皆さんの働き方は変わりましたか?
私の場合は、もともとが自宅でひたすら記事を書いていくため特に変わりがありません。
ところで、もしもあなたが会社の指示でテレワークをしていたとします。そんな時、もしも何かしらの事故に見舞われた場合、「自分に労災はおりるのか・・・」
なんて、考えたことはありませんか?
以前にも、労災について紹介しましたが、実はそもそも仕事中だけの事故だけが対象になるわけではありません。
例えば、休憩中、職場にある食堂の帰りに階段から足を踏み外して怪我をした場合も、労災対象になる可能性があります。
ただ、自宅は職場の食堂のようにそもそも会社の施設ではないですよね・・・
今回は、そんな「新しい働き方:テレワークと労災」についてご紹介します。
→「労災」については、こちらの記事で紹介しています。
テレワークも働いていることに変わりない!
そもそも、「テレワーク」と言えば多くの人は在宅勤務を思い浮かべるのではないでしょうか?
「在宅勤務」とは、その名の通り会社には出勤せずに自宅で仕事をおこなう勤務形態です。
ただ、テレワークで働く人達が必ずしも自宅で仕事をするとは限りません。
例えば、「モバイルワーク」という働き方では・・・
- 顧客先
- 移動先
- 出張先のホテル
- 交通機関の車内
- 喫茶店
などで、仕事をしている人達がいます。
また、「サテライトオフィス勤務」という働き方では・・・
- 自社専用のサテライトオフィス(都市型・郊外型・地方型があり、企業の本社・本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィス)
- 共同利用型のテレワークセンター
などで、仕事をしている人達もいます。
もしもテレワークで労作が認められなければ、そもそも優秀な人材が集まらない!
このように、テレワークと一言でいっても、「在宅勤務」・「モバイルワーク」・「サテライトオフィス勤務」と、働いている場所は人それぞれです。
ですが、仕事をしていることには変わりありませんし、もちろん業種にもよりますが、そもそもテレワークは特定の働く場所が必要ありません。
ただ、共通していることは「仕事をしている」
という点です。
それでは、自分のいる場所が仕事場である人達に対して、もしも「労災が適応されない!?」となれば、そもそもそんな全て自己責任になる危険な会社に、優秀な人材が集まるとは考えにくいですよね?
こういった「働き方の観点」から考えて見ても、そもそも「テレワークで働く人に労災が適用されない」とは考えにくいと思いませんか?
それでは、本当にテレワークで働く人達にも労災は適応されるのでしょうか?
そもそも、労働保険法ってなに?
正式名称は、労働者災害補償保険法といってこういった目的があります。
第一条 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。
法律の条文は難しいですよね・・・
要約すると、仕事中や通勤の際に発生した労働者の「負傷」・「疾病」・「障害」・「死亡」などに対する保険
のことです。
具体的には、「治療にかかる費用」や「仕事ができない間の補償」だけでなく、「遺族への補償」もあります。
なにより、原則、1人でも労働者を雇えばその事業者は加入手続きを行い、労働保険保険料を納付する義務があります。
これが、私達が「労災(労災保険)」と呼んでいるものです。
*ただ、私も経験がありますが職場で怪我などを何度かしましたが、一度も労災を受けたことはありません。これが、現実ですよね・・・
もしも、労災がなかったら?
補足ですが、もしも労災がなければ事業主は自身の財産で労働災害を負った労働者に対して、保障することになります。
労働基準法第75条~83条に規定がありますので、その一部を紹介します。
第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
第七十六条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。
このように、業務上負傷した労働者に対して「療養費用の負担」や「働けない間の賃金保障」をしなくてはいけません。
さらに・・・
第七十九条 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行わなければならない。
上記の第79条にあるように、労働者が亡くなった場合は遺族に対して保障しなくてはいけません。
他にも、規定がありますが労災が引き起こされれば、事業者は莫大な費用をその労働者や遺族に自費で支払うことになります。
そうなれば、会社が倒産する可能性があり、そもそもそんな会社に人材が集まらなくなります。
最初の話しに戻りますが、つまり「テレワークに労働災害が適用されないことはそもそもありえない」ということになります。
そして、結論から言えば「要件さえ満たせば労災認定を受けることができる」ということになります。
それでは、どういった場合に認められるのでしょうか?
