新型コロナウイルスに対する自衛隊病院の成果が、ようやくテレビでも報道されるようになってきました。
その一方で、院内感染により閉鎖される病院も取り沙汰されています。
ですが、新型コロナウイルスの診断は難しい状態が続いています。そのため、誰が感染しているか分からず、拡がってしまいます。
それでは、そもそも発熱などは院外で受診することができればいいと思いませんか?
今回は、設置が進められている「発熱外来テント」についてご紹介します。
*TSP太陽株式会社が提供を開始した発熱外来テントについてみていきます。
→自衛隊病院については、こちらの記事で紹介しています。
そもそも、「TSP太陽株式会社」ってどんな会社なの?
初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれませんが、一言でいえば「イベント会社」です。
例えば、フードフェスやスポーツ、博覧会など様々なイベントを実施してきた1922年創業(約100年)のまさに老舗の会社です。
さて、イベントと言えば当然仮設テントの設置も必要となります。つまり、テントに関してもこれまでのノウハウが生かされることになりました。
ちなみに、東日本大震災では海上輸送コンテナを用いた女川町の集合仮設住宅の建設工事・外構工事・受水槽・浄水槽工事・集会場建築工事等も担当されています。
このように、震災時の支援も実際にされている会社でもあります。
それでは、そんなTSP太陽株式会社が提供している「発熱外来テント」は、どういった物なのでしょうか?
そもそも「発熱外来テント」ってなに?
発熱外来テントというのは、仮設医療テントの1つです。
仮設医療テントと言えば、日本では、震災時に設置される救護所のイメージが強いのではないでしょうか?
大きな違いは、例えば震災時は外傷や病気などの処置が中心となりますが、今回は感染症です。つまり、感染防止に重きが置かれることになります。
それでは、「発熱外来テント」は新型コロナウイルス対応にどのような効果が期待されているのでしょうか
大きな特徴とは?
- 通常診療と分けて、駐車場等から直接対応可能
- 設置場所や用途に合わせて、テントのサイズ・レイアウトを柔軟に変更できる
- 設置が簡単なため、緊急時もすぐに利用できる
- 「仮設」にも関わらず、1ヶ月以上の長期設置を想定している
どうして、レイアウトが柔軟に変更できるの?
テントの特徴は?
ピッコロ
軽量でコンパクトなため、簡易性・耐久性・多目的性・多機能性に優れたテント。
緊急対応に備え、敷地やスペースに応じて開口を4mと6mに変更でき、奥行き方向に3mづつ伸縮、延長が可能。
エアクラッド
膜材を2重膜にして空気層を作り出すことで空調効率を上げ、外気温の変化に対する影響が軽減できる。
テントと言えば、運動会やお祭りなどで使われる「パイプテント」をイメージする人が多いかもしれませんが、医療用テントを使用すれば隔離することもできます。
さらに、この発熱外来テントは「陰圧式医療用テント」でもあります。
陰圧式医療用テント?
「陰圧」と「陽圧」については、以前新型コロナウイルス対策としてホンダが提供している「感染者搬送車両」についての記事で紹介していますが、「陰圧」とは外部より気圧を下げることです。
つまり、陰圧にすることで診療を受ける患者さんが持ち込んだウイルスなどが外部に拡散することを防ぐことができます。
もちろん、このままではどんどんテント内にウイルスが滞留してしまうことになるため、テント内では空気の流れを作ることで換気をおこない、医療従事者が感染しにくい環境作りもなされています。
→「陰圧・陽圧」については、こちらの記事で紹介しています。
新型コロナウイルスに限ったことではないですが、感染症は周りに感染させないことが重要になります。
- 診察などの対応に、「導線」や「空間」を区切る
- 頻繁な換気(高性能排気システムが必要)
つまり、発熱外来テントを設置するなら、内部の空気を安全に外部に排出することができる「陰圧式医療用テント」は、感染症対策に必要不可欠となります。
ここで、少しまとめます。
「発熱外来テント」は、医療用の仮設テントのこと。ただし、今回は感染症対策のため感染を広げないため、できれば陰圧式の医療用テントを設置する必要があるということになります。
そして、新型コロナ対策のためにその「陰圧式医療用テント」の提供を開始しているのが、今回紹介したTSP太陽株式会社です。
ちなみに、TSP太陽株式会社が提供している「陰圧式医療用テント」の設置については、このようになっています。
大型と小型仮設医療用仮設テント
大型仮設医療用テント
- 約1,000㎡まで対応可能
- 設置には約3日間
- 3日で50~100床の設置が可能
小型仮設医療用テント
- 約20㎡から展開可能で、スペースの限られた場所でも展開可能
- 4m開口・6m開口とバリエーションがある
- 設置は約60分
*大型テントと小型テントを組み合わせることもできる。
つまり、小型仮設テントなら最短約1時間で設置することができます。また、小型医療テントを利用しながら大型医療テントを設置することができれば、約3日後には最大100床を確保することができることになります。
院内感染を防ぐために、そもそも院外で診察できる設備を作る。これが「発熱外来」での大きな役割となります。
あとは、「人員配置」と「スペース確保」をどのようにしていくかが院内感染を防ぐ鍵になるでしょう。
最後に
今回は、院内感染を少しでも防ぐ可能性として自治体で取り入れられてきている「発熱外来テント」についてご紹介しました。
ただ、必ずしも医療用テントが使われるわけではなく、地域によっては例えばキャンピングカーが使われていることもあるようです。
このように、新型コロナ対策は医療機関だけでなく、多くの人や企業などがそれぞれの強みを生かした様々な取組みが実施されています。
緊急事態宣言は、延長される見込みのためまだまだ油断できない状態がこれからも続きそうです。
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