雷で「高い木の側は危険!」というけれど・・・ 保護範囲が取れない高さとは?

 

前回、「雷による停電は激減した!」とはいうものの、昔と変わらずコンセントを通じて電化製品に悪影響を及ぼすことがあることをお伝えしました。

ただ、雷の影響はやはり私達自身にも危険が及びます。

今回は、「雷と私達への影響とやっぱり木の近くは危険?」についてご紹介します。

 

「停電」については、こちらの記事で紹介しています。

日本の停電「時間」・「回数」は極わずか! ただ電気事故は増えている・・・

 

そもそも「雷」ってなに?

「夏」と言えば、雷が多発しますよね。

例えば、「積乱雲」や「入道雲」と言えば、雷を発生させる雲として有名です。ちなみに、「入道雲」は「積乱雲」の俗称です。

さて、この積乱雲は雷だけではなく、激しい雨や突風を伴うことがあります。また、それだけではなく「雹(ひょう)」や「竜巻」を引き起こすことまであるため、注意が必要です。

また、「雷は夏の季語」になっているほどですが、1年を通じて落雷は発生しています。

参考までに、2015年~2019年の全国月別落雷数は以下のようになっています。

出典 雷ぶらり:全国月別落雷数

その年によって、特に夏場は特に落雷数が大きく変わることが見てとれますが、1年を通して発生していることが分かります。

さて、そんな私達の身近で発生している雷は、「巨大な放電現象」と言われています。

そもそも、雲が発達すると雲内で氷の粒が擦れ合って静電気が発生します。すると、雲の上層と下層のどちらかに「電荷」が偏ることになります。

「電荷」を馴染みのある言葉で言えば、「電気」のことです。

⇒「電気」のことを、物理的に微視的(びしてき)に言うときには、「電荷」と呼ばれます。

そして、この偏ってしまった電荷を中和するために、雲から地面に向かって放電する時の現象が「落雷」です。

それでは、落雷は「高い所に落ちやすい」というのは本当なのでしょうか?

 

落雷が落ちやすい場所とは?

そもそも、雷は雷雲の位置次第で海面・平野・山岳など、どこに落ちてもおかしくありません。

ただし、近くに高いものがあればそこを通って落ちる傾向があるだけです。

つまり、例えばひらけた場所なら、人が一番高いことになってしまいます。

 

人に落ちやすい場所とは?

  • グランド
  • ゴルフ場
  • 屋外プール
  • 堤防
  • 砂浜
  • 海上

など、開けた場所にいるときは特に注意が必要です。

 

他にも・・・

  • 山頂
  • 尾根

など、高い場所も人に落雷する可能性があるため避難する必要があります。

それなら、もしも安全な空間が無ければ、高い物の近くにいた方が直接落ちてこないため、むしろ安全にはならないのでしょうか?

 

もしも、避難できないときは?

コロナの影響で、街中よりも山や広場などに行く人もいるのではないでしょうか?

例えば、公園などなら近くにトイレがあるかもしれませんが、なにもなければ駐車場まで戻らないといけなくなりますよね。

ただ、激しい雨が降ってきた場合、もしも駐車場まで遠ければ、例えば木の下で雨宿りしたくなるかもしれません。

ですが、保護範囲を意識していないと落雷に遭う可能性があります。

 

「保護範囲」ってなに?

先程もお伝えしたように、雷は高い所に落ちる傾向があります。

そのため、グランドなどなにもない場所では、人が一番高いことになってしまうため危険なことは説明しました。

かといって、高い所の側に寄りすぎると落雷の影響を受けてしまいます。

そのため、「保護範囲」を知っておく必要があります。

  • 高い物体のてっぺんを45℃以上の角度で見上げられる範囲。
  • 高い物体から4m以上離れる。
  • 高い木は、全ての幹・枝・葉から2m以上離れる。

ただし、ないとは思いますが保護範囲に退避しても、落雷地点の近くで座る・寝転がるなどをしていると地面に接触している部分が「痺れ」・「痛み」・「火傷」・「歩けなくなる」といったことになりかねません。

くれぐれも、ご注意下さい。

*昔は、「高い物体からは2m離れるように!」と言われていましたが、これでは即死は免れても重症を負う危険性があるため、今では「保護範囲は、4m以上離れること!」として注意喚起されています。

 

ワンポイントアドバイス! ~雷鳴が聞こえなくなっても注意が必要!?~

そもそも雷雲は、時速5~40kmで通常移動していきます。

つまり、雷雲が遠ざかり雷鳴も聞こえなくなったとしても、20分ぐらいは雷雲からの落雷があるかもしれません。

そのため、せっかく避難できたのなら、もうしばらく留まる方が安全です。

→雷雲が去っても、また次の雷雲が迫ってくることもあるため注意は必要。

ちなみに、もしも避難先が「テント」や「トタン屋根」の仮小屋の中だった場合は、屋外と同様に落雷の被害を受ける危険があります。

そのため、「自動車」や「鉄筋コンクリート建築」の中に避難するか、「保護範囲」に避難する必要があります。

 

危険な行動?

雷が鳴っているにも関わらず、保護範囲を無視して高い物体の下で雨宿り。また、開けた場所に居続ける。これらは、それぞれ危険な行動です。

それでは、こんな行動をあなたはしていませんか?

埼玉県川口市立青北小学校の校長室通信の「落雷の危険と避難場所について」で、このような掲載があります。

・自転車・オートバイ
特に、雷雨の中、堤防上の道や農道を走行するのは、自殺行為

必ず、早めに降りて退避する必要があります。

さらに、もしも高さが5m未満の岩や樹木などの周囲にいると危険です。

残念ながら、高さが5m未満では保護範囲がないため、側撃雷(直撃雷の周囲で発生する放電)による死亡事故が発生しています。

忘れてはいけないことは、保護範囲がとれる高い物体とは「高さが5m以上の物」ということです。

 

最後に

雷で命を落とすことがあることは、誰もが知っていることだと思います。ただ、普段なら建物の中に避難できても、旅行先などではそうもいかないこともあるでしょう。

例えば、登山が趣味の人ならこういった経験は何度もされていることと思います。また、学生さんなら部活中に雷が鳴り出すことはよくあることですよね。

そんな時、安全に避難する判断ができるかどうかが、命の分かれ目になるかもしれません。

ちなみに、電撃を受けた人が死にいたるかどうかは、「体内を流れる電流の大きさと時間」により、ほぼ決まると言われています。

とはいえ落雷死亡事故の大半は、雷の大電流が頭部から上半身を流れることによる心肺停止で、ほとんどが即死です。

もちろん、心肺停止の状態から心肺蘇生法により救命された事例もありますが、そもそも落雷にあわないように普段から気をつけるようにして下さいね。

また、小さい子ども達の中には雷が好きな子どももいます。→私の息子(4歳)と娘(2歳)のことですが・・・(兄妹で、窓越しに雷をみてなぜか喜んでいます)

転倒の危険もあるため、雷が鳴り出したらくれぐれもベランダなど外に出ないように注意してあげて下さいね。


参考

気象庁:雷から身を守るためには
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder4-3.html

株式会社フランクリン・ジャパン:雷ぶらりより
https://www.franklinjapan.jp/raiburari/about/

 

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