「糖の吸収を抑える!」など、さまざまな機能性をうたった食品が売られるようになりました。
どれも、「保健機能食品」と呼ばれる機能性をパッケージに表示することを許されている食品です。ですが、実はそれぞれ基準がまったく違います。
厳しい審査に通った保健機能食品(特定保健用食品)もあれば、規格基準にさえ適合すれば申請や届け出も必要ない保健機能食品(栄養機能食品)もあります。
●栄養機能食品については、こちらの記事で紹介しています。
●特定保健用食品についてはこちらの記事で紹介しています。
保健機能食品について、全3回で紹介していますが、今回はその3として、「機能性表示食品」についてご紹介します。
保健機能食品ってなに?
そもそも「保健機能食品」とは、その食品を摂取することで機能性(効果)があることを表示できる食品のことをいいます。
保健機能食品の3種類
- 特定保健用食品
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
さて、「機能性表示食品」は平成27年4月に新たに始まった制度です。つまり、これまで「保健機能食品」といえば・・・
- 国が個別に許可した「特定保健用食品」
- 国の適合基準に適合した「栄養機能食品」
この2種類しかありませんでした。
「機能性表示食品」ってなに?
消費者庁のHPには、
事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージ機能性を表示するものとして消費者庁に届け出られた食品。
とあります。
販売を予定する日の60日前までに、「届出書・関連する資料」を不備なく消費者庁長官に届け出る必要があります。(もし、不備があれば書類は返送される。)
このように機能性表示食品は、事前届出制により行なわれ平成30年6月8日時点で届出件数は1,318件あります。
つまり、新しく始まった「機能性表示食品」は「特定保健給食品」とは違い、消費者長官の個別の許可を受けたものではないため、「事前届出制により消費者長官に届け出た後は事業者の責任で運用される食品」ということになります。
それでは、機能性表示食品について見ていきましょう。
機能性表示食品の考え方
消費者の誤認を招かない、自主的かつ合理的な商品選択に資する表示制度
- 安全性の確保
- 機能性表示を行うに当たって必要な科学的根拠の設定
- 適正な表示による消費者への情報提供
これが、「機能性表示食品」制度の基本的な考え方です。
安全性や機能性の根拠は?
①安全性の評価
- 今まで広く食べられていたかどうかの食経験。
- 安全性に関する基本情報の調査。
- 動物や人を用いての安全性試験の実施。
このいずれかによって評価されます。
*医薬品との相互作用についても評価される。
②機能性の評価
- 最終製品を用いた臨床試験
- 最終製品または機能性関与成分に関する文献調査(研究レビュー)
このいずれかによって評価されます。
*機能性の評価により・・・
❶どのような科学的根拠に基づいて
➋どのような人が
❸どのように摂取すると
❹どのような機能性があるのか
といったことが明らかにされます。
→研究レビュー(システマティックレビュー)は、科学的な肯定的な結果だけでなく否定的な結果もすべて合わせて「機能性がある」と認められるかどうかを総合的に判断するものです。
③製品・製造・品質の管理
- 加工食品:製造施設・従業員の衛生管理体制
- 生鮮食品:生産・採取・漁獲などの衛生管理体制
- 規格外製品の出荷防止体制
- 機能性関与成分の分析方法
といった体制を整えることになっています。
④健康被害の情報収集体制
消費者・医療従事者などからの連絡を受けるための体制が整えられています。
→パッケージに事業者の連絡先(電話番号)が表示されています。
*事業者から届けられた①~④の情報が「検索」することで、こちらの消費者庁のHPで公開されています。
→「機能性表示食品の届け出情報検索」を使うには届け出番号や届け出者名の入力などが必要になるため、商品パッケージを見ながら入力する必要があります。
機能性表示食品の注意点
- 診断・予防・治療・処置といった医学的な表現は使用できない。
- 治療効果・予防効果を暗示する表示はできない。(「糖尿病の方へ」など特定の疾患の方を対象とした表示もできない)
- 未成年者・妊産婦(妊娠を計画している者も含む)・授乳婦に対して機能性を訴求(宣伝)することはできない。
- 肉体改造・増毛・美白など意図的な健康の増強を標ぼう(表示)することはできない。
- 科学的な根拠に基ずく十分な説明ができない(曖昧な)機能性に関する表示はできない。
つまり、機能性表示食品は・・・
- 「おなかの調子を整える」
- 「脂肪の吸収をおだやかにする」
といった、特定の健康の維持増進が「期待できる」という食品の機能性を表示することができる食品ということになります。
保健機能食品のまとめ
特徴 | 特定保健用食品(トクホ) | 栄養機能食品 | 機能性表示食品 |
施工年 | 1991年(H3) | 2001年(H13) | 2015年(H27) |
対象食品 | 食品全般(生鮮食品・加工食品・錠剤・カプセル(一部除く)) | ||
許可分類 | 個別許可型 | 規格基準型 | 届出型 |
消費者庁長官への届出 | ● | × | ● |
評価 | 国が有効性と安全性を個別に審査 | 事業者が食品表示基準を遵守し表示 | 事業者が有効性と安全性の科学的根拠を国へ届出 |
マーク・記号など | (ばんざいマーク) | 「栄養機能食品()」 *()内に栄養成分を明記 |
容器包装の主要面に
|
責任の所在 | 国 | 食品関連事業者 | 食品関連事業者 |
評価内容の確認 | 公開義務なし | 公開義務なし | 消費者庁のホームページで公開 |
対象者等 | 病気ではない人が対象 | 乳幼児・小児・妊娠3ヶ月以内の女性など、摂取に注意が必要な人がいる。 | 疾病に罹患していない方(未成年者・妊産婦・授乳婦を除く) |
いかがでしたでしょうか?
同じ「保健機能食品」ですが、審査の基準や対象者も違います。共通していえることは、医薬品ではありません。また、治療目的として利用できる食品でもありません。
基本は、バランスのとれた食事です。くれぐれも「身体に良いだろう」と思って過剰摂取はしないようにご注意下さい。
例えば、普段使っている食品を保健機能食品に置き換えるといった利用方法がいいかもしれませんね。
さて、全3回もあっという間に終わってしまいました。これからもためになる情報を発信していきますので、これからもよろしくお願いします。
参考
消費者庁
→https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
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