寸借詐欺は歩いていたら突然に! 私の失敗談・・・

 

皆さんは、寸借詐欺(すんしゃくさぎ)という昔からある詐欺の手口をご存じでしょうか?

今となっては分からないのですが、私もこの寸借詐欺と思われる体験をしています。

今回は、「道を歩いたら呼び止められる寸借詐欺」についてご紹介します。

 

こんな体験をしました・・・

当時、私は居宅介護支援事業所(要介護の高齢者が対象)で、1年目のケアマネでした。

利用者さんの自宅へ定期訪問(毎月1回訪問しないといけない)のため、近くの駐輪場にある原付を取りに行く最中でした。

いつも通り道を歩いていると、突然50~60代くらいの女性が突然話しかけてこられました。

話しを聞くと、「電車賃がないので300円貸して頂けませんか?」ということだったので、急いでいたこともありその女性に渡しました。

ところが、「あと1,000円必要」とさらに金銭を要求されました。

1000円を渡してしまうと、私のお昼代がなくなってしまうため、無理なことを伝えてその場を離れて利用者さんの訪問へ向かいました。

あれから、「警察に相談するように伝えればよかったか?」と思ったりもしましたが、すでにすんだことですのでどうにもなりません・・・

ケアマネという仕事上、何かしら対策ができたはずでしたが当時の私にはなにもできませんでした。

この時に、「ケアマネもピンキリだな・・・」と思い知らせれた出来事でもあります。

自分の経験になったので、これはこれでよかったのですが実はこれは「寸借詐欺だったかもしれない!?」と今さらですが思い返しています。

 

「寸借詐欺」ってそもそもなに?

「寸借」というのは、読んで字のごとくちょっとだけ借りることです。

つまり、相手を騙してちょっとだけお金を騙し取る詐欺の手法です。

騙すわけですから、「財布を落とした」・「交通費を忘れた」・「カツアゲされた」など、何でもいいので嘘を言ってお金を相手から騙しとる行為になります。

→特に、災害時などは「被災地にいる家族い会いに行きたいが旅費がない」などといった話しで、騙す手口が横行しやすい。

そして、被害額は高くても数千円~数万円程度です。

数万円が少額とは思いませんし、当時はまだ結婚しておらず1万円はその月のお昼代が吹っ飛んでしまう金額のため、こんな金額は個人的にはそもそも渡せませんが・・・

ただ、私の場合は渡した金額が最終的に300円(その日のお昼代・・・)でしたが、仮に数千円だったとしても、「警察に被害届を出そう!」と、普通は思わないのはないでしょうか?

さて、少額とはいえ「寸借詐欺」という名前にあるように、騙しているわけですから「詐欺」であることに間違いはありません。

ただ、この詐欺の手口は、詐欺罪として証明することが難しい現実があります。

 

詐欺なのに証明ができない?

そもそも被害届が少ない!

冒頭でもお伝えしているように、「寸借詐欺だった?」と、私も確信が持てずにこの記事を書いています。

そうなんです。騙すつもりで借りているのかどうかは、お金を借りたいと言っている本人にしか分からないのです。

また、仮に私が警察に行っていたとしても、相手の顔も住所も分かりませんし、そもそも自分がお金を貸した証拠もありません。つまり、この出来事があったことすら当人同士にしか分かりません。

早い話、私の体験があったことを証明しようがないわけです。

そして、そもそも少額ですので被害届を出す人は少ないのですが・・・

というより、私の時がそうでしたが、はじめから返してもらうことは考えていませんでした。

→金額や事情によって違うかもしれませんが、多くの場合お金を「貸している」のではなく、困っているのならと、最初から「あげるつもり」で渡しているのではないでしょうか?

こういった事情からそもそも被害届が出されることは、少なくなっています。

 

詐欺を証明するには?

ところで、皆さんは「詐欺」が法律でどのように規定されているかご存じでしょうか?

刑法第246条

  1. 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
  2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

民法第96条

  1. 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
  2. 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
  3. 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

つまり、詐欺行為には「私人間で争われる民事訴訟」「刑事罰を科すかどうかを判断する刑事訴訟」があります。

→民法上の「詐欺」と、刑事上の「詐欺罪」に分かれるため、どちらか一方または、この両方から訴えられることになる。

刑法は「罰」・民法は「賠償」が主な目的になります。

 

 

ワンポイントアドバイス!~「刑法」と「民法」では詐欺の成立要件が違う!?~

 

◎刑事裁判の詐欺を成立させる4つの要件◎

  1. 人を騙したり・嘘をついたりする
  2. 騙した被害者に勘違いをさせる
  3. 被害者が財産を渡す
  4. 加害者が被害者の財産をうけとる

刑法では、この4つの要件が全て認められなくてはいけません。

ただ、冒頭でお伝えしたように最初からだまずつもりがあったかどうかを証明することは、本人にしかできません。

そのため、「返すつもりだった!」と言われれば、同じような犯行を繰り返していたなど、それを覆す証拠が必要になります。

ちなみに、4つの要件を見れば分かるように、詐欺行為にひっかからなかった場合は詐欺になりません。

 

 

◎民事訴訟の詐欺が成立する要件とは?◎

  • 契約内容
  • 経緯
  • 代金の請求ステップ

など、様々な視点から精査されていきます。

「契約の際に騙されていないか?」・「勘違いした契約ではないか?」・「契約の内容やプロセスに法律違反はないか?」などが、検証されることになります。

こういった点を確認して、契約の「無効」や「取り消し」を主張していくことになります。

こういった証拠を集めたり弁護士に相談することになるため、寸借詐欺で民事訴訟する人はそれほど多くないのではないでしょうか・・・

 

最後に

これまでも紹介してきましたが、「フィッシング詐欺」や「持続化給付金を装った詐欺」など、「詐欺」と一言でいっても様々な種類があります。

 

フィッシング詐欺についてはこちらの記事で紹介しています。

フィッシングに悪用されやすいブランドとは!?

 

「持続化給付金に関連する詐欺」については、こちらの記事で紹介しています。

持続化給付金が詐欺の温床に・・・ 不正受給者は犯罪者?被害者?

ただ、「寸借詐欺」は直接相手からその場で金銭を要求されるため、その場で判断する必要があります。

詐欺師からしても、少なくとも顔はばれるため「証拠を残さないようにその場から早く立ち去りたい!」と考えるのではないでしょうか?

基本的な対策としては、お金を渡さないことが唯一の方法だと言えるでしょう。

もしも、お金を返してもらうつもりで貸すのなら、相手が伝えてきた連絡先をその場で確認することも挙げられます。

ただ、繋がらなかった場合、相手から危害が加えられる可能性も0ではありません。

ということで、どうしてもの時は「公衆接遇弁償費」(警察でお金を借りられる)という制度を伝えて、その場から立ち去ることが安全な方法の1つと言えるでしょう。

「公衆接遇弁償費」については、次回ご紹介します。

*ちなみに、詐欺罪の時効は詐欺行為から7年。重い罪になるため、例えばSNSなどで「アルバイト」と称してあったとしても、絶対にのってはいけません。


参考

日本初の集団訴訟プラットフォーム
http://enjin-classaction.com/column/detail/?columnId=932&category=scam#js-indexPoint2

あなたの弁護士
https://yourbengo.jp/shohisha/18/

 

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