原因不明の舌の痛み? 「焼ける」ような痛みはありませんか?

 

この記事では、「バーニングマウス症候群と舌痛症」について紹介しています。

 

コロナにより人と話さないことで、口にも悪影響が出ることが話題になっていますよね。

その病気というのが、「バーニングマウス症候群」です。

解決法の1つに、よく話す・よく噛むといった方法で「唾液を出す」ことが予防の1つになるようです。

今回は、「バーニングマウス症候群で痛みや味覚障害?」について紹介します。

 

口の中に異常が発生!?

ただでさえ、コロナの症状の1つに味覚障害が挙げられているのに、突然味覚が分からなくなったらあなたはどうしますか?

「隔離?PCR検査?連絡先は?仕事は?子どもは?」と、先々のことを考えると不安になりますよね・・・

ですが、大前提としてコロナのような症状が引き起こされる病気は私達の身の回りに溢れています。

今回紹介する「バーニングマウス症候群」も、コロナと同じような症状を引き起こす病気の1つと考える必要があります。

それでは、「バーニングマウス症候群」とはどういった病気なのでしょうか?

 

バーニングマウス症候群とは?

バーニングマウス症候群は、「Burning Mouth Syndrome」で、BMSと略されます。直訳すれば、「口が焼ける症候群」。

まるで、火傷のような名前が付いています。

日本語でも、「口腔灼熱症候群」というとても熱そうな名前が付けられています。

というのも、この病気は持続性で焼けるような「ヒリヒリ・カーッ」とした痛みがあるためです。(刺すような「チクチク・ズキズキ」と表現されることもある)

 

 

「バーニングマウス症候群」と「舌痛症」

さて、「Burning Mouth Syndrome」でgoogle翻訳すると、「舌痛症」と訳されます。

残念ながら、どちらも病気の原因はよく分かっていないのですが、そもそも、日本では舌に痛みがある病気を「舌痛症(舌の痛みを訴える疾患)」としている場合が多いです。

ただし、海外では「舌痛症はバーニングマウス症候群の1つの症状」BMSとされています。

そして、原因不明であるために解釈もいくつかあります。

  1. バーニングマウス症候群の一つに舌痛症がある。
  2. バーニングマウス症候群と舌痛症は別の病気。
  3. 舌痛症という病気はなく、舌の痛みはバーニングマウス症候群。

こういった仮設が立てられています。


そもそも、国際頭痛分類第3版にでは舌痛症について、このように定義されています。

「口の中のヒリヒリ、カーッとした痛みまたはピリピリした不快な異常感覚が、1日に2時間以上で3カ月舌 病気以上にわたって連日繰り返すもので、臨床的に明らかな原因疾患を認めない病態」

一方、「バーニングマウス症候群」では、この「舌痛症」と同じ痛みが口の中に広範囲に生じてしまいます。

そのため、仮設の1つとして「舌痛症はバーニングマウス症候群の一症型」と考えられています。

なんにしても、確かにそこに症状があり苦しんでいる人がいるため、少しずつ研究が進められている段階のまだ未知の部分が多い病気。

それが、「バーニングマウス症候群」です。

それでは、どういった特徴があるのでしょうか?

 

バーニングマウス症候群の特徴は?

バーニングマウス症候群の症状は・・・

  • 口腔の灼熱感
  • 乾燥感
  • 不快感
  • 味覚の変化
  • 医学的・歯学的に明白な原因がない。

といった症状があり、なにより持続的に苦痛が長期間、続いてしまう特徴があります。

それでは、「舌痛症と同じ痛み」とはなんなのでしょうか?

 

舌痛症の痛みとは?

舌痛症の痛みは重篤で、仕事ができなくなるほどの痛みのため日常生活にも障害がでてきます。

そんな痛みが、起床時から就寝時まで続くことになります。(「痛みで眠れない」・「目が覚める」ということはない)

そして、その痛みには波があります。

 

 

痛みの部位は・・・

  • 舌の先端~その脇にかけて(舌の上の場合もある)
  • 歯肉
  • 口蓋

と、なっています。

そして、最も特徴的な症状は食事中の方が痛みが楽になるため、「無意識にガムを噛んでいる」という人が多いことです。

jureeq / Pixabay

 

治療法は対処療法が中心となるため・・・

  • 不安などの精神状態に対する薬剤
  • 唾液の産生を増やす薬剤
  • 保護層、口の表面に塗布する治療薬

など、多くの治療法があります。

つまり、「歯科」だけでは治療が難しいため、「精神科」や「産婦人科」などさまざまな医療機関との連携が必要になります。

 

研究は少しずつ進んでいる!

そもそも、日本では医療機関関係者であっても、ほとんど知られていなかった病気でした。

世界では2000年以降、関心が高まり研究論文も急増しています。

それでは、どこまで分かっているのでしょうか?

 

Burning Mouth Syndrome (BMS) に関する臨床的研究

「Burning Mouth Syndrome (BMS) に関する臨床的研究」では、発症しやすい更年期以降の女性に焦点を当てて、加齢変化との関連が研究されました。

  • 患者を更年期以前 (42歳未満)
  • 更年期 (42~56歳)
  • 移行期 (57~64歳)
  • 老年期 (65歳以上)

各年齢に分類して調査されました。その結果、以下のことが分かりました。

1. 老年期BMS患者では, 合併疾患数, 服用薬物数が多く, また不安や抑うっなどの心身医学的要因, 癌恐怖, 口腔乾燥症, 歯科的要因など, BMSと関連する問題点が高頻度に認められた。

2. 一方、更年期BMSの患者ではBMSと関連する要因の出現頻度は少なく, 逆に明らかな原因が特定できない患者が多数を占めた。

3. 老年期のBMSは, 種々の原因が積み重なって発症する複合型と考えられたが, 個々の患者における発症要因を明確にし, 適切な治療法の選択を行うことで, 治療の効率化が可能となった。

つまり、42~56歳の更年期では明らかな原因が特定できませんでしたが、65歳以上の老年期ではバーニングマウス症候群と関連する原因が積み重なっていることが分かりました。

なにより、老年期のバーニングマウス症候群では、個々の症状を把握し治療することで効率的に対処することができていたことが報告されています。

このように、バーニングマウス症候群は発症要因を明確にすることができれば、効率的な治療ができることが分かっています。

 

最後に

バーニングマウス症候群は、まだまだ不明な点が多い病気です。

ただ、その痛みがあるにも関わらずこれまで「異常なし」・「気のせい」で治療?

が終了していた疾患でもあります。

それが、テレビで取り沙汰されるようになったことで、日本でも少しずつ認知が広がっていくかもしれません。

 

コロナ禍では、これまで自分とはあまり関係なかった病気になる可能性がある1つの事例が、バーニングマウス症候群です。

「病気」と一言でいっても、見た目に分からない症状から、一目で分かるものまでさまざまです。

「体調がおかしい?」と感じたら、少しでも休める環境を整える必要があります。コロナ禍という時勢もあるため、悪化しないようにご注意下さい。


参考

砂町北歯科
https://sunamachikitashika.com/blog_articles/category/innchoublog/?paginate=3

コクラン:口腔内灼熱症候群の治療介入
https://www.cochrane.org/ja/CD002779/ORAL_kou-qiang-nei-zhuo-re-zheng-hou-qun-nozhi-liao-jie-ru

横浜・中川駅前歯科クリニック:口腔灼熱症候群(バーニングマウス症候群)
http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-346-10.html

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です