テレワークと労災
そもそも、労災には「業務災害」と「通勤災害」があります。
通勤災害は、「モバイルワーク」や「サテライトオフィス勤務」などにより、通勤途中に怪我をした場合は認められる可能性があります。
業務災害
業務災害は、業務上の事由による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡(傷病等)のことをいいます。
当然、仕事とは関係ない私的なことが原因で発生した傷病等は認められません。
私の場合を例に挙げると、私的な行為に溢れています。
私的な行為?
私は個人事業主ですので、そもそも会社とは関係ありませんがもしも私が会社の指示で在宅勤務をしていたと仮定します。
私の場合なら、2人の子ども(2歳と4歳)がいます。
記事を書くために在宅で仕事をしていますが、当然子どもの面倒を見ることになります。
例えば記事作成の合間に・・・
- 子どもをトイレに連れて行ったときに転倒
- 洗濯物を取込んでいるときに子どもが外に逃げ出して追いかけたときに転倒
- 記事作成中に子どもがおもちゃの棒を振り回して眼を突かれる
なんて・・・こんなことがあったとします。どれも、仕事には関係ない私的行為ですよね。
「私的」つまり、仕事とは関係ない個人的な理由による怪我のため、病院に受診する場合は「労災」ではなく、「健康保険」を使うことになります。
こういった例は、「私的な行為」として分かりやすいですが、それではもしも腱鞘炎になったらどうでしょうか?
腱鞘炎の原因を証明?
例えば、記事の作成はずっと座っている状態ですので腰を痛めることがあります。
そして腰以上に酷使するとのはタイピングによる手の痛みです。
これは、記事作成に時間をかければかけるほど、腱鞘炎になる可能性は高くなります。
私の場合なら、1記事の作成に約3時間程度が平均ですので2つの記事なら約6時間かかります。
それでは、もしも腱鞘炎になったとします。その腱鞘炎をどうやって労災だと証明すればいいのでしょうか?
私が介護現場で働いていたときなら、利用者さんの身体介護を何度もするため、職員同士で体の状態が介護疲れで腰や腕などに不調がでてこれば交代するなど補い合っていました。
つまり、職場ではスタッフ(同僚など)が証人になります。
ところが、在宅勤務では腱鞘炎の原因が仕事なのか、例えば子どもと遊んだときに捻ったのか証拠がありません。
→腱鞘炎どころか、タイピングのしすぎで疲労骨折まで引き起こされることもある。
つまり、一人で在宅勤務をしている場合、労災の証明が難しいことが挙げられます。ただ、後述しますが在宅勤務の労災が認められないわけではありません。
とはいえ、労災の有無を決定するのは労働基準監督署
です。まずは、労働基準監督署へ相談しないとには分かりません。
それでは最後に、在宅勤務で労災が認められた有名なケースを紹介しておきます。
在宅勤務で労災が認められた事例とは?
厚生労働省:テレワーク導入ための労務管理等Q&A集
自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した事案。これは、業務行為に付随する行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものとも認められないため、業務災害と認められる。
ただ、まだまだ事例はそれほど多くないようです。
そもそも、「仕事の時間」と「私的な時間」を明確に区別する必要がありますが、そもそも子どもがいればそういうわけにもいきません。
私の場合は、奥様がある程度はみてくれますが、ずっと1人で見続けることは難しいことが現状です。当然、シングルマザーやシングルファザーならなおさらそうでしょう。
最後に
テレワークは、以前からある古くて新しい働き方ですが、これまであまり進んできませんでした。
ただ、新型コロナウイルスの影響でこれからますます進んでいくことが考えられます。というより、進めていかなければ会社として生き残れなくなるでしょう・・・
→「テレワーク」については、こちらの記事で紹介しています。
まだまだ法律が間に合っていませんし、会社の考え方も追いついていません。
そのため、テレワークはまだまだ発展途上の新しい働き方だと言えるでしょう。
ただ、テレワークが市民権を得れば労災事例は集まり、それに伴い法律も会社の整備も進んでいくことになります。
テレワークは、近い将来当たり前になっていくのではないでしょうか?
参考
マネーの達人:テレワークでも労災は認められる 対象となる具体例や注意点を解説
→https://manetatsu.com/2020/04/247572/#%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%A7%E3%81%AE%E5%8A%B4%E7%81%BD%E3%81%A8%E3%81%AF
ファイナンシャルフィールド:在宅勤務中の疑問。もし部屋の中で、けがをしたら労災は適用される?
→https://financial-field.com/insurance/2020/04/03/entry-74005#i-3
労務SEARCH(サーチ):労働災害補償保険法(労災保険)の基礎知識!誰のための制度?
→https://romsearch.officestation.jp/rodohoken/4608
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