以前、「貸株」についてご紹介しました。
貸株というのは、自分が持っている株を証券会社に貸し出すことで、毎日金利が受け取れる(保有している株式を貸し出して、レンタル料を受け取ることができる)サービスです。
例えば、私は楽天証券で口座を開設しているため、楽天証券に持ち株を貸し出すことで毎日金利を受け取っています。
「金利」は、定期的に変更されますが、0.1%~10%を越えるものまであります。
例えば、金利:1.0%銘柄を200万円貸し出したとします。
→0.01✕2000000=2万円(年間)
私の場合なら、貸株サービスを利用して120万円ほど楽天証券に貸出しているため、毎月約1,000円の金利にるため、年間約1万2,000円の金利を受け取っています。
さて、そんな貸株サービスですが楽天証券では、2020年9月23日より「信用貸株」というものが開始されます。
今回は、「新しく始まる信用貸株の担保ってなに?」についてご紹介します。
→「貸株」についてはこちらの記事で紹介しています。
「信用貸株」ってなに?
楽天証券より
信用貸株というのは、信用取引の代用有価証券として利用している株式を、楽天証券に貸出すことで貸株金利を受け取ることができるサービスです。
代用有価証券?
そもそも、信用取引は自分が持っている資金を超えて投資できる仕組みです。
例えば、スーパーに買い物に行って現金しか持ち合わせがないとします。その持ち合わせが、例えば1,000円しかなければ、普通は2,000円のお米は買えませんよね。
ところが、「担保」を入れて金を借りることで、最大3.3倍まで取引きができてしまいます。つまり、1,000円あれば3,000円のお米も買えてしまいます。
ただし、あくまでも「借りている」に過ぎないため、返すときには手数料や金利などを返さなくてはいけません。
つまり、信用取引とは現金や株式を担保として証券会社に預け、その証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株券を借りてそれを売ったり(空売り)する取引きのことです。
問題は、その担保です。
証券会社からお金を借りるわけですから、保証金(委託保証金)が必要になります。
ここで出てくるのが、「代用有価証券」です。
普通なら、現金を保証金にするのですが、その現金の代用として・・・
- 株式
- 公社債
などの有価証券を、現金の代用
としてすることができます。
=代用有価証券
「貸株サービス」とはなにが違うの?
そもそも、私がこれまで利用してきた貸株は「自分がもっている株式」です。
自分の所有物である以上、貸出してもなんの問題もないですよね。
ところが、信用取引はあくまでも株式を借りているだけのため、その株式は自分の所有物ではありません。
それでは、なぜ貸株が信用取引にまで適応されるのでしょうか?
「信用貸株」はなにを貸出すことで金利を受け取れる?
信用取引では、「担保」がなければ運用できません。
つまり、信用貸株として運用できる自分の所有物というのは、「担保(代用有価証券)」のことです。
そもそも、保有している株式は代用有価証券として「信用取引きの余力」に代用できますが、さらに「貸株金利にも貸出すことができるようになる」
ということです。
ワンポイントアドバイス! ~信用取引の余力~
信用取引は、あくまでも信用余力の範囲内で取引きができることは、分かっていただけたかと思います。
さて、普通に株式を買うことを「現物買い」。買った株式を売ることを「現物売り」といいます。
まさに、現物(株)をそのまま買ったり・売ったりします。
ところが、信用取引はそもそも証券会社から「信用」を供与されることでお金を借りて「買い建て」たり、株を借りて「売り建て」たりする取り引きです。
この信用が、「信用余力」です。
楽天証券より
- 新規建玉を建てることができる保証金(保証金現金、保証金代用、預り金)がある。
- 新規建玉を建てる時の保証金(保証金現金、保証金代用、預り金)が法定最低保証金である30万円以上である。
このように、保証金の最低限度である30万円を切らないように信用取引は運用しなくてはいけません。
それでは、信用貸株の「評価」はどのようにされるのでしょうか?
貸出し中の貸株は、80%相当額(銘柄により変更あり)を保証金とみなして信用取引の余力計算が行われます。
例えば、株式100万円+現金100万円=200万円を保有していたとします。
この場合、株式の80万円が貸株金利の余力としながら貸株金利を受け取ることができます。
→そもそも、代用有価証券は前日の終値の80%相当額が保証金として計算される。
ちなみに、普通なら貸株サービスでは証券会社が倒産してしまうと消滅してしまいますが、信用貸株では代用有価証券の評価額の担保金は楽天証券の資産とは区別して管理されています。
そのため、信用貸株の場合は仮に楽天証券が破綻したとしても、貸出中の株式等の代用相当評価額は返還されることになります。
もちろん、いつでも「売却」や「現渡し」もできます。
*現渡し:信用売り(空売り)を行っている場合、元々持っている同数の株を証券会社に引き渡して返済し、担保となっている売付け代金を受け取ること。
→手数料がかからない。
最後に
信用貸株は、保有している国内株式(現物)を代用有価証券として、信用取引の余力維持に活用しながら楽天証券に貸し出すことで、相応分の貸株金利が受け取れるサービスです。
なにより、貸株サービスとおなじで信用貸株として貸出したとしても、現物株の「株主優待」や「配当金」も受け取ることができます。
ただし、貸株サービスとは違い信用貸株で選択できるコースは「株主優待・予想有配優先コース」
のみとなります。
→貸株サービスの場合は、「金利優先」「株主優待優先」「株主優待・予想有配優先」の3つのコースから選ぶことができる。
「信用貸株」は名前だけ聞くと、「借りた株をまた証券会社に貸し出すの?」なんて意味不明な誤解を招きそうですが、あくまでも「信用用取引きの代用有価証券として利用している株式(自分が所有している代用有価証券)を、貸株に利用できることになった!」ということです。
とはいえ、信用取引で痛い目を見ている私としては、今後も「信用貸株」ではなく「貸株サービス」を利用していくつもりです。
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