●この記事では、東大が実施した「新型コロナウイルスとマスクの効果」について実験された結果を紹介しています。
あなたは外出時、マスクを着用されているでしょうか?
そもそもマスクをしていないと、周りの目が気になりますよね・・・
ところで、そんなマスクには本当に効果があるのでしょか?
今回は、東京大学(東京大学医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野の河岡義裕教授らの研究グループ)が発表した「新型コロナウイルとマスクの関係性」についてご紹介します。
どんな実験をしたの?
東京大学は、2020年10月22日に「新型コロナウイルスの空気伝播に対するマスクの防御効果 」について発表しました。
この実験では、実際に新型コロナウイルスを利用してマスクの効果が証明されました。
「吐き出す側」と「吸い込む側」
マネキン2体を使った実験で、「ウイルスを吐き出す側(新型コロナウイルスに感染している人)」と「ウイルスを吸い込む側(感染していない人)」を想定。
- 対面距離
- マスクの種類
これらによって、新型コロナウイルスの吸い込み量に変化があるのかについて実験されました。
1.対面距離
対面距離を保つことで、ウイルスの吸い込み量は以下のように変化しました。
- 25㎝・・・100%(基準値)
- 50㎝・・・38~45%
- 100㎝・・・23~31%
このように、マスクをしていなくても一定の距離を保つことで、100㎝離れれば最大8割程度は減少することが実験で分かりました。
ただし、普通の呼吸をしている状態でのウイルスを吐き出している量で実験されているため、「くしゃみ」や「咳」など、条件が違えばウイルスの吸い込み量が変わってくることはいうまでもありません。
それでは、マスクを装着した場合の効果はどうなったのでしょうか?
2.マスクの効果
今回の実験では、50㎝離れた状況で「布マスク」・「外科用マスク」・「N95マスク」・「N95マスク(FITした状態)」の3種類のマスクが使われました。
50㎝離れた場所でマスクをしていない状態を100%として、以下のような結果になりました。
「吸い込む側」がマスクを着用した場合のウイルスの吸い込み量
- 布マスク :63~83%
- 外科用マスク :50~53%
- N95マスク :14~43%
- N95マスク(fit):10~21%
多くの人が使っている「布マスク」は、最大4割程度しかウイルスの吸い込みを防いでいないことが分かりました。
また、N95マスクであっても、しっかり装着しなければ効果は半減していることが見てとれます。
ただ、そもそもマスクは「ウイルスの吸収を防ぐための物ではなく、外部に拡散しないための物」ということを知っている人からすれば、それほど驚く結果ではないのではないでしょうか?
それでは、肝心のすでに感染している人がマスクを装着することで外部への拡散は防げたのでしょうか?
吐き出す側がマスクをした場合のウイルスの拡散防止効果
- 布マスク :24~43%
- 外科用マスク :27~42%
- N95マスク :5~4%
- N95マスク(fit):0~0.3%
どのマスクを使っても、吐き出す側(感染した人)がマスクをした方が、吸い込む側がマスクをするよりも、約2倍の効果があることが証明されました。
N95マスクにいたっては、フィットしていない場合でも5%しか拡散しておらず、しっかりフィットして装着すればほぼ完璧に拡散を防ぐことができていました。
このように、新型コロナウイルスも感染した人がマスクをすることに効果があることが証明されました。
どちらにしても、マスクだけでは新型コロナウイルスの感染を100%防ぐことは難しいですが、感染確率を低くできることが分かった結果となっています。
最後に
これまで、マスクの有効性についてははっきりしたことが分かりませんでした。
ですが、今回の東大が実施した研究は世界初の新型コロナウイルスを使用した実験としても、注目を浴びています。
ただ、注意点としてはマスクをしても目からウイルスが体内へ侵入することもありますし、衣類や手などに付着しているウイルスがマスクを外した時に口などに触れてしまえば感染する可能性もあります。
あくまでも、正しくマスクを装着している間は口や鼻からの新型コロナウイルスの侵入を軽減することができること。
そして、感染している人がマスクをしないと効果が半減することが分かりました。
マスクに対する過度な信頼はよくありませんが、ある程度の防止効果は認められました。
そもそも、最近では外出している多くの人がマスクをしているため、「吸い込む側」・「吐き出す側」の両方がマスクをしている状態です。
現実に即した実験をすることで、今後は新型コロナウイルスの対策強化が効率よく進んでいくかもしれませんね。
次回は、「マスク着用がなければタクシーの乗車拒否が可能に?」についてご紹介します。
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