以前、持続化給付金についてご紹介しました。
持続化給付金というのは・・・
「新型コロナウイルスの感染拡大により、1か月の売上高が昨年比で半分以上減った中小企業やフリーランスを含む個人事業主が対象になる給付金」のことです。
今回は、「不正受給が止まらない持続化給金」についてご紹介します。
→「持続化給付金」については、こちらの記事で紹介しています。
そもそも不正受給は簡単にできてしまうの?
必要な書類は3つだけ!
- 確定申告書類
- 2020年の対象となる月の売上台帳等
- 通帳の写し
そもそも、私のような個人事業主なら必ず確定申告は行っているため、その書類をもとに必要書類に入力するだけですので、パソコンなどが使えれば個人でも簡単に申請することができます。
つまり、普通は「持続化給金の不正受給」と聞けば・・・
- 売上の計上を意図的に先送りして一月の売上高を半分以下にする。
- 経営者が法人・フリーランスとして二重に申請する。
など、事業を実施している人が、「数値をごまかしたり」・「二重に申請したり」といった方法が考えられます。当然、バレるので後で大変なことになります。
ちなみに、読売新聞によれば経済産業省は・・・
不正を発見した場合、不正受給した額に年3%の延滞金を加え、その合計額の20%を加えた額を返金させる。さらに悪質な場合には刑事告発の可能性もある。
と、示唆しています。
ところが、この不正受給をしている人達は、そもそも事業をしてない学生やフリーター、無職、専業主婦、会社員まで存在しています。
市が注意喚起を出すほどの事態になっている!?
例えば、泉大津市ではこんな注意喚起が出されています。
SNSを通じて「会社員でも申請すれば持続化給付金をもらえる。申請手続きは代行する。」と勧誘され申請手続きの代行を依頼した。給付金が振り込まれ、申請代行手数料として数十万円請求された。
当然、これは詐欺に当たります。
→持続化給付金の額は、中小法人等:200万円・個人事業主:100万円
個人が申請するわけですから、個人事業主として不正受給をするため上限は100万円です。例えば、会社員が個人事業主になりすまして100万円を国からだまし取ることになります。
実際、泉大津市が注意喚起しなければいけない状況になっています。それでは、どんな罪になるのでしょうか?
詐欺罪が成立する!?
そもそも不正受給については、持続化給付金給付規程により定められています。
不正受給(偽りその他不正の行為(詐欺、脅迫、贈賄その他の刑法(明治40年法律第45号)各本条
に規定するものをいう。)に触れる行為のほか、刑法上の犯罪を構成するに至らない場合であっても、故意に基本情報等に虚偽の記入を行い又は偽りの証明を行うことより、本来受けることができない給付金を受け、又は受けようとすることをいう。ただし、基本情報等に事実に反する内容の記入があった場合であっても、これが故意によらないものと認められるときは不正受給には該当しないものとする。以下同じ。)等が発覚した場合には、第10条の規定に従い給付金の返還等を行うこと
つまり、「故意であるかどうか」がポイント
になります。
ただ、そもそも受給資格がない人が申請している時点で、「故意ではなかった!」と主張しても通るとは考えにくいと思うのですが、それを決めるのは裁判所です。
そのため、ここからは「不正受給をした場合どうなるのか?」について紹介します。
そもそも受給資格がない!
持続化給付金の受給資格がある人は、「1か月の売上高が昨年比で半分以上減った中小企業やフリーランスを含む個人事業主が対象」
です。
つまり、そもそも事業をしていない人達は対象者になっていません。早い話し、事業をしていないわけですから基準となる「前年比」がそもそも存在しません。
そのため、書類も全て「嘘」の確定申告書や帳簿が必要になることになります。
→「嘘の対象者」として「嘘の申請書類」を提出をして、国から100万円をだまし取るわけですから、誰が見ても詐欺罪が成立しそうですが、逆に「故意じゃなかった!」と証明する方が難しいのではないでしょうか?
*詐欺罪は、10年以下の懲役。
すでに逮捕者が出ている!
実際、2020年7月22日には全国初、山梨県警が埼玉県在住の大学生を持続化給付金に関わる詐欺の疑いで逮捕しています。
ただ、そもそも大学生がこれまで確定申告をしたことがあったのでしょうか?
仮に、あったとしても偽造書類を作ることができるのでしょうか?
それでは、「申請代行」が行われていればどうでしょうか?
