土砂災害警戒情報
  • 土砂災害警戒判定メッシュ情報〔大雨警報(土砂災害)の危険度分布〕(非常に危険)

 

【避難指示(緊急)の場合】

→住民がとるべき行動は、屋内での待避等の安全確保措置等、直ちに命を守る行動等。

《洪水に関する情報》

  • 水位情報がない場合・・・洪水警報の危険度分布(非常に危険)

 

《土砂災害に関する情報》

  • 土砂災害警戒判定メッシュ情報〔大雨警報(土砂災害)の危険度分布〕(非常に危険)

 

◎警戒レベル5◎

《洪水に関する情報》

  • 水位情報がある場合・・・氾濫発生情報

このように、さまざまな情報が発表されます。

ちなみに、どの警戒レベルだったとしても共通して発表される情報があります。

 

◎警戒レベル1~5で共通◎

《気象に関する情報》

  • 水位情報
  • 防災気象情報(台風情報等)
  • 雨量情報

など。これらは、共通して発表されていきます。

ただ、情報が氾濫しすぎていまいち分かりにくいと思うので、大雨警戒レベルの簡単な見方についてご紹介します。

 

注意するべき大雨警戒レベル!

大雨警戒レベルは、1~5までありますが特に私達が注意すべきは「大雨警戒レベル3」「大雨警戒レベル4」になります。

◎大雨警戒レベル3◎

高齢者や障害者、子どもなどすぐに逃げられない人は避難開始する必要があります。

 

◎大雨警戒レベル4◎

全ての人が避難を完了している状態です。

 

◎大雨警戒レベル5◎

避難するには、すでに手遅れの状況です。建物の2回へ避難するなど、最善の行動を各自でおこなうことになります・・・

つまり、「大雨警戒レベル3・4の間に避難を完了してね!」というとても分かりやすい指標です。

それでは防災行政無線では、実際にどのように伝えられるのでしょうか?

 

私達には、どんなふうに伝えられるの?

伝達分の例は、「大雨警戒レベル3・4(避難勧告)・4(避難指示)・5」の4種類があります。

今回は、大雨警戒レベル3と5について「避難勧告等に関するガイドライン」からご紹介します。

 

大雨警戒レベル3の場合

  1. 緊急放送。緊急放送。警戒レベル3高齢者等避難開始
  2. こちらは○○市です。
  3. ○○地区に洪水に関する警戒レベル3。避難準備・高齢者等避難開始を発令しました。
  4. ○○川が氾濫するおそれのある水位に近づいています。
  5. お年寄りの方など避難に時間のかかる方は、避難を開始して下さい。
  6. それ以外の方については、避難の準備を整え、気象情報に注意して、危険だと思ったら早めに避難して下さい。
  7. 特に、川沿いにお住まいの方(急激に水位が上昇する等、早めの避難が必要となる地区がある場合に言及)については避難して下さい。
  8. 避難場所への避難が困難な場合は、近くの安全な場所に避難して下さい。

 

大雨警戒レベル5の場合

  1. 緊急方法。緊急放送。災害発生。警戒レベル5命を守る行動をとって下さい
  2. こちらは○○市です。
  3. ○○地区に洪水に関する警戒レベル5。災害発生情報を発令しました。
  4. ○○地区で堤防から水があふれだしました。現在、浸水により○○道は通行できない状況です。○○地区を避難中の方は大至急、近くの安全な場所に緊急に避難するか、屋内の安全な場所に避難して下さい。

このような放送が、実際におこなわれます。

つまり・・・

  • 「警戒レベル」と「とるべき行動」を端的に伝える。
  • 発令情報を伝える。
  • 災害が切迫していることを伝える。
  • とるべき行動を伝える。

といった情報を、私達に伝えてくれます。

 

最後に

そもそも警戒レベルは、「洪水・土砂災害・高潮・内水氾濫」に用いられ、津波はレベル区分になじまないため対象外です。

また・・・

  • 警戒レベル1・2→気象庁が発表。
  • 警戒レベル3・4・5→市町村が発令。

と役割が異なります。

つまり、避難勧告などは市町村の判断で発令されるため、気象庁が出す警戒レベル相当情報と一致しない場合があります。

そのため、「注意報や警報が出たら、住む場所の危険度分布を確認する必要もある」ことが指摘されています。


ただ、大雨警戒レベル3になれば避難を準備・開始することが基本になります。特に、小さい子どもを育てている子育て世代の私達は早め早めの準備と避難が要求されます。

新しいツールを少しでも早く手に入れて、今回の大雨警戒レベルのように中身を知識としてもっておくことで、いざというときに受け取った情報を、すぐに理解することができます。

情報は正しく受け取って、フル活用できるようにしていきたいですね。


参考

内閣府(防災担当)・消防庁
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/h30_hinankankoku_guideline/pdf/keikai_level_chirashi.pdf

気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/H30tsutaekata/H30_tsutaekata_kentoukai.html

 

 

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