「あおり運転」は違反のオンパレード! 行政処分が次々と・・・

 

皆さんは、車の運転をされているでしょうか?

私は高速道路をよく走るのですが、車を運転していると「ウィンカーを出さない」「スゴイスピードで追い越していく」なんて車をよく見かけます。

正直、いろんな車が走っていますが・・・

それでは、連日報道されている「あおり運転」等の危険運転は人ごとだと思っていませんか?

今回は、「ドライバーなら誰もが加害者になりうるあおり運転」についてご紹介します。

 

簡単に加害者になってしまう「あおり運転」等ってなに?

ひょっとしたら、あなたは被害者ではなく加害者になっているかもしれません。

というのも、*「あおり運転」等とされる可能性がある行為が以下のような危険運転として示されています。

ちなみに、あおり運転をする人=「ロード・レイジ」と呼ばれます。

さて、そんなあおり行為(危険行為)をするというこは、以下にあるような「違反のオンパレードをしている!」という事になります。

*あおり運転とは、後方から極端に車間距離を詰めて威圧・理由のないパッシングや急停止といった故意に特定の車両の運転を妨害するような振る舞いをしたりする迷惑行為。

 

あおり運転等の危険行為

  1. 急激なブレーキング→急ブレーキ禁止違反
  2. 異常に接近→車間距離保持義務違反
  3. 急激な進路変更→進路変更禁止違反
  4. 左側からの追い越し→追い越し違反
  5. 不必要なクラクション→警音器使用制限違反
  6. 合図しないで進路変更→合図不履行違反

他にも、危険運転致死罪(妨害目的運転)や刑法にある暴行罪に問われる場合もあります。

それでは、具体的にどういった行為がこれら(1~6)に当たるのでしょうか?

 

それぞれの危険行為について解説!

1.急ブレーキ禁止違反

道路交通法第24条

車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

とあります。

とはいえ、例えばABS(アンチロック・ブレーキ・システム)という急ブレーキをかけたときなどに、タイヤがロックする事を防いでくれる安全装置が車には取り付けられています。

ですが、これが作動したからといって「あおり運転をした!」とはなりません。

「やむを得ない場合」は、違反にならないため必ずしも決め手にはなりません。

 

《罰則》

  • 違反点数:2点
  • 反則金:7000円

→刑事処分:3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

 

2.車間距離保持義務違反

道路交通法第26条

車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

とあります。

さて、「必要な距離」とありますよね・・・

ここに、加害者になりえる注意点があります。

教習所で、車間距離について習ったと思いますが一般的には・・・

 

①60km以下の運転速度の時の車間距離は「速度-15m」が基本です。

  • 時速40km→車間距離25m
  • 時速50km→車間距離35m
  • 時速60km→車間距離45m

 

②高速道路のように60kmを越えた運転速度の時は「速度と同じ車間距離」

  • 時速70km→車間距離70m
  • 時速80km→車間距離80m

緊急自体があったとしても、これが「安全に止まれる車間距離」だと言われています。

 

もちろん、「これ以上詰めたら即違反!?」ということにはなりませんが、道路交通法で罰せられる可能性があります。特に、あおり運転と判断されている状態では、追加されても仕方がありません。

 

《罰則》

  • 一般道路:反則点数:1点 / 反則金:6,000円

→刑事処分:5万円以下の罰金

 

  • 高速道路:反則点数:2点 / 反則金:9,000円

→刑事処分:3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

 

3.進路変更禁止違反

第26条の2

車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

 

それでは、そもそも道路に引かれている車線の意味を理解されているでしょうか?

