黄砂が飛来!危険な症状とその予防法とは?

 

みなさんは、「大気汚染」と聞いてなにを思い浮かべますか?

最近では、PM2.5という言葉をよく聞きますがそれ以前に有名になった「黄砂」をご存じの方も多いと思います。

ニュースなどでは、PM2.5の方がよく取り沙汰されているような印象がありませんか?

それでは、黄砂やPM2.5とはそもそも何かご存じでしょうか?

「飛来量が多い日は、子どもを外に出さない方がいいの?」と漠然とした不安がありませんか?

そこで、今回は「黄砂の危険性」についてご紹介します。

*PM2.5は、次回ご紹介します。

 

黄砂ってそもそもなに?

「黄砂は、中国の砂が飛来してくる!」と聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。

もう少し詳しく伝えると、中国大陸の内陸部にある「タクラマカン砂漠」・「ゴビ砂漠」・「黄土高原」といった、乾燥地域などの土壌・鉱物粒子が風により、数千mの高度にまで巻き上げられてしまいます。

そして、その砂が偏西風によって日本に飛来してきます。

そもそも黄砂は、2002年3月までほとんど観測されなかった札幌にまで飛来したことで社会問題化しました。(黄砂現象自体は、太古の時代から春先に見られる気象現象の1つで自然災害でもあります)

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ここで気になるのは、黄砂の中身(土壌や鉱物粒子)ではないでしょうか?

 

黄砂は危険!?

そもそも、問題がなければニュースに取り沙汰されることはないですが・・・

黄砂(黄砂粒子)の中身

  • 造岩鉱物(石英・長石など)
  • 粘土鉱物(雲母・カリオナイト・緑泥石など)
  • 砂漠にはないはずの大気汚染物質(アンモニウムイオン・硫酸イオン・硝酸イオンなど)

このように黄砂は砂漠などの砂だけではなく、そもそも大気汚染物質も含まれています。

*ちなみに、日本に黄砂が飛来する場合はその濃度が低くなるため、洗濯物や車の汚れに対する注意喚起に留まることが多いです。

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ですが、環境省が人体への影響についての研究結果を報告しています。

 

黄砂を吸入するとどんなことが起こるの?

個人の生活レベルでいえば、「ベランダに干した洗濯物が黄砂で黄色くなった・・・」とか、「車が黄砂でジャリジャリになった・・・」なんてことがあるかもしれません。

洗濯物は洗い直す(部屋干し推奨)必要があるし、車には傷がつくことになり、まさに踏んだり蹴ったりです。ですが、これらはまだまだカワイイレベルの話しです。

 

人体への影響

❶アレルギー症状

目・鼻・皮膚などのアレルギー症状との関連が報告されています。

  • 目の痒み
  • 結膜炎
  • 鼻水
  • くしゃみ

といった症状があります。

→さらに「黄砂の濃度が高い日」や、「スギ花粉症の飛散」と「黄砂の飛来」が重なるとアレルギー症状を発症する人が増加します。

 

➋呼吸器疾患

  • 気管支喘息
  • 気管支炎
  • 肺炎

といった呼吸器の症状を引き起こしたり、悪化させたりといったことが起こっています。

→特に、子どもが気管支喘息の救急受診や入院が増加しています。

 

❸循環器疾患

心筋梗塞の発症やそれによる入院患者の増加がみられます。

→脳梗塞による入院との関連も報告されています。

 

黄砂への予防は?

黄砂が飛来している日は・・・

❶外出を控える。

難しいとは思いますが、そもそも外出を控えることで黄砂の吸入量を減らすことができます。

 

➋屋外での運動を減らす

マラソン大会のような長時間、屋外での激しい運動を避ける。

 

❸マスクの着用

一般用のマスクよりも、医療用や産業用のマスクの方が微粒子の吸入防止機能が高くなります。ただし、医療用や産業用のマスクは、息苦しさのため長時間の着用は向きません。

 

❹窓の開閉や換気は最小限

→黄砂を吸入しないためにも、部屋に黄砂をできる限り入れないようにする必要があります。空気清浄機などの活用が有効ですが、機能は千差万別なため効果のある物を使う必要があります。

呼吸器や循環器の疾患がある人は特に注意が必要になります。

ただし、黄砂がいつ飛来するか知らないと対策のしようもありません。基本的には、毎日の気象情報のチェックが必須となります。

LoggaWiggler / Pixabay

 

それでは、黄砂はどの季節に飛来してくるのでしょうか?

先程、「黄砂は太古から春先に起こる自然現象」だとお伝えしました。それでは、毎年どれくらい黄砂は観測されているのでしょうか?

気象庁の観測データからご紹介します。

 

黄砂の飛来回数は?

2009年~2018年までの、月別の黄砂が日本に飛来した日数は図1になります。

【図1 月別の黄砂観測日数】

図1を見ると・・・

  1. 7~9月(夏場)は黄砂が観測されていません。(1967年からの観測データを確認しても一度もこの時期の飛来なし)
  2. 3月~5月に飛来することが多い印象ですが、年によっては12月などの寒い季節にも飛来することがあり注意が必要です。
  3. 例えば、2017年は年間を通して5月の3日間しか飛来していませんが、2018年は年間で11日飛来しています。その年によって、黄砂の規模や時期が大きく異なります。

*図1の黄砂観測日数とは、全国にある気象官署で1ヶ所でも黄砂を確認すれば1日とカウントされます。

現在の黄砂の飛来状況が知りたい場合は、こちらの環境省のHPから確認することができます。

黄砂飛来情報

 

最後に

最近は、PM2.5が大きく取り上げられますが決して黄砂は過去のものではありません。

大気汚染は知らず知らずに吸入することで、様々な異常が身体に表れるようになります。特に、小さい子どもは外出しないと大変ですが黄砂などが発表された日は、外出はなるべく控えた方がいいでしょう。

外出時の天気予報はチェックして下さいね!

ちなみに「PM2.5」とは、2.5μm以下の粉塵の総称です。つまり、黄砂は様々な粉塵が混ざっていますが、黄砂の中に含まれる2.5μm以下の粉塵は、「PM2.5」となります。

→「黄砂の中にもPM2.5が含まれている」と考えると分かりやすいかもしれません。

なぜ、2.5μm以下の粉塵が区別(特に危険視)されているかについては次回ご紹介します。


参考

気象庁
https://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/kosafcst-c.html

環境省
http://www.env.go.jp/chemi/mat01_1/105328_1.pdf

 

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