マイナンバーカードと旧姓表記 ~やっとできた身分証明書!~

 

皆さんは、住民票やマイナンバーカードに戸籍名と並んで旧姓を併記できる制度が、2019年11月5日から始まったことをご存じでしょうか?

政府の狙いとしては、女性活躍推進策の一環のようです。

今回は、新しくできるようになった「旧姓併記」についてご紹介します。

 

旧姓表記で何が変わるの?

住民基本台帳法施行規則等の一部を改正する省令により、「婚姻等で氏(うじ)に変更があっても、従来称してきた氏をマイナンバーカード等に併記することで、公証とすることができる」ようにやっとなりました。

つまり、「結婚する前に名乗っていた性(過去の戸籍上の氏)を住民票やマイナンバーに併記することができるようになりましたよ~」

ということです。

「旧姓が存在する」ということはほとんどの場合、結婚して氏が変わる「女性」ですよね。

男女雇用機会均等法が1985年に成立してから、30年以上が経過してやっと女性に対する差別が一つなくなったといえるかもしれません。

ただし、マイナンバー等に旧氏を表記させるためには「請求手続き」が必要となります。

 

豆知識!

《名前の改名は家庭裁判所》

そもそも、正当な事由によって戸籍の「名」を変更するには、家庭裁判所の許可が必要になります。

つまり、家庭裁判所へ「名の変更許可の申立書」を提出する必要があります。

  • 奇妙な名である
  • 難しくて正確に読まれない
  • 同姓同名者がいて不便
  • 異性とまぎらわしい
  • 外国人とまぎらわしい
  • 神官・僧侶となった(やめた)
  • 通称として長年使用した
  • その他

これら8項目が、申し立ての理由として挙げられています。

→やむを得ない事情(氏の変更をしないとその人の社会生活に著しい支障をきたすこと)がある場合。

OpenIcons / Pixabay

 

請求手続きの流れとは?

1.旧氏が記載された「戸籍謄本等」を準備

  • 戸籍謄本等は、本籍地の市区町村に直接請求
  • 郵送で請求
  • マイナンバーカードをすでに持っている場合は、コンビニで発行可能

→マイナンバーカードを利用したコンビニ交付については、次回の記事でご紹介します。

 

2.現在、住んでいる市区町村に請求手続きを行う。

  • 戸籍謄本等+マイナンバーカード(通知カード)を持参。

*マイナンバーカード等に旧氏が併記されます。

 

具体的にどんな手続きに使えるの?

  • 銀行座の開設
  • 名義変更
  • 生命保険
  • 携帯電話

など、さまざまな契約を行うときに、これまでは戸籍関係の書類を提出しなくてはいけませんでした。

また、転職先などで旧姓のまま仕事をしたい人の本人確認にも使うことができます。


つまり、これまでは手続きのたびに戸籍関係の書類を提示する必要がありました。

書類が必要になるたびに、役所で書類をもらうために時間をかけていく必要がありましたが、その必要がなくなることになります。

*正確には、マイナンバーなどに併記する手続きの一回だけで、その後はマイナンバーカードを提示するだけよくなります。(マイナンバーは、定期的に更新手続きが必要)

rawpixel / Pixabay

 

旧氏併記の注意事項!

1⃣通知カードのみ(マイナンバーカードを持っていない)でも、旧氏を併記することができます。

  • 併記を希望した上で、マイナンバーカードを申請することで旧姓が表記されたカードが交付される。
  • すでにマイナンバーカードを持っていれば、追記欄に旧姓が追記される。

 

2⃣旧姓を初めて併記する時は、本人の戸籍謄本等に記載されている過去の過去の氏の中から1つを選びます。

  • マイナンバーカードまたは通知カードを合わせて提出し、同時に併記する必要がある。
  • 引っ越しにより他の市町村へ転入した場合は、住民票等に併記されている旧姓は引き継がれる。

 

3⃣請求すれば、氏の変更の直前に戸籍に記載されていた「氏」に変更できます。

  • 既に住民票等に併記されている旧姓は、氏が変わっても引き続き併記される。

 

4⃣旧姓は削除することができます。

  • 必要がなくなれば、旧姓を削除することができる。
  • 削除した場合は、氏が変更したときに限り削除後に新たに生じた旧姓の中から1つを選んで再併記できる。

 

5⃣旧姓を併記したい場合は、「現在の氏が記載された戸籍謄本」+「旧姓が記載された戸籍謄本」が必要になります。

*住民票は、旧姓は氏名と合わせて公証されるため、一方のみを表示することはできません。

 

最後に

これまで、携帯できる旧姓表示ができるものはありませんでした。

身分証明として使えるものといえば、運転免許証が代表的なものでしたよね。

その後、マイナンバーカードにより免許証がなくとも、身分証明ができるようになりました。

通知カードは、マイナンバー(個人番号)の確認のみで身分証明書として利用はできません

 

マイナンバー利用は、これからも少しずつ進められていくでしょう。

ただ、どうしても時間がかかってしまうようです。

個人的には、マイナンバーカードを使うことで確定申告の必要がなくなると嬉しいのですが・・・

マイナンバーの有効利用は、まだまだ時間がかかりそうです。


参考

裁判所
http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_20/index.html

総務省
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/kyuuji.html

yahooニュース:住民票、番号カード旧姓併記=女性活躍推進、5日から可能に
https://news.yahoo.co.jp/

内閣府
https://www.cao.go.jp/bangouseido/case/business/id.html

 

 

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