避難所でこそ食物アレルギーを予防しよう! ~子どもの命を守る第一歩~

 

毎年のようにやってくる大災害。

台風・地震がその代表的なものですよね。

今年(2019年10月)も台風が2度に渡り大きな被害をもたらしました。

気象情報では、特別警報や大雨警戒レベルなど危険を知らせ、今回は一般レベルでも前もって対策がおこなわれていました。

それでもなお、想定外の雨量により甚大な被害がでてしまいました。

毎年のように災害が発生し、避難地域ともなれば避難場所に向かうことになります。

それでは、「避難先での食物アレルギー対策はどうなっているの?」と疑問に思ったことはありませんか?

今回は、そんな「避難所でできる食物アレルギー対策」についてご紹介します。

 

「食物アレルギー」ってそもそもなに?

食物アレルギーは、食べるだけではなく、触ったり、吸い込んだり、注射して体内に入った時も、じんましん・嘔吐・呼吸困難といった症状が引き起こされます。

つまり、多くの人にとって安全な食べ物であっても、アレルギーを持つ人にとっては毒になります。

そのため、いくら炊き出しで食事が準備されている状態であったとしても、アレルギーがある人にとっては怖くて、せっかく大変な中で準備して下さった食事を食べることができなくなります。

かといって、アレルギー食を自分で準備できる量には限界がありますよね。

→つまり、避難所でもアレルギーがある人が食べることができる食事を提供する必要がある。

 

食物アレルギーは少数派?

厚生労働省の発表では、50年以上も前の日本ではアレルギーはほとんどなかったようです。

ところが、現在では国民の3人に1人がなにかしらのアレルギーがあるとされています。

さらに、そもそも自分がなんのアレルギーであるかを理解していない人がたくさんいます。

このように、アレルギーは人ごとではなく「もしかしたら自分も?」と考えて行動した方が賢いと言えます。

というのも、いつも食べている食べ物であっても多量に食べたり運動が組み合わさることで発症することもあるため、緊急時の自身の体調管理は特に注意が必要になります。

*環境が変わることで、いつもと違う行動になりやすい。

 

食物アレルギーについては、こちらの記事でも紹介しています。

食物アレルギーで最重度の症状「アナフィラキシー」を知って下さい!

 

食物アレルギーの有病率は?

乳幼児の食物アレルギー対策に関する実態調査(平成27年2月)によると

  • 乳児:約5~10%
  • 幼児:約5%
  • 学童期以降:1.5~3%

と考えられています。

つまり、成長するにつれて食物アレルギーは減少していきます。

有病率は増加傾向にあると言われています。

Foundry / Pixabay

 

それでは、避難所ではどういった対応ができるのでしょうか?

①食品表示をしっかりする。

原因となる食物を摂取して2時間以内に症状が現れる「即時型食物アレルギー」という物があります。

特に、①卵②乳③小麦に関するアレルギーがある患者数が多いことが特徴です。

さらに、即時型食物アレルギーの中でも、④エビ⑤カニ⑥そば⑦ピーナッツは症状が重篤になりやすいため、そもそもこの7品目については加工品表示が義務化されています。

つまり、避難所であっても原材料の詳細を絶対に表示しなくてはいけません。

*なにを実際に入れたかを細かく書き出す必要がある。

 

③調理時の注意点

  1. 化学調味料などは使わない
  2. よく加熱する
  3. 小麦粉・牛乳の飛散、衣服や手を介した混入に注意
  4. 鍋やフライパンを使い回さない
  5. 食材を落としたままにしない(特に幼児は、落ちている物を触ったり食べたりする)
  6. 食事スペースや調理スペースを分ける

など様々な工夫がありますが、少量でも混入すれば命に関わる子ども達がいます。

 

②食物アレルギーであることを周囲に知らせる

アレルギーは、小さい子どもに多いことを先程お伝えしました。

さて、避難所では炊き出し以外にも、周囲の人からお菓子をもらうこともあるでしょう。

そんな時、子どもはもらったお菓子を食べてしまうかもしれません。

ですが、もしそのお菓子を食べたことでアナフィラキシーを引き起こした場合、お互いに取り返しが付かなくなります。

善意は確かに重要ですが、時として命の危険をはらみます。


そのため、子どもには「食物アレルギーを知らせる表示カード」「ビブスを着用」させるなど、外部に一目でわかるようにしておく必要があります。

→例えば、「卵と牛乳のアレルギーがあります」といった記載があれば、子どもであっても周囲にアレルギーがあることを知らせることができる。

 

今回は、食物アレルギーについてでしたが他にも様々な状況の人が避難してきます。

病気でなくとも、外国人との言葉の壁もあるかもしれません。

災害時は、想定外がつきものです。準備しすぎるということはありません。

 

最後に

食物アレルギーは皮膚症状(しんましんや発赤など)口腔内症状(口の中が痒い・イガイガするなど)といった軽い症状。

他にも、消化器症状(吐き気・嘔吐・下痢など)呼吸器症状(咳・呼吸困難など)などが引き起こされる場合など、その症状も進み方も様々です。

そのため、「食物アレルギーだから、必ずしもまったく食べられない」とは限りません。

そもそも、少しずつ量を増やして治していくという治療法(経口免疫療法)もあります。

つまり、食物アレルギーは本人や家族に確認しながら対応していくことが基本になります。

まずは、症状がないか自身の体調管理を日頃から確実におこなって下さいね。自身のアレルギーを知らなければ予防もできません。


参考

乳幼児の食物アレルギー対策に関する実態調査(平成27年2月)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000339703.pdf

認定特定非営利活動法人レスキューストックヤード
https://alle-net.com/wp2/wp-content/uploads/2018/04/4bc7918922f53a0a200594fe183c62eb.pdf

よく分かる食物アレルギー対応ガイドブック
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/pdf/archives_24514.pdf

保健指導の手引き
https://allergyportal.jp/wp/wp-content/themes/allergyportal/assets/pdf/tebiki-1_1.pdf

 

 

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