  1. 白色の破線→車線の中ではもっとも自由度が高く追い越しも車線変更もできる。
  2. 白色の実線→この線を越えて車線変更はできない(白の実線の向こう側は反対車線)
  3. 黄色の実線→隣の車線に移っての追い越し禁止(当然、車線変更も禁止)

このように、そもそも車線変更の有無は道路の線で示されています。

そして、仮に白線の破線だったとしても他車の進行を妨げれば罰則の対象となります。

 

《罰則》

  • 反則点数:1点
  • 反則金:6000円

→刑事処分:5万円以下の罰金

 

4.追い越し違反

道路交通法第30条

車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
一 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又はこう配の急な下り坂
二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
三 交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

とあります。

つまり、そもそも追い越し禁止の場所は4ヶ所あります。

  • 前方が見えにくい曲がり角の付近
  • 斜面が急な上り坂や下り坂
  • トンネル内(車両通行帯なし)
  • 交差点・踏切・横断歩道の30m前

→追い抜きに関しては、特に規定はありません。

 

《罰則》

  • 点数2点
  • 反則金:9,000円

→刑事処分:5万円以下の罰金または3ヶ月以下の懲役


ちなみに、追い越し車線をゆっくり走っている車の後ろに後続車が溜まっている光景をたまに見かけますが、これは追い越し車線を走っている車が違反しています。

ですが、クラクションやパッシング・車間距離を詰める行為をすればこちらも違反することになってしまいます。

とはいえ、このままでは追突される危険もあるため、早くなんとかしたいですよね・・・

方法としては、「左側に移ってしばらく走向し、また遅い車に追いついたら追い越し車線にはいれば基本的に問題ありません。」

→左側から遅い車を追い抜いて、すぐにまた追い越し車線に入ると「追い越し違反」で取締りの対象になるためご注意下さい!

 

5.警音器使用制限違反

道路交通法第54条

車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
二 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。

とあります。

つまり、「道路標識で指示・見通しがきかない・緊急時」以外にクラクションを鳴らせば、警音器使用制限違反となります。

例えば・・・

  • 道を譲ってもらった。
  • 駅まで同乗者を迎えにいき、到着の合図。
  • 青信号に変わっても前方車が発信しなかった。

このような場合で鳴らした場合、緊急事態ではないため「警音器使用制限違反」となります。

→緊急時とは、「歩行者などの飛び出し」「バックしている車がこちらに気付かず下がってきた」場合などです。

 

《罰則》

  • 反則点数なし
  • 反則金3,000円

→刑事処分:5万円以下の罰金

*ちなみに、「クラクションを鳴らす必要がある場所」や「緊急時」に鳴らさない時の方が罰則は重たくなっています。

 

6.合図不履行違反

道路交通法第53条

車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
2 車両の運転者は、環状交差点においては、前項の規定にかかわらず、当該環状交差点を出るとき、又は当該環状交差点において徐行し、停止し、若しくは後退するときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
3 前二項の合図を行う時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。
4 車両の運転者は、第一項又は第二項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。

とあります。

つまり・・・

  1. 右折・左折・転回→30m手前
  2. 徐行・停止・後退→その行為の開始と同時
  3. 進路変更→3秒前

このようなときは、合図をださなければいけません。

 

《罰則》

  • 反則点数:1点
  • 反則金:6,000円

 

ひと言で、「あおり運転」といってもこのように様々な道路交通法違反を同時に行っているということになります。

あおり運転と勘違いされないようにくれぐれもご注意下さい!

 

最後に

今回は、加害者になるかもしれない視点であおり運転と勘違いされてしまうかもしれない違反について紹介してきました。

特徴的な部分としては、同じ交通違反であっても「一般道路」と「高速道路」とでは罰則が違う場合があります。

また、今回紹介した罰則(反則点数や反則金)は普通車を対象とした行政処分(行政責任)の内容です。

場合によっては、刑事責任(罰金)が課せられることもあります。

あおり運転の加害者にならないように注意して下さいね。(取締り強化により、「一発免停」の可能性もある)

 

「行政処分」と「刑事処分」の違いについては、こちらの記事で紹介しています。

道路交通法違反 「行政処分」と「刑事処分」はまったく違う!?

 


参考

yupiteruドライブレコーダー
http://dry.yupiteru.co.jp/about/

Driveman
https://www.driveman.jp/reports/choice.html

交通事故弁護士ナビ
https://jico-pro.com/columns/210/

道路交通法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000105#167

チューリッヒ保険会社
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-sound-horn/

 

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