●この記事では、「水道管:水の通り道が破損すると・・・」についてお伝えしています。
前回、-4℃以下になると水道管が凍結・破裂する被害が多くなることをお伝えしました。
ただ、本当に怖いのは水道管が破裂した場合ではないでしょうか?
今回は、「水道管の破裂が引き起こす災害」についてご紹介します。
→「水道管の凍結・破裂」については、こちらの記事で紹介しています。
「水道管」ってそもそもなに!?
さて、そもそも水道管は「お風呂」・「洗濯」・「洗面所」など、私達が生活する場所に必要な水を送るための配管をまとめて水道管と呼んでいます。
まさに、「水の通り道」です。
そのため、当然ですが水道官が破裂すれば水がその部分から漏れてくることになります。
そんな水道管について、少しだけ触れておきます。
さまざまな水道管
「水道管」と一言でいっても、家の中にある配水管だけではありませんよね。
まずは、浄水場に原水を送る「導水管」。
そして、浄水場で作った綺麗な水を配水池におくる「送水管」。
さらに、配水管から家庭や工場などの給水管までを繋ぐ「配水管」。
最後に、配水管から分岐して蛇口までつなぐ「給水管」があります。
つまり・・・
- 水源の水は、「導水管」を通って浄水場へ。
- 浄水場の水は、「送水管」を通って配水池へ。
- 配水池の水は、「配水管」を通って家庭や工場などの給水管へ。
- 給水管を通って各家庭などの蛇口へ。
こういった長い道のりをかけて、「蛇口から水が出ることは当たり前」の環境になっています。
ただ、普通に考えたらこれを維持することは、当たり前ではないですよね・・・
というのも、そもそも日本の水道水は飲むことができます。
それだけの品質を保った水を当たり前のように24時間365日供給しているわけですから、世界的に見て珍しい国でもあります。
国土交通省が発表した「平成30年版 日本の水資源の現況について」によれば、「水が飲める国は日本も含めて9ヶ国」と紹介されています。(そのまま飲めるが注意が必要な国は21ヶ国)
ただ、そんな日本の水道管でも凍結・破裂は引き起こされてしまいます。
年末年始の札幌市では水道管の破裂が続発している!?
2020年~2021年にかけての年末年始で、44年ぶりの記録的な寒さの影響で5日連続で-10℃を下回った影響で、水道管が凍結し破裂する被害が急増していることが報道されていました。
そもそも、-4℃以下で水道管の凍結は増加していきますが、5日連続で-10℃を下回ったとなるとまさに想定外の出来事だったと言えるでしょう。
また、そもそも水道管が凍結すると水が氷になるときに体積が膨張(凍結膨張)してしまい、破裂する場合があります。
ちなみに、水の凍結膨張の圧力は、例えば土の中の水分が凍ることで地面が持ち上げられ、道路・鉄道・建物などにも深刻な影響を与えるほどの力があります。
→水は、4℃のときに体積が最も小さく、固体の氷になると体積が増える。
それでは、凍結膨張などなにかしらの理由で水道管が破裂するとなにが引き起こされるのでしょうか?
水道管の破裂で水漏れが・・・
水道管破裂による水漏れ
単純に、「水道管が破裂して・・・」と聞けば、部屋が水浸しになって周囲の物、特に電化製品などが壊れたり、その部屋での寝泊まりも難しくなったりといったことをイメージするのではないでしょうか?
確かに、水道管が破裂することで水漏れが引き起こされますが、必ずしも大量に水漏れが発生するとは限りません。
とはいえ、もしもトイレから水漏れした場合は、汚物が逆流してくることもあるためゾッとしますよね・・・
Clker-Free-Vector-Images / Pixabay
当然、家財にも被害が及べば補修費用が莫大になるかもしれません。
ただ、屋内の水漏れは目に見えますが、もしも屋外の水道管の場合は掘り起こして調査・修理する必要が出てきます。
大量の水漏れが発生したら?
あまり考えたくありませんが・・・
下の階にまで被害を及ぼしてしまうため、もしも「アパート」や「マンション」で発生すれば、莫大な補修費用が請求されてしまう可能もあります。
ちなみに、先程紹介した札幌で発生した水道管の破裂では、上の部屋で水道管が凍結し元栓を閉めるまで6時間以上大量の水が天井から流れる被害も報告されています。
とはいえ、必ずしも「水漏れ被害」だけが水道管破裂の影響ではありません。
水道管の破裂で「断水」?
例えば、2018年では新潟県佐渡市で40%以上が断水。自衛隊に派遣要請して給水してもらう事態にまで陥ってしまいました。
さらに言えば、断水解消までに6日間もかかりました。
それでは、どうして水道管の破裂で断水になってしまったのでしょうか?
水道管が破裂していない地域まで断水!?
水道管の破裂と断水は、なかなか結びつかないかもしれません。
ですが、冒頭でお伝えしたように、そもそも蛇口を捻って水がでるのは配水池に水があるからですよね。
実は、当時水道管の「凍結・破裂」のため、あちこちで水道が漏れっぱなしになる状態に陥りました。
つまり、配水池の水がどんどん減り続ける状況になりました。
その結果、水漏れが激しい区域を断水しなくてはいけなくなりました。
そのため、「そもそも水道管に被害がなかった家も断水」ということが引き起こされました。
→水道管の断水を放置すると、近所を巻き込んでいく。
ちなみに、こういった断水は珍しいことではありません。
厚生労働省によれば、2018年の1月~2月にかけての寒波で、10の県で3万5千戸の断水が発生していました。
最後に
水道管の破裂は、早急に対応しないと関係のない近所も巻き込んで被害が拡大していきます。
ところで、断水はどこの地域が多いと思いますか?
普通に考えれば、「水道管の凍結・破裂は北の地域に集中する?」と考えるのではないでしょうか?
ところが、実際は対策ができている北の地域ではなく、南の地域の被害が大きくなる傾向があります。
というのも、北国ではそもそも凍結を防ぐために「水抜き栓」が取付けられていて、凍結の原因となる家の中の水を抜くことができるようになっています。
さて、水道管の破裂は、「凍結・老朽化・地震」が主な原因です。
ただ、凍結に関しては天気予報を見れば対策ができます。
例えば、「屋外に水道管があれば保温材などでカバー」・「水道メーターのボックスに袋詰めした発砲スチロールを入れる」などして、保温する対策ができます。
ちなみに、夜中に水道を「チョロチョロ出しておく」というのも1つの対策になります。
ただ、今年のような厳しい冷え込みは上記のような対策が必要になりますのでご注意下さい。
参考
いわき市:水道施設の役割おしえて!!〈その2〉
→http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000002110/simple/suido-iwaki54_P4.pdf
NHK:「どう防ぐ? 冬の水道管破裂」(くらし☆解説)
→https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/312832.html
NGKサイエンスサイト:やっかいな凍結膨張のチカラを有効利用
→https://site.ngk.co.jp/lab/no203/know.html
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