マスクの寄付は間違えると違法!? 「寄付」と「古物」と「古物営業法」

 

皆さんは、「アベノマスク」どうされているでしょうか?

我が家の場合は、1枚は奥様が使用しもう一枚は未使用のまま使っていません。さて、そんなアベノマスクですが全国で寄付の動きが展開されています。

ただ、マスクの寄付についてやり方を間違えると逮捕されてしまう危険があるようです。

今回は、「マスクの寄付と古物営業法」についてご紹介します。

 

マスクの寄付を募ることは犯罪になる?

例えば、個人のお店がマスクの寄付を募ったとしても、その行為自体は犯罪になりません。

ただし、寄付をしてくれた人にそのお店の金券などを渡すと古物営業法に抵触するようです。

というのも、マスクの寄付を開始した様々なお店についてマスコミが報道した途端、警察からそのお店に対して「待った!」がかかったためです。

中には、街の議員や教育委員会の許可を得ていたお店もあったようですが・・・

ということで、今のところ寄付されたものがアベノマスクであっても、そのお礼に金券を渡すと「古物として小物営業法にひっかかる」ようです。

それでは、まずは小物営業法について見ていきましょう。

 

小物営業法とは?

小物営業法

第一条 この法律は、盗品等の売買の防止速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。

とあります。

愛知県警察のホームページを確認するとこのように解説されています。

古物の売買等には、その性質上、盗品等の犯罪被害品が混入する可能性があり、これを野放しにすれば、犯罪被害品が社会に流通し、結果的に犯罪を助長してしまうおそれが多分にあります。したがって、法令等で定められた各種義務を果たしていただくことによって、窃盗その他の犯罪の防止を図り、併せて被害が迅速に回復できる社会を維持していこうということを目的としています。

つまり、「抵触する」とされている古物営業法は、犯罪被害品の流通防止が目的です。

そして、「古物」についてはこのように定められています。

  1. 一度使用された物品
  2. 使用されない物品で使用のために取引きされた物
  3. 上記の物品に「幾分の手入れ(修理等)」をした物

つまり、一度、商品が人の手に渡った時点で新品かどうかは関係なく「古物」となります。

*「使用されない物品で使用のために取引きされた物」については、古物営業関係法令の解釈基準等について平成7年9月11日よりこのように解釈されています。

(2) 法第2条第1項中「使用のために取引されたもの」とは、自己が使用し、又は他人に使用させる目的で購入等されたものをいう。したがって、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても「古物」に該当する。例えば、消費者が贈答目的で購入した商品券や食器セットは、「使用のために取引されたもの」に該当する。

そして、本題のアベノマスクの寄付に対して金券などを渡す行為が引っかかるのは、「古物営業」の部分です。

 

古物営業とは?

第二条

2 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
二 古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
三 古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)

つまり、古物を使って営業(生業:なりわい)とする場合に「古物営業」となります。

*不要になった物を売るだけなら許可は必要ないが、転売目的で買って売る場合は許可が必要。

「全くの無償で引き取ってきた物」や「処分手数料等を徴収して引き取った物を売る場合」は、古物商の許可は必要ない。

→自分が扱う古物商の種類(13種類)から選択して、主たる営業所または古物市場の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可が必要。

つまり、寄付された物に対しては、古物許可証は必要ないが、寄付の見返りとしてお店の食事券などの金券を渡すと「交換」になるため、古物営業法に抵触することになるようです。

 

取り扱う古物の区分(古物商の13種類)

2020年4月1日時点

  1. 美術品類
  2. 衣類
  3. 時計・宝飾品類等
  4. 自動車
  5. 自動二輪車及び原動機付自転車
  6. 自転車類
  7. 写真機類
  8. 事務機器類
  9. 機械工具類
  10. 道具類
  11. 革靴・ゴム製品類
  12. 書籍
  13. 金券類

今回は、「マスク」ですのでマスクを寄付してくれたお客さんに、お店の金券を交換しようとすれば、「衣類」の古物商許可が必要になることが考えられます。

 

最後に

今回、古物営業法について調べてみましたがいくつか疑問が残りました。

  • そもそも、アベノマスクは購入した物ではなく支給された物(まさに新品)→「古物」の定義に合わない?
  • そもそも、「古物営業」ではなく「一時的な寄付」でしかない。
  • そもそも、国民生活安定緊急措置法によりマスクの転売は禁じられている
  • そもそも、すでにマスクが流通しているのにアベノマスクをわざわざ盗んで売買するのか?

どちらにしても、『そもそもアベノマスクが「古物」に当たのか?』についてが1つの争点になるのではないでしょうか。

これを決めるのは裁判所ですが、すでにコロナ対策の影響で経営難のお店側がリスクを犯して訴えることは難しいでしょう。

*ちなみに、古物商の許可は申請だけで約2万円が必要となり、さらに許可がおりるまでに1~2ヶ月かかります。となれば、仕方なくマスクの寄付だけを呼びかけるお店が増えるのではないでしょうか?


参考

リサイクル通信:古物商許可を取るまでの5つのステップ
https://www.recycle-tsushin.com/step/

 

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