地震がきたとき、建物がどの程度耐えることができるかご存じでしょうか?
建築基準法の改正により、1982年以降の建物は震度7の地震にも耐える耐震性があるとされています。
今回は、私達の命を守る建物の耐震性能を示す「耐震等級」についてご紹介します。
建物の耐震性
建物の地震対策と言えば、「耐震性」を最初に考えるのではないでしょうか?
耐震
耐震とは、言葉の通り「揺れに耐える」という意味です。
つまり、耐震性のある建物とは地震がきたときに揺れがきても「壊れないように踏ん張ることができる建物」ということができます。
ただ、当然のことながら耐震性にもレベルがあります。
3匹の子豚の場合
3匹の子豚のお話しで、オオカミが藁の家→木の家→レンガの家と順番に行きましたよね。
オオカミが地震だとすれば、藁の家は簡単に壊されてしまいました。
木の家は、少し手間取りましたがやはり簡単に壊されました。
レンガの家は最後まで壊すことができませんでした。
この耐える力が耐震性です。
そして、法律により震度7の地震がきても倒壊しないような建築基準が定められています。
品確法
建築基準法は聞いたことがあるのではないでしょうか。
それでは、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)という法律はご存じですか?
品確法は、「住宅取得者が良質な住まいを安心して手に入れることができること」を目的に、平成12年4月から施工されています。
住宅性能表示制度
品確法の3本の柱の1つ、「住宅性能表示制度の創設」に耐震等級は示されています。
住宅性能表示制度とは・・・
- 住宅の性能に関する表示の適正化を図るための共通ルールを設けることで、消費者による住宅性能を相互比較できるようにする。→誰でも分かりやすい共通の表示をする。
- 住宅性能に関する評価を客観的におこなう第三者機関を整備し、評価結果の信頼性を確保する。
- 住宅性能評価書に表示された住宅の性能は、契約内容とされることを原則とされる。→「原則」というのは、「住宅性能評価書の記載事項について契約内容からは排除する」等の反対の意思を契約書面で明らかにされている場合は適応されないのでご注意下さい!
*国土交通大臣が、住宅性能を表示する共通ルールを定めています。
日本住宅性能表示基準は10分野・34事項から成り立っています。
- 構造の安定
- 火災時の安全
- 劣化の軽減
- 維持管理・更新への配慮
- 温熱環境
- 空気環境
- 光・視環境
- 音環境
- 高齢者等への配慮
- 防犯
に関する10分野から成り立っており、それぞれ等級が設定されています。
住宅購入者は、それぞれの等級を確認することで自分たちが必要としている等級が高い住宅を選ぶことができます。
例えば、これからの地震が心配なら、「1.構造の安定」に関する等級が高い住宅を数値的に比較しながら購入することができます。
*住宅性能表示制度は、設計と建設それぞれに住宅性能評価書(「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」)の2種類があります。それぞれ、法律に基づくマークが表示されます。
そして、分かりやすい数値として「等級」があります。
等級の読み方
それぞれの性能表示事項は分かりやすいように等級や数値などで表示されますが、等級は数字が大きいほど性能が高いことを意味します。
ただ、自身のライフスタイルに合わせることが重要になります。
10項目は、さらに細かく34事項もあるためそれぞれのライフスタイルに合わせた組み合わせをしないと使いにくい住宅になることもあるので検討する必要があります。
例えば、数十年後の老後を気にして「9.高齢者への配慮」に関する等級を高くしてそれ以外の等級が低ければ意味がないですよね。
自分や家族が必要な項目を考えて選んで下さいね。
それでは、今回は耐震等級についての紹介ですので「1.構造の安定」に関する等級についてみていきましょう。
*1.構造の安定は、「地震(耐震等級)」・「暴風(耐風等級)」・「積雪(耐積雪等級)」の3種類がどの程度の強さまで傷付いたり、壊れたりしないかを等級により表示されています。
*「耐積雪等級」に関しては、建築基準法に定められている多雪区域内においてのみ表示されます。
それでは、実際に耐震等級についてみていきましょう。
耐震等級
何となく、「住宅の地震に対する強さに関係するんだな~」と思ってもらえれば分かりやすいと思います。
耐震等級は、柱・梁・主要な壁・基礎などの構造躯体(こうぞうくたい)の強さを評価します。
*梁・・・建築物の骨組みのなかで、建物に対して水平方向に渡すことで建物を支える部材のこと。
→水平方向(横)に部材(梁)があることで建物はバランスを取ることができます。
*構造躯体・・・建築構造を支える骨組みにあたる部分のこと。
というわけで、耐震等級が分かればでその建築物の地震に対する強さが分かります。
この等級は、戸建または共同住宅に適用されます。
耐震等級:構造躯体の倒壊等防止
地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさが等級で分かります。
- 耐震等級1→数百年に1度発生する地震による力に対して、倒壊・崩壊等しない程度。
- 耐震等級2→ 〃 地震による1.25倍の力に対して、倒壊・崩壊しない程度。
- 耐震等級3→ 〃 地震による1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊しない程度。
耐震等級:構造躯体の損傷防止
地震に対する構造躯体の損傷(大規模な修復工事を要する程度の著しい損傷)の生じにくさが等級で分かります。
- 耐震等級1→数十年に1度程度発生する地震による力に対して損傷を生じない程度。
- 耐震等級2→ 〃 地震による1.25倍の力に対して損傷を生じない程度。
- 耐震等級3→ 〃 地震による1.5倍の力に対して損傷を生じない程度。
このように耐震等級3は耐震等級1の1.5倍、倒壊や損傷に強い建築物だということが分かります。
耐震等級という言葉だけではなく、どんな制度の枠組みの中で使われているかを知ることで耐震だけではないそれ以外の重要な等級も知ることができます。
「話題の制度」は、一握りの特徴を説明しているにすぎません。
話題性だけで飛びつくと、大きなしっぺ返しにあう可能性もあります。
特に、大きな買い物をするときはご自分でも調べることをオススメします。
30年以内に巨大地震が発生するといわれています。
地震対策の1つの目安として、耐震等級を確認してみてはいかかがでしょうか。
まとめ
- 耐震等級は、品確法の住宅性能表示制度について定められている。
- 耐震等級1の1.5倍の耐震性能が耐震等級3の耐震性。
- 耐震等級をみれば、「倒壊」と「損傷」の2つの基準を知ることができる。
参考
国土交通省住宅局住宅生産化
→http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/081001pamphlet-new-guide.pdf
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