日本の停電「時間」・「回数」は極わずか! ただ電気事故は増えている・・・

 

皆さんは最近、停電を経験したことがあるでしょうか?

もちろん、震災など災害により大規模停電(ブラックアウト)はこれまでも発生してしまっています。

それでは、夏に発生しやすい雷(積乱雲などが原因)による停電はどうでしょうか?

私が子どもの頃(約30年前)は、1年の間に何度か家が停電することがありましたが、最近10年を思い出してみても、雷による停電を経験したことがありません。

今回は、そんな「雷による停電は減った?」についてご紹介します。

 

「停電時間」と「停電回数」は激減している!?

電気事業連合会では、1966年~2015年までの50年間の1軒当たりの「年間停電回数」と「停電時間」の推移がグラフ化されています。

それによると、1966年は、1軒当たり平均して4.85回/年の停電があり、停電時間は701分(約11.6時間)もありました。

つまり、今から50年以上前の日本の電気事情は、少なくとも3ヶ月に1回は停電があり、しかも半日近く停電することが珍しくなかったことになります。

今からでは、到底考えられませんよね・・・

その後、毎年「停電回数」や「停電時間」は減少していき、2015年には1軒当たり0.13回/年の停電になり、停電時間も20分前後となっています。

つまり、10年生活して停電を経験するのは、1回あるかないかということになります。また、たとえ停電したとしても、基本的には約20分以内に復旧することになります。

こういった状況が数値として示されていることから、日本の電気事業は「停電時間」「停電回数」は極めて少なく、世界でみてもトップ水準にあることが証明されています。

ちなみに、停電時間を他の国と比較するとこのようになっています。

 

停電時間を比較!

東京電力ホールディングスが、停電時間の国際比較を示しています。

 

図1 《国別停電時間比較》

電力供給設備 停電時間の国際比較(参照)

表にあるように、日本が最も短い停電時間となっています。

 

年間の1軒当たりの停電時間(2018年時点)

  • 日本:16分
  • アメリカ(ニューヨーク州):20.9分
  • アメリカ(カリフォルニア州):357.7分
  • ドイツ:23.55分
  • フランス:70.5分
  • イギリス:50.43分

図1の数値は、このようになっています。

つまり、イギリスやフランスは1度停電すると1時間前後は復旧に時間がかかり、アメリカのカリフォルニア州にいたっては、約6時間復旧に時間を要することが見てとれます。

とはいえ、国により考え方が違うため単純な国際比較は難しいことは言うまでもありません。

 

単純な国際比較が難しい理由とは?

例えば、2018年にカリフォルニア州では、送電線からの発火を原因とする山火事が発生し、大規模な停電を引き起こす事態になりました。

ただ、それを差し引いても、カリフォルニア州では1軒当たり年間100分以上の停電があるため、少なくとも日本の5倍は停電時間が続いています。

ですが、そもそもカリフォルニア州では、日本のような完全無欠とも思えるような配電設備を目指しているわけではありません。

と言うのも、現実的には需要側の対策が先行しているためです。

実際、2020年からは全ての新築住宅は屋根置き太陽光発電を設置し、使用する電力の半分を太陽光発電で賄うことが義務化されています。

sferrario1968 / Pixabay

つまり、「半分ぐらいは自分で使う分は自分で発電して!」ということです。

日本とは、真逆の考えと言えるかもしれません。

確かに、それぞれの家が発電すれば、そもそも日本のように配電設備を蜘蛛の目のように張り巡らせる必要はないのかもしれません。

⇒太陽光発電のデメリットは当然ありますが・・・

ただ、国によってこういった事情もあり、国が違えば環境や考え方も違ってきます。

そして、それにより目指す方向も異なるため、単純な国際比較が難しいことは言うまでもありません。

それでは、世界でもトップクラスとなっているはずの日本の電気事故の原因について見ていきましょう。

 

日本の電気事故の原因は?

日本の「原因別電気事故件数」は、このようになっています。

 

図2 《原因別電気事故件数の比較》

実は、図2からも分かるように1990年と2015年を比較すると、2015年の方が電気事故の件数は増加しています。

  • 1990年:8,898件
  • 2015年:10,832件

それでは、どういった原因で電気事故が発生しているのかみていきましょう。

 

事故の原因は?

