この記事では、レンゲツツジの中毒性と事故事例についてお伝えしています。
以前にも、ジャガイモなど植物の毒性についてご紹介しました。
ところで、あなたは幼稚園児のときなどに花の蜜を吸ったことはありませんか?
そして、その「花の蜜」はツツジではありませんでしたか?
今回は、「ツツジの蜜の危険性」についてお伝えします。
日本産で毒性があるツツジは1種類のみ!
誤解のないように、最初にお伝えしておかないといけないことは、そもそも日本産のツツジで毒性があるのは「レンゲツツジ」だけということです。
東京都保健福祉局によれば・・・
1メートルから2メートル位になる落葉低木で、高原などに自生しますが、園芸樹としても植えられます。春、葉がでた後、赤色や黄色などのロート状鐘形の花が咲きます。
とあります。
注意点としては、「園芸樹として植えられる」という点です。
つまり、高原や草原などに自生しているだけでなく、私達の周囲にも植えられている可能性があるため小さい子ども達には特に注意が必要です。
季節は、4月~6月に鮮やかな朱色や黄色の花が咲きます・・・
つまり、仮に身近に咲いていなかったとしてもゴールデンウィーク中の旅行先で、「子どもがうっかり」なんてこともありえる話しでしょう。
そもそも、レンゲツツジは初夏の花として有名なため誰もが見たことがある身近な花でもあります。
それでは、どういった毒性があるのでしょうか?
レンゲツツジの「毒性」と「事故事例」は?
レンゲツツジの毒は、「蜜・花・葉・根」などにあります。
症状としては、主に嘔吐や痙攣が見られます。
もう少し詳しく説明すると・・・
花・葉:有毒な「グラヤノトキシン」・「ロドジャポニン」という成分が含まれています。
そして、摂取すると嘔吐・痙攣・ふらつき・歩行困難・不整脈などの症状を引き起こし、場合によっては呼吸停止に至ることまであります。
ちなみに、レンゲツツジに限らずツツジ科植物による毒性は昔から知られています。
昔からツツジ科植物の毒性は有名!
さて、そんな身近にあるツツジですが事故事例については、農研機構によればそれこそ紀元前から事故報告が記録されているほどです。
紀元前4世紀のギリシャの哲学者クセノフォンはその著書のなかで兵士たちが ツツジ属植物やハナヒリノキ(Leucothoe grayana)の蜜に由来する蜂蜜で中毒した様子を記録
が紹介されています。
とはいえ、最近でもツツジ科による事故は発生しています。
最近の事例は?
例えば、2015(平成27)年5月、新潟県内で庭木のレンゲツツジを食べたことによる食中毒が発生しています。
また海外の事例では、トルコ産蜂蜜としてツツジ属の花からとった蜂蜜を食べたことによる、ヒトの中毒事故も報告されています。
ちなみに、日本の養蜂業者ではレンゲツツジが自生しているところでは開花期は蜂蜜を摂取しないように避けていることは、有名な話しだといえるでしょう。
すくなくとも養蜂業者ではそれだけ「レンゲツツジが身近で、その危険性が知られている」ということでしょう。
こういった理由から、子ども達が花の蜜を吸って遊ばないように注意した方がいいでしょう。
とはいえ、子どもの頃は私もよくやっていましたが、特に中毒症状はありませんでした。
たまたま、レンゲツツジとは違ったのでしょう・・・
間違えやすい有毒植物としても紹介されている!
実は、先程紹介した東京保健福祉局ではレンゲツツジは「間違えやすい植物」として紹介されています。
例えば、「ヤマツツジ」はレンゲツツジと酷似した色や形のものがあります。
つまり、「専門科でもないかぎり毒性のツツジと無毒のツツジの見分けは難しい」とされています。
そのため、ツツジの蜜は吸わないようにした方がいいでしょう・・・
最後に
レンゲツツジの中毒症状が出るのは、採食後数時間です。
また、回復は早いことが知られています。
ただ、重症化すると全身麻痺の症状も出現することもあるため、もしも子どもがツツジの蜜を吸っていたら注意が必要です。
身近なツツジですが、有毒な種類もあることを知っておいた方がいいでしょう。
参考
農研機構:レンゲツツジ
→http://www.naro.affrc.go.jp/archive/flower/kiso/
ウェザーニュース:過去には重大事故も 身近な花に潜む毒
→https://weathernews.jp/s/topics/201904/200135/
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