●この記事では、「電波法改正により違法になるETC車載器」について説明しています。
皆さんは、「電波法の改正」についてご存じでしょうか?
「自分には関係ない!」と思っている人もいるかもしれませんが、少なくとも車を持っている人には関係してくることがあります。
それが、「ETC車載器」です。
今回は、「新旧のETC車載器で違法になる?ならない?」ついて紹介しています。
そもそも「電波法」ってなに?
「電波」といえば、最初にスマホなどの携帯電話を思い浮かべるのではないでしょうか?
基本的に、誰もが持っていますよね・・・
当然、スマホを使う場合も電波法を守らなければなりません。
基本的に、電波を使用(送信)するための原則は以下の3つがあります。
- 定められた規格の機器を使用
- 無線局の免許を受ける
- 資格を持った人(無線従事者)が操作する
これを守らないと、電波法違反になるため処罰の対象となります。
ですが、私達はそんな無線資格や無線局の許可を得ることなく、個人で携帯会社に契約してスマホで電波を送信していますよね?
これは、スマホなどの携帯電話が・・・
- 電波法の規定に定められた規格の機器であることが補償されている。
- 通信キャリアが一括して免許を受ける。
- SIMがないと利用できない。
つまり、通信キャリアの管理下にあるため私達は利用できています。
逆に言えば・・・
- 海外製品機器が国内規格を満足していないのに、使用して重要な通信に妨害を与える
- 無線局免許や無線従事者資格がないと使えない無線機を無免許・無資格で使用
した場合は、電波法違反となります。
それでは、なぜ電波法改正でこれまで使っていたETC車載器を使っただけで違法になってしまうのでしょうか?
「電波法改正」と「ETC車載器」
先程もお伝えしたように、スマホは通信キャリアが許可を取ったものを私達は利用しています。
そのため、電波法により罰せられることはありません。
これは、ETC車載器でも同じことが言えます。
ところが、2022年12月1日からは改正電波法が施行されることで状況が変わります。どういうことかというと、電波の規格変更がおこなわれるためです。
携帯電話ならキャリアから使用についての案内があるでしょうし、そもそもその携帯が使えなくなることも考えられます。
ただ、ETC車載器は買いっぱなしになるため故障するといった不具合が引き起こされない限り、買い換えることはないのではないしょうか?
つまり、電波法の規格から外れるETC車載器がでてきてしまいます・・・
それでは、なぜ電波法が改正されるのでしょうか?
電波法改正の目的は?
電波法の改正は、不必要な電波をできる限り低減させることで、電波利用環境の「維持・向上・電波利用の推進」が目的となっています。
「不要電波」のことを「スプリアス」と呼びますが、実は世界無線会議(WRC)で無線通信規則のスプリアス発射の強度の許容値が見直されることとなりました。
そして、「日本もそれに従って改正がおこなわれた」ということになります。
つまり、不要電波(スプリアス)の規格が国際的に見直されたことで、以前のいわゆる「旧スプリアス規格」に基づいて製造されたETC車載器は、2022年12月1日から使用できなくなることになりました。
これが、「旧ETC車載器の違法利用」という話しになっています。
法律は、このように見直されていくため、ETC車載器と電波法改正は、これまで通りのことをしているだけで違法になる分かりやすい例と言えるでしょう。
それでは、今後どんなETC車載器が違法となるのでしょうか?
違法になるETC車載器とは?
まずは、私が車に搭載しているETC車載器を見てみましょう。
このETC車載器は、このまま使い続けても問題ありません。つまり、「新スプリアス規格」に対応しています。
それでは、どうして「対応している!」と言い切れるのでしょうか?
写真のETC車載器が新規格に対応している根拠は?
結論からいえば、写真の□で囲んでいる部分に「●●●」と印字されているためです。
実は、旧セキュリティ対応のETC車載器にはこの「●●●」のマークがありません。
他にも、車載器を見れば一目で分かる目印があります。
~2022年12月1日以降も使えるETC車載器の見分け方~
写真の□で囲んでいる部分には、「ETC」としかロゴがありませんよね。
ですが、旧セキュリティ対応のETC車載器には「DSRC ETC」のロゴがあります。
他にも、「■」マークがある場合は旧セキュリティ対応のETC車載器となります。
ちなみに、「ETC2.0」のロゴがある車載器もありますが、「■」マークがあれば旧セキュリティ対応車載器。
「■」マークがなければ、新セキュリティー対応車載器となります。
車載器の見分け方まとめ
新セキュリティ車載器
- 「ETC2.0」のロゴだけでマークがない。
- 「●」マークが車載器にある。
旧セキュリティ車載器
- 「ETC」のロゴだけでマークがない。
- 「■」マークが車載器にある。
このように、ETC車載器の「ロゴ」や「マーク」を見れば、新旧どちらの車載器か一目で分かるようになっています。
ただ、もしも車載器を見ても分からなくても、「車載器管理番号」で確認する方法もあります。
車載器番号で確認する方法
ETC車載器には、「取扱い説明書」や「保証書」などに車載器管理番号が記載されています。
この管理番号は、19桁ありますが見分け方は最初の数字を見れば分かります。
- 「1」・・・新セキュリティ対応車載器
- 「0」・・・旧セキュリティ対応車載器
ちなみに、私の車載器管理番号は「1」から始まっているので、新セキュリティ対応車載器。
つまり、「2022年12月1日(電波法改正)の後も使えるETC車載器」ということになります。
最後に
今回の電波法の改正に限らず、法律の改正によりこれまでやっていたことが違法になる場合があります。
ちなみに、旧セキュリティ車載器を電波法改正後も使用すると電波法違反により・・・
→1年以下の懲役または100万円以下の罰金(不法設置・運用のみ)
そして、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合はさらに重い罰則となります。
→5年以下の懲役または250万円以下の罰金
電波法の改正は、目に見えないため変更されても分かりません。さらに言えば、その電波がすぐに使えなくなるわけでもないため使えてしまいます。
ですが、使ってしまうと法律的には違法となります。
2030年頃には、新しいセキュリティ規格が導入される予定のため、さらに使用できなくなるETC車載器が拡大する見込みです。
今後も、新旧ETC車載器の注意が必要になることはいうまでもないでしょう。まずは、使われている車載器の確認を早めにすることをお勧めします。
新しく購入する場合は、新規格のETC車載器を選択して下さいね。
参考
ものづくりステーション:電波法をご存知ですか?(電波利用にはルールがあります。)
→https://www.qten.co.jp/topics/column/archives/2
ETC総合情報ポータルサイト:セキュリティ規格の変更について
→https://www.go-etc.jp/support/pdf/security_standard.pdf
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