1990年(「その他」は除く)

  1. 風雨・水害:2,794件
  2. 雷    :1,927件
  3. 設備不備・保守不備:1,154件
  4. 他物接触・鳥獣:1,116件

 

2015年(「その他」は除く)

  1. 風雨・水害:3,011件
  2. 他物接触・鳥獣:2,493件
  3. 設備不備・保守不備:2,015件
  4. 雷    :1,030件

このように、災害による影響が最も多くなっていますが、2015年は鳥獣などの接触事故が2倍以上に増加しています。

そして、設備・保守不備も約2倍も増加していることから老朽化や人員不足などが考えられます。

ただし、雷による事故だけは半分近く減少していることが分かります。

このように、統計を見ていくと雷で停電する可能は大幅に低くなっており、そもそも停電自体が震災などがなければ、10年に一度経験するかどうかの確率だと分かります。

それでは最後に、私が子どもの頃は「雷が鳴ったら電気を消して!」なんて教わりましたが、今も必要なのでしょうか?

 

雷で電化製品は故障する?

関西電力によると、落雷への対策についてこのように説明されています。

 

電子機器の注意点!

「停電」や「瞬時電圧低下(瞬間的に電圧が低下する現象)」が引き起こされます。

「瞬時電圧低下」が発生する原因は、例えば送電線に落雷が落ちると、以下のようなことが引き起こされます。

 

北陸電力より

  1. 送電線に落雷する。
  2. 雷により瞬間的に高い電圧が発生して送電線と鉄塔間が閃絡(ショート)する。
  3. この部分を通して、故障電流が流れる。
  4. 多大な故障電流が流れることにより、電圧が低下する。
  5. 電圧低下の影響が発生する。
  6. 保護リレーで故障を検出し、遮断器を開く。
  7. 故障を切り離す。

という形で発生し、通常、2から7までの間(0.07~2秒間)継続します。

つまり、故障を切り離すまで発生する現象です。

これにより、電気機器は「停電」や「瞬時電圧低下」により・・・

  • 誤作動
  • データ消失
  • 機器故障

など、昔から言われていたことが今でも発生してしまう可能性があります。

ただし、すでに使用されている方もいらっしゃるかと思いますが、無停電電源装置(UPS:停電などによって電力が断たれた場合にも電力を供給し続ける電源装置)などの対策装置が市販されています。

他にも、耐電機器(雷ガード機能付きチップ)等も販売されています。ただし、雷の直撃には耐えられません。

そのため、近くで落雷が起きた場合は昔ながらの対策が必要になります。

 

電化製品を守る雷対策?

そもそも雷により、建物内の電線に侵入し、電子機器を故障させることは今もあります。

ちなみに、雷の侵入経路は「電話線」「アンテナ線」など多種多様です。そのため、電気器具のスイッチを切るだけでは対策として不十分です。

そのため・・・

プラグをコンセントから抜く!

この昔ながらの方法が、今も一番確実な方法だと言えるでしょう。

 

最後に

今回は、「落雷による停電の可能性」についてご紹介しました。

ただ、電気事故で考えた場合は、落雷よりも「接触」や「不備」の方が可能性が高くなります。

さて、8月はゲリラ豪雨も心配ですが落雷も増加します。

基本的には、落雷による停電は発生する可能性はかなり低いと思いますが、コンセント部分は埃がたまれば発火する原因にもなります。

家中のコンセントに刺さった電化製品のチェックは大変だと思いますが、雷が鳴り出したら思い出して一度確認してみてはいかがでしょうか?

我が家の場合だと、「パソコン・冷蔵庫・洗濯機・電動自転車の充電・扇風機・テレビ・蚊取り線香(ベープ)・電子レンジ・トースター・コピー機・・・」

コンセントに繋いでいる電化製品は、十数カ所はありそうです。

雷が鳴り出したら、コンセントに繋いで充電している「パソコン」や「スマホ」などは特にご注意下さい。


参考

日本総研:停電にインフラ強靭化で対応するのか
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=35131

 

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