申請代行業者も罪に問われる!
例えば、なにも知らない申請代行業者に依頼して、その依頼した業者がだましとったお金を受け取った場合、その業者は詐欺罪の共犯者となります。
なぜなら、そもそも詐欺でだまし取ったお金ですので、報酬から手数料を業者に支払うわけですから、「分け前の分配」となってしまいます。
今、問題になっているのは「申請代行を名乗る人間からSNSで不正受給の誘い」についてですが、このように申請代行業者が騙される可能性もあるでしょう。
とはいえ、どこまでいっても不正受給は申請者のトカゲの尻尾切りのようです・・・
不正受給で得をするのは誰?
泉大津市の注意喚起のように、「申請代行手数料として数十万円請求された。」とあります。
→そもそも、手数料の報酬額の相場は高くても10万円以下と指摘されています。
申請者は、先程紹介した大学生のように最悪、逮捕されることになりますが、申請者は特殊詐欺でいう所の「出し子」に当たると考えられています。
そして、高額の手数料は組織の上層部に流れていく仕組みになっていることが予想されます。
ちなみに・・・
偽の確定申告書を作って代行業務をしていた男らも逮捕されており、100人の名義を使って、不正受給の手助けを行っていました。
という報道もあり、逮捕された代行業務をおこなっていた男性が元締めなのか、さらに利益をどこかに送金しているのかで組織の全容が変わってきます。
いったい、どこまでがトカゲの尻尾切りなのか分かりません・・・
この事件だけみても、「100万円✕100人=1億円」の不正受給があったことになるため、私達の税金が湯水のごとく搾取され続けていることが分かります。
ちなみに、手数料を40万円とすれば、40万円✕100人なら詐欺師からすれば4,000万円の儲けとなるため、これほど簡単な詐欺はないのかもしれません。(不正受給した人達から数十万円をだまし取っている)
チェック機能はないの!?
そもそも、「命を繋げるための給付金」ですのでかなり簡素化されており、書類はオンラインで申請して終わりです。
本来なら「開業届」を出しているかなど、マイナンバーを確認すれば事業の実態についても確認することができそうですが、詐欺が横行しているためそういった機能はないのかもしれません。
20代前後が騙されやすい!
詐欺に加担してしまった人は、SNS等を通じて20代前後が最も多いようです。
ただ、大学生が逮捕されてからは、中小企業庁には「私も不正受給した。逮捕を知って怖くなった。返金したい」といった連絡が増えているようです。
ちなみに、不正受給の方法として持続化給付金という名前を隠して、業者が「補助金」としている場合もあるようです。
とはいえ、不正受給による調査は進められているため、今後は逮捕者が続出するでしょう。
→大学生が加担しているとなると、自分の子どもが逮捕される可能性もあるかもしれません・・・
*今回の詐欺事件で不正受給をした人達は、犯罪者でもあり被害者。
最後に
SNSはとても便利なツールですが、SNS世代の逮捕が進んでいることが現状のようです。ただし、持続化給付金による不正受給はSNS犯罪のたった一例に過ぎません。
国民生活センターでは、「友人から不正受給の誘いがくる」なんてことまで注意喚起としてあげられています。
かといって、親の世代はまだまだSNSに慣れていない人が多く、子どもに正しい使い方を教えられる親はどれくらいいるでしょうか?
となれば、SNSについて教える場所は学校となりますが、コロナの影響により授業が遅れ夏休みが短縮されている状況です。
そのため、なんの対策もできずに無知な状態で、子ども達を含めて多くの人達が今後も騙される人が後を絶たないことが予想されます。
ただ、今回の場合は「無知=人生終了」になりかねません。
「おかしい?」と思ったら、まずは自分で調べて自衛するしか方法がありません。くれぐれも安易に都合のいいように解釈しないようにご注意下さい。
→消費者ホットライン「188」番
参考
刑事事件 弁護士|弁護士法人 法律事務所オーセンス
→https://keiji.authense.jp/legal-essay/essay-88.html
Yahoo ニュース!:騙した者はダマされる。持続化給付金詐欺に仕掛けられた二重の罠。真の狙いとは!?
→https://news.yahoo.co.jp/byline/tadafumiaki/20200822-00194472/
読売新聞:給付金不正受給を「返金したい」、大学生逮捕から連絡相次ぐ…「怖くなった」
→https://www.yomiuri.co.jp/national/20200811-OYT1T50326/
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