2018年9月に発生した北海道胆振東部地震(ほっかいどういぶりとうぶじしん)において、日本で初めてブラックアウト(大規模停電)が発生していまいました。
ブラックアウトは、これからくると言われる「南海トラフ巨大地震」でも高確率で発生するとされています。
それでは、なぜブラックアウトが危険視されているのでしょうか?
今回は、「ブラックアウトが発生するとなにが起こるのか?」についてご紹介します。
電気のない世界
そもそも、普通に生活していて電気がない生活をしたことがある人は、どれくらいいるのでしょうか?
少なくとも、日本で住んでいれば震災など緊急事態でもなければ経験することはないでしょう。
つまり、多くの人がこれまで体験したことのない「電気のない世界」を、生き抜かなくてはいけなくなります。
とはいえ、自家発電やモバイルバッテリーなどがあるため、100%電気のない世界ということにはならないでしょう。
ですが、私達が普通の生活で使っているような電気の使い方は、間違いなくできなくなります。
それでは、北海道胆振東部地震では実際になにが起こったのでしょうか?
ブラックアウトでなにが起こったの?
そもそも、北海道胆振東部地震で発生した大規模停電の約99%は、約2日で復旧しています。
「かなり早い段階で復旧した!」と言えますが、さまざまな事態に襲われました。
病院の場合
地震発生直後から、道内376病院が停電。(その内、82病院で断水)
緊急事態は、*災害基幹病院であっても例外ではなく通常の救急対応ができない状況に陥りました。
救急車のみの受け入れなど、緊急対応を余儀なくされました
*災害基幹病院とは・・・
- 耐震耐火構造
- 資機材等の備蓄
- 応急収容に転用できる場所がある
- 近接地にヘリポートが確保できる
といった特徴があり、ひと言でいえば「災害に強い病院」です。
なにより、自家発電・応急用資機材・応急テントなどにより、外部からの補給が滞っても簡単には病院機能を喪失しない病院(自己完結できる病院)です。
そんな災害基幹病院でさえ、ブラックアウトにより救急車しか受け入れられない状態に陥りました。
→人工透析を受けている人や、ICUによる治療中の人にとっては、まさに綱渡りの状態でした。
交通機関の場合
JR北海道(北海道内の大動脈)は、前線で始発から全列車の運転を見合わせました。これにより、帰るに帰れない「帰宅難民」も発生。
電車だけでなく、路線バスも全線で運行を休止。
また、新千歳空港では停電の発生だけでなく、設備の破損やターミナルビルでの水漏れ被害などが多発し終日閉鎖となりました。
*信号も止まったため、警察官による手信号での誘導。
モバイルバッテリーなど、自家発電がある人は携帯などの充電はできましたが、それ以外の人は車のシガーソケットしか使えない状態に・・・
それでは、車離れが叫ばれる昨今、車もない人はどうしたのでしょう?
→北海道胆振東部地震の時は、小樽では「市役所」や「海上保安庁」・「携帯ショップ」が充電態勢をとっていたようです。
とはいえ、今後災害が発生した場合充電できる場所を提供してくれたとしても、やはり長蛇の列を待たなくてはいけないことが予想されます。
ただでさえ、物資を受け取るために長蛇の列を並ぶ必要があるのに、さらに充電のために並ぶというのは体力的にも精神的も大変でしょう。
なにより、充電できるまで動くことができません。
そのため、最低限充電できる準備はしておくべきでしょう。
ライフラインの場合
電話回線が繋がらなったという事態になったり、そもそもネット環境が成り立たなくなったりと混乱が生じたようです。
ネットが通じないスマホを持っていてもライトや、写真や動画を撮るぐらいしかできませんよね・・・
そのため、情報は車のラジオなどを使う必要がありました。
また、「停電と断水」はよくセットで言われますよね。
「戸建て」と「マンション」では、給水方式が違います。
- 戸建て住宅:一般的に市の水道本管からの水圧によって、水が直接給水される。
- マンション:マンションの給水方式の中でも、「直結直圧方式」と呼ばれるポンプを使わずに水道本管の水圧のみで給水する方式以外は、ポンプを電気で動かす必要があるため断水することになります。
つまり、マンションに住んでいる場合は電気だけでなく水も失う危険性が高くなります。
流通の場合
例えば・・・
①牛乳
停電により搾乳ができなくなり乳牛じしんも乳房炎にかかり死んだ乳牛までいたようです。
そして、通常の保存ができずまた、出荷もできない生乳は破棄されました。
②工場
工場が停電したことにより、例えば苫小牧市の「トヨタ自動車」「カルビー」「サッポロビール」など、工場が操業を停止する自体に陥りました。
→物流関係が全面的に遮断された影響で北海道内だけでなく、道内外間の物流が麻痺状態に陥り小売店の商品不足が深刻化。
最後に
ブラックアウトが起こるとなにが起こるのか?
今回ご紹介したものはほんの一部です。
しかも、約2日間の停電の場合です。
もしも、ブラックアウトが1週間など長期間に渡れば、被害はどうなるか予想もできません。
少なくとも、ネット・物流・医療機関・通信が奪われ、場合によっては水まで奪われる可能性があることも分かりました。
ネット環境がなくなれば、情報収集はできなくなります。
となれば、携帯できるラジオが必要になるでしょう。
スマホは充電が不安なため、ライトも単体で持っておく必要があるでしょう。
スマホがあれば何でもできますが、ネット環境がなくては価値は半減以下になります。
仮に、ネット環境が無事でも全てをスマホに頼ってしまえば、すぐに充電がなくなるでしょう。
なにより、スマホが水没や落として破損してしまえばなにもできなくなってしまいます・・・
今からでも、スマホだけに頼らない電気の確保を考えてみてはいかがでしょうか?
参考
一般社団法人 全国建物診断サービス
→https://zenshindan.com/column/nature/3310
NEWSポストセブン:首都圏ブラックアウト、その時「病院」で何が起きるか
→https://www.news-postseven.com/archives/20180921_766309.html
産経ニュース:北海道震度7地震
→https://www.sankei.com/premium/news/180917/prm1809170003-n1.html
Response:北海道大停電43時間、体験ドキュメント…電源確保&食料確保どうする?! 平成30年北海道胆振東部地震
→https://response.jp/article/2018/09/10/313821.html
池田市上下水道部
→http://www.ikedashi-suido.jp/oshirase/1538019692653.html
コメントを残す