夏休みになると、海水浴場が人でごった返していきます。
以前、フロート(浮き輪)による死亡事故が海で発生していることをお伝えしましたが、今回紹介する話しはこのことにも関係していきます。
今回は、「知らないと命に関わる離岸流の恐怖!」についてご紹介します。
*子どもとの海水浴でこのことを知っていると、少なくとも「遊泳禁止の場所で泳ごう!」という発想にはならなくなります。
離岸流ってそんなに怖いの?
離岸流(りがんりゅう)というのは、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れのことです。→まさに、「岸から離れる流れ」という意味です。
問題は、この流れに巻き込まれると抜け出せなくなり、沖へどんどん流されていってしまいます。つまり、体力のない子どもが流されれば命がありません。
それでは、離岸流の特徴について見ていきましょう。
オリンピック選手と同じスピードで流される!
離岸流の早さは、1.5~2m/秒(1秒間に約1.5~2m進む)
これが、オリンピック選手と同じ早さだといわれる所以です。
そんな勢いで流されると、どんなに水の勢いで逆らって泳ごうとしても流される一方で、体力がなくなっていくだけの状態になります。
離岸流で遠くまで流されることも!?
離岸流の長さは、10m~100m程度です。
例えば、100mもある離岸流に1秒で2mも進む流れに引っかかった場合は、約50秒かかります。
→流れに逆らって泳いでしまい、体力がなくなった状態で岸までの100mを泳ぎきることができるでしょうか?
→もし、離岸流につかまったら、いつまで経っても岸に戻れない状態になります。
*ちなみに、離岸流は最大300mにもなるため、流される離岸流によってどこまで流されるかは分かりません。
離岸流の幅は意外と短い!
離岸流の長さは最大300mもありますが、幅で見ると10~30m程度しかありません。つまり「突然、離岸流につかまった!」なんてことになります。
→みんなが遊んでいるところは大丈夫でも、少し離れただけで一気に流されることもあります。
まるで、踏んでいないところが危険な地雷原のようですね・・・
離岸流は神出鬼没!
- 1度発生すると1ヶ月近く発生し続ける。
- 発生してから2時間後には位置を変えることもある。
このように、とても気まぐれな性質があります。そのため、何日か連続でいく場合は昨日遊んだ場所が安全とは限らないため注意が必要です。
*砂浜の整地や入れ替えで流れや発生状況が変わることもあります。
なぜ離岸流は発生してしまうの?
ひと言でいえば、水の流れ(循環)何ですが・・・
離岸流が発生しているということは、逆に沖合から海岸に向かう流れ(向岸流:こうがんりゅう)もあります。
そして、波打ちぎわのように岸に沿って流れる流れがあります。
さて、海では風が吹いていますよね・・・
海岸に向かって強い風が吹くと海の水は当然、波によって沖から海岸に打ち寄せられていきます。ですが、貯蔵庫でもない限り、どんどん海岸に水が溜まっていく分けはないですよね。
つまり、強い風で海岸に集まった水の逃げ道としてできた水の流れが、「離岸流」ということができます。
発生場所は?
水が流れて、出ていく先を想像すると分かりやすいかもしれません。
- 海岸が外洋に面しているところ。
- 遠浅で、海外線が長いところ。
- 近くに人工物があるところ。
*障害物により水の流れが変わっているところは要注意です。
とはいえ、こうなると「安全に泳げる場所がない!」なんてことになりますよね・・・
先程もお伝えしたように、離岸流の幅は大きくても30m程しかありません。そこだけ流れが違うため、視認でもいくつか見分けるポイントがあります。
離岸流を見分けるポイント!
- 海岸の地形が凹んでいる
- 波の形が周りと違う
- ゴミが集まっている
- 海の表面が周りに比べてざわついている
- 突堤などの構造物に沿って沖に向かう流れが発生することもある。
一番分かりやすいのは、ゴミが集まっている所ではないでしょうか?
また、建造物があればつかめると思って突堤(陸から海に向かって長く突き出た堤防・防波堤)から入ると、一気に流されることもあるので注意が必要です。
ちなみに、プロのサーファーは離岸流に乗って沖に出たりするのでサーファーが集まっている場所も離岸流が発生しているポイントと言えるかも。(そもそも、サーファーが初心者かどうかが分からないような・・・)
*一面、白波が立っているのに一部だけ波がないところがある場合は、そこが離岸流です。これほど分かりやすければ迷わずにすむのですが、実際は分かりにくいことが多いようです。
→分かりやすい離岸流の写真はこちらのHP:WAVALで紹介されています。
離岸流から脱出するには?
先程、説明したように離岸流は抵抗しても流され続けることになります。ですが、幅はせいぜい30mほどしかありません。
- 体力に自信があれば、流されながら岸と並行に泳げば離岸流を抜けることができます。
- 体力に自信がなければ、体力温存のために流れが止まる所まで浮くことに専念し、離岸流を離れてから岸に戻ります。
間違っても、離岸流に向かって泳いではいけません!
*可能であれば、助けを呼ぶ!
→離岸流の近くには、向岸流があることが多いためその流れに乗って岸まで泳ぐ。
離岸流について、少しでも怖さが伝われば今年の海水浴には生かせるのではないでしょうか?
子どもと海に行くときは特にご注意下さい。
最後に
離岸流は、見分けが難しいことも多く、人がいないところや人工物があるところは特に注意が必要です。
そもそも遊泳禁止になっている所は、この離岸流が原因の場合もあります。
単純に「サメが出た!」なんて場合もあるようですが・・・
ルールーを守って、楽しく海で安全に遊んで下さいね!
参考
JCG(海上保安庁)
→https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN9/ripcurrent/ripcurrent.htm
安全なマリンレジャーのための情報
→https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN3/marine/safe-info.